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インバウンドビジネス最前線

[越境EC成功例]海外ウケするオリジナル畳ネームが好評 日本食レストランやアート等にビジネスチャンス


 越境ECのプロフェッショナル、株式会社ジェイグラブの山田彰彦さんが選ぶ、 越境ECで成功している企業を紹介。今回は、「畳を世界に販売」している株式会社TATAMISERの代表取締役 淡路光彦さんに「越境ECエピソード」や「日本の文化・畳」について聞きました。

外国人が好きそうなオリジナルネームの畳を海外に販売し、差別化

株式会社TATAMISERの代表取締役 淡路光彦さん

――越境EC成功企業として紹介します。現在の海外への販売ツールや状況を教えてください。

淡路 基本的に自社の外国語ウェブサイトがメインです。英語はしゃべれないし、文章はほとんどGoogle翻訳ですが(笑)。正確にはわかりませんが、「Tatami」というキーワードで検索エンジンにヒットしているのかもしれません。数年前に中小機構さんの越境ECセミナーに参加した後、ニューヨークとシンガポールに商品が展示され、中小機構さんの越境EC用のウェブサイトにもリンクを張ってもらえました。その影響が大きいのでしょう、アメリカとシンガポールのお客さんが多いんです。アクセス解析を見ても、とくにアメリカからアクセスされているのが見受けられます。

 今思えば、商品のネーミングも良かったかもしれません。オリジナルの商品名ですが、「Tokyo Tatamiシリーズ」とか「Zen Tatamiシリーズ」。正直、あまり深く考えてはいませんでしたが、他のお店と差別化したかったんです。そうそう、先日、面白い依頼がありました。ドバイのホテルの設計図にウチの畳の商品名が入ってるって、海外の設計会社5社位から見積もり依頼がきまして。さすがにこの時は驚きました。

――淡路さんの知らないところで「Tatami」がひとり歩きしている状況ですね。先ほど商品名を紹介いただいた際に「畳のシリーズ」の話をされていましたが、畳ってさまざまな種類があるんですか?

そうなんですよ、あまり知られていないのですが、畳には素材やサイズが違ったさまざまな種類があります。イ草からできているイメージが強いと思いますが、外国の方の中には和紙でできた畳を購入される方もいます。和紙と似たものとして、樹脂で作られたものもあります。このふたつの畳の利点としては、通常のイ草の畳より耐久性が高いことです。日焼けもしないですし、虫やカビを気にする必要もありません。今では旅館でも、和紙や樹脂のを使用するところが多くなりました。国によっては、イ草はNGという国もありますしね。

 畳の芯の部分「ストロー」についても、以前は藁材でしたが、今では断熱材のようなものを使っています。昔の家は隙間が多く、通気性が良かったため藁材でも成り立ちましたが、現代の家は気密性が高いのでカビたり、腐ったりしてしまうんです。海外でも気候に関係なくお使いいただけるので、断熱材を採用しています。

――それにしても外国の方がなぜ畳を買うんですかね?

日本の旅館に宿泊した際に、畳の上に敷かれた布団に寝たことが良い思い出になっているみたいです。それを再現したくて畳が欲しいと言われたことがあります。一方で見様見真似で購入されているのか、実際の畳に触れた経験がない方から購入後に「イ草の匂いが我慢できないから返品させてくれ!」と言われたこともあります。今ではそれを防ぐために、事前にサンプル品を送り「イ草の匂い、OK?」と確認しています。実は、日本で流通しているイ草の90%は中国産なんですけどね。他にも、日本で茶道を習っていた方が国に帰って茶道教室をやりたいと、畳を購入される方もいます。

 つい先日は、テキサス州の高齢の外国人とSkypeで長いやりとりをしました。新しく家を建てるから、8畳と6畳分の畳が欲しいと。「金額も高額だから、自分の日本人の奥さんと話もしてほしい」と頼まれてお話ししたのですが、海外が長いのでしょうか日本語もたどたどしく、何度も「ありがとうございます。お任せします」と繰り返されて……。なんだったんでしょうね、あのやりとりは(笑)。どんな人間かわからないまま買うのが不安だったのかもしれませんね。

――畳って普通に送れるものですか?

当初は輸送には苦労しました。日本の輸送機関も値上げしていて結構高いですし、東京でもエレベーターのないマンションでは上の階には運べないなど制限もありました。EMSでは、半畳の琉球畳まではギリギリ郵送できましたね。ある輸送機関でイスラエルにお送りしたら、「届かないから返金してくれ」と連絡があり、返金対応してしばらくした後に畳がボロボロになって戻ってきたこともありました。結局のところ、DHLやFedExなら、1畳の畳をそのまま送ることができるため、今はこれらを利用しています。気づけば、東京に送るのもニューヨークに送るのも費用はそんなに変わらなくなりました。

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この記事の著者

浦澤 修(ウラサワ オサム)

ライター・編集/株式会社オージャパン 代表取締役 浦澤修

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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