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アプリで本来のD2C、『新しいお買い物体験』実現へ すがけんさんAppify CVO就任インタビュー

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2021/06/04 07:00

 Moonshotの菅原健一さんが、ノーコードアプリ作成のAppify Technologies 社外CVO(Chief Value Officer:最高価値責任者)に就任。Shopify×Appifyで『新しいお買い物体験』の実現を目指すと言う。詳しい話を聞いた。

お買い物体験を描くのが難しいブランドこそShopifyやAppifyを

——Appify Technologies 社外CVOに就任された背景をお聞かせください。

菅原 Appify Technologiesは、BASEやShopify等のプラットフォームを利用するマーチャント向けに、ショップの公式アプリを作成できるプラットフォーム「Appify」を提供しています。ご存じのとおり、ECはできるだけお客様と直接つながったほうが良いですよね。お客様に思い出してもらい、365日24時間好きな時にアクセスしてもらうには、ウェブサイトよりアプリのほうがより仕組みを作りやすい。そのための仕組みをSaasで提供している会社です。Appify Technologiesが数人で会社を始めた頃から、エンジェル投資家として個人的に投資させてもらっていました。

 コロナ禍になりECが伸びましたが、お買い物体験という視点では日本企業のECのレベルはそれほど高くないと感じており、それは日本にとって大きな損失だと思っていました。Appifyを用い、EC事業者様とともに日本のECの価値を上げていくという仕事であればご一緒できそうだと思い、今回ジョインすることになりました。

株式会社Moonshot 代表取締役/株式会社Appify Technologies 社外CVO 菅原健一さん
株式会社Moonshot 代表取締役/株式会社Appify Technologies 社外CVO 菅原健一さん

——以前、本屋に挑戦されていましたが、「お店」に関心をお持ちなのですか?

菅原 いち消費者としてお買い物が大好きなんです。今日も取材をしていただけるということで、大好きなブランドのTシャツを着てきたのですが、そんなふうに、何かを言い訳についお買い物をしてしまいます。マーケティング的な視点も含め、不要不急と言われる状況下でもどうしても欲しくなるものがあったり、そうではないものがあったりするのって、すごく不思議ですよね。

——コロナ禍でECへのニーズが高まるのとShopifyのブレイクがちょうど重なりました。日本のEC事業者にとってすごく使いやすいとも言い切れないと思うのですが、D2C企業を中心に、マーチャント側のShopifyへの「これを待っていた!」という熱を感じます。

菅原 ShopifyのGMVは、グローバルでみるとAmazonの4分の1にもなっています。これから成長しようというD2Cブランドはもちろんですが、誰もが知る大手ブランドも使い始めていて、Shopifyユーザーの層は厚い。実は大手こそ、システム投資が大きすぎてECに対して消極的になってしまうという課題がありました。新しいものが登場するたび改築を重ね、かけた費用から不要な機能を捨てられず、海外の最先端の仕様と合っていなかったり、「楽に買いたい」エンドユーザーの要望に対応できていませんでした。Shopifyでは、プラグインによって機能を自在に足し引きでき、Shopifyそのもののアップデートによって仕様が進化したりと、ECへのシステム投資を軽くすることが可能になりました。

 NIKE、ユニクロ、Appleのように、「顧客と直接つながる」本質的な概念のようなD2Cを当然のように実現しているブランドは、自前でシステムを刷新していけば良いでしょう。しかしながら、彼らほどの投資が難しいブランドは、顧客体験を良くするためにどんなシステムを作っていけば良いかわからない状況下にあります。一方で、ShopifyのGMVがAmazonの4分の1になっているということは、それだけのユーザーがShopifyのインターフェースでお買い物を経験し、「こういうことがECでのお買い物だな」という認識がある。自ら理想の顧客体験をシステム化できないブランドは、グローバルスタンダードのシステムに乗り換えたほうが早いでしょう。大量のアクセスに耐え得るインフラといった魅力に加え、ブランドが自分たちでは定義できなかった『新しいお買い物体験』を世界標準で提供できるところが、Shopifyの強さかなと思います。

——ウェブのECサイトに加えて、アプリのテクノロジーも発展途上でした。ネイティブは一部先進企業に限られ、ウェブビューだと体験がそこまで良くないという制限がありましたよね。

菅原 そのお話に関連して、お買い物体験全般を定義してみました。ステップ1は、原宿店、渋谷店、……「EC店ができました!」というブランドの101店舗めとして自社ECが定義され、ECモールが重要な商品のデリバリー先になっている段階です。ステップ2は、顧客情報は実店舗とECで連携できるようにしようというもの。だからといって、レコメンドや接客には反映されないという課題がありました。ステップ3が、アプリができたものの、ステップ1の自社ECと同様に、あくまでブランドの102店舗めが増えた程度の存在でした。日本のブランドの多くが、ステップ2、ステップ3にとどまっているのではないでしょうか。

お買い物体験の5ステップ

 Appifyが考える『新しいお買い物体験』は、ステップ4以降です。お手本とするのは、NIKE、ユニクロ、Appleのような本来の意味でのD2Cを実現したお買い物体験です。しかしながらこうした企業は、テクノロジー企業の買収なども含めてこれらを実現しており、いちブランドがそこまでの投資をするのは現実的ではありません。ShopifyやAppifyを利用することで自らシステムを作ることなく、新しい体験を実現していくという選択肢があります。Appifyではアプリを中心に、マーケティング的な視点も含めた『新しいお買い物体験』を実現していきたいと考えています。

 ステップ4以降のアプリは、店舗、EC、モールと横並びの1店舗ではなく、もっとお客様側に寄りそうべきです。NIKEの例を挙げると、アプリ内でInstagramの投稿を見ることができるなど、アプリは「売り場」を超え、メディアになっている。ここまでくると他のプラットフォームへの依存度が下がり、利益率が上がり、その分を顧客体験に投資できるようになっていきます。よりお客様にアプリが溶け込み、可処分所得だけではなく、可処分時間も費やしていただけるような体験を作っていく必要があります。ステップ5では、本来の意味でのDirect to Consumerが実現し、お客様の関心の中からそのブランドが失われない状態になっていくのです。

 モール依存型のECは、たとえば「お財布が欲しい」と思った時にモールで探し、そこに自社ブランドが出ていれば一定の確率で買ってもらえるという仕組みでした。ステップ5では「そのブランドで何を買おうかな」という存在になっていく。アプリがホーム画面にあり、メディアのように毎日楽しんでもらえて、気づけばお買い物ができる状態を目指していきます。「欲しい」と思う場所とお買い物をする場所がシームレスにつながった状態です。Appifyでは、ブランドがステップ5のD2Cを目指せるような機能をこれから作っていきたいと考えています。

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