伸びるEC化率 激戦Amazon広告の運用をAIに任せる選択も
コロナ禍による巣ごもり消費で、急上昇したEC化率。ECでモノを買う人が増えたのはもちろん、実店舗休業を余儀なくされ、EC販売に挑戦する事業者も増えている。ECの王者Amazonでは、4月に国内の物流倉庫で入荷制限を設け日用品の提供を優先したとの報道もあり、利用・販売の急増は推して知るべしだろう。
ビフォアコロナから激戦区だったAmazonにおいて、ここ最近注目を浴びていたマーケティング手法が、Amazon内での運用型広告「Amazon広告」だ。Amazon.comの2020年1~3月期の決算発表によれば、広告を含む「その他」の売上は39億600万ドル、44%増にも上る。日本国内においては、広告代理店でのAmazon広告運用が増加し、ノウハウ書籍も相次いで出版された。いちユーザーとしても「スポンサープロダクト」の文字を見る機会が増えたはず。Amazonでの販売において「広告なしには売れない」との声も聞こえてくる。
一方で、商品登録〜出荷までタスクの多いEC事業者にとって、進化し続けるネット広告の情報をキャッチアップし、運用し、成果を出し続けることは負荷が重い。委託すればその分の費用がかかり、薄利な小売ビジネスでは利益を圧迫してしまうこともある。運用を自動化する「Amazonオートターゲティング」の仕組みもあるが、成果を優先すれば自らこまめにチューニングしたいのが本音だろう。
そんなEC事業者の要望に応えるのが、シンクリンクが提供するAmazon広告最適化AIツール「Perpetua(パーペチュア)」だ。広告予算と目標ACoS(Advertising Cost of Sale:売上高に占める広告費の割合)を設定するだけで、あとはAIが運用を担い、ACoSを最適化してくれるというもの。月額広告費によってツールの利用料金が変動する仕組みで、もっとも安価なプランは月5,500円(税抜)とハードルが低い。
サンフランシスコ発のPerpetuaを日本で提供する、シンクリンク代表取締役 CEO 的場啓年さん、アカウントエグゼクティブ マキョウ・オーンさん、そして実際にPerpetuaを利用する 木炭焙煎 大和屋 加賀店の大坂直充さんに話を聞いた。
月5,500円から AIでAmazon広告運用を最適化する「Perpetua」
輸入アパレルのEC販売や、大手代理店でデジタルマーケティングなどの経験を持つ的場さんは、2018年にシンクリンクを起業。ECの入口から出口までを一気通貫で支援することをミッションに、データフィード連携SEM「Salesoar」、Amazon広告最適化AIツール「Perpetua」を提供するほか、日本の事業者の米Amazon.com進出支援事業を開始、これら3つをマーケティングテクノロジー事業の根幹としている。
ここ数年で一大市場となったAmazon広告。すでに運用支援ツールも複数出回る中、シンクリンクがPerpetuaの提供を始めた経緯を的場さんはこう語る。
「Amazon広告の運用について多数のご相談をいただいていたことから、中小のEC事業者様の負荷を軽くするためのツールが必要だと感じていました。2019年6月にアメリカのリテールテック展示会に参加し、Perpetuaに出会ったのです。ほかにもいくつかツールはあったのですが、どれもオーバースペックだと判断しました。広告運用のプロ向けのものが多く、いろいろなことができるからこそ複雑だったんですね。Perpetuaこそが日本のEC事業者様の必要要素を網羅したツールでした」
Perpetuaは、広告予算と目標ACoSを入力するだけでAmazon広告の運用が始められるシンプルなツールだ。運用が始まると、AIからキーワードが提案され、最適化されていく(任意での登録も可能)。ツール利用料金は月額広告費によって変動。月額広告費が10万円以下であれば月5,500円から利用できるのがもっとも安価なプランだ。そしてシンクリンクは、Perpetuaを導入することだけで広告費に対するコストを上乗せするつもりもない。
「当社の利益は、ツールを提供するPerpetuaから出ています。当社のお客様からは、ツール利用料以外の費用はいただいておりません」(的場さん)
2019年11月提供開始とまだ1年も経っていないが、すでにさまざまな商材で売上増、ACoS減、Amazonベストセラーランキングでの上昇と成果が出ていると言う。今回は、2020年4月からPerpetuaを利用している木炭焙煎 大和屋 加賀店の大坂直充さんに話を聞くことができた。