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顧客目線でデジタル・トランスフォーメーションを実現 チャット接客の優位性とは

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2020/03/25 11:00

 チャットを活用したデジタル接客というと「AIチャットボットによる対応自動化」をイメージする人が多いかもしれない。しかし株式会社空色が展開するのは、チャットボットのみならず、オペレーターによる有人対応が大きな価値を生み出し、デジタル(EC)だけでなくアナログ(実店舗)も含めたチャネルでの購買体験を向上させるチャット接客サービスだ。2020年3月4日に開催された「ECzine Day 2020 Spring」にて、同社の取締役 CSO兼CFOの瀧直人氏が登壇。同社のサービス内容や事例のほか、顧客との関係継続におけるチャット接客の優位性について説いた。

チャット接客でコミュニケーションを深化 ECでも店舗でも顧客とつながり続ける

株式会社空色 取締役 CSO兼CFO 瀧直人氏

 今日では何かを知りたいと思ったときに、ネットに向かえば調べる方法は無数にある。しかし、情報があまりにも多すぎて、本当に自分が求めている情報を探すことが非常に難しくなっているのが現状だ。瀧氏によれば、7割近くの人が「検索疲れ」を実感しているというデータもあると言う。

「たとえばECサイトで買物をしようとしても、膨大な商品の中から自分の好みに合うものをなかなか見つけられず、お客様はひとつの商品を購入するのに多くの時間を費やしています。これでは決して満足度の高い購買体験は提供できません」(瀧氏)

 販売事業者側に目を向けると、EC化率が上がっている一方で店舗の販売員不足が深刻だ。就業意識の変化もあり、販売員ひとりあたりの勤務時間も短縮傾向にある。また、訪日外国人客の増加による多言語への対応なども課題とされている。

 こうした背景から昨今注目されているのが、リモート接客やウェブ接客を含めた「デジタル接客」だ。

 その中でも、空色はチャットを中心とした接客・コミュニケーションサービスを展開している。代表的なサービスとしては、AIチャットボットシステムの「WhatYa」、チャットボットと有人チャット対応を組み合わせたチャット接客システム「OK SKY」がある。

「チャットセンター運用代行というかたちで有人チャット対応のリソース提供や、チャットセンターを内製化したい企業へのノウハウ提供、センター立ち上げ支援といったコンサルティングサービスも行っています」(瀧氏)

 これらのサービスを通じた空色のこれまでの累計接客人数は、50万人以上に及ぶと言う。

空色では、チャット接客のツール、リソース、コンサルティングを包括的に提供

業種・商材を問わず多数の企業で活用されるチャット接客

 空色のサービスは、現在さまざまな業種の企業で活用されている。瀧氏は代表的な事例を紹介した。

 まずは、チャットでインテリアの相談に対応する千趣会「ベルメゾンネット」の事例だ。ベルメゾンでは、オンラインショップのインテリア・雑貨カテゴリーにおいて、OK SKYを活用したインテリアコーディネートのオンラインチャットサービスを展開している。チャットのやりとりを通じて、これまで把握することが難しかった顧客の部屋の状況など、利用シーンに関する詳細な情報を入手し、適切な提案やアドバイスが行えるようになったと言う。顧客にとっても、ECサイトの情報だけではわからないサイズ感などを直接質問し、疑問や不安を払拭したうえで商品を選択できるというメリットをもたらしている。

 チャットボットによる多言語チャット接客を行っているのは、百貨店の高島屋だ。訪日外国人客への対応として、同社では多言語対応のチャットボットを導入。館内各所に配置された2次元コードをスマートフォンで読み込むとチャットボットが立ち上がり、チャット形式で店舗や商品などのガイドが受けられる。多言語対応スタッフを増員するのと比べて低コストで運用ができるうえ、自動化により対応時間の大幅な短縮にもつながっていると言う。

高島屋はガイドチャットボットを導入。館内の回遊を促進する効果もある

 AIチャットボットWhatYaを用いた公式LINEアカウントとの連携により、カスタマーリレーションシップの強化を行っているのは花王の化粧品ライン「ソフィーナ」である。ソフィーナでは、顔写真を撮影して簡単な質問に答えると自分に合ったアドバイスや情報が届くパーソナルスキンケアサービス「肌id」を展開している。同サービスの公式LINEと連携したチャットサービスでは、日々のおすすめ商品やスキンケアに関する励ましの言葉などをつぶやき、ユーザーのモチベーションアップを促進。カスタマーリレーションシップの強化に貢献している。

 花王では、大人用紙おむつ「リリーフ」の問い合わせ対応システムにもWhatYaを活用。瀧氏はここで、チャットのメリットのひとつに、「人と直接会話するのに比べてコミュニケーションの敷居が低いこと」を挙げた。排泄ケアというデリケートな商品の特性上、従来の電話サポートでは利用しづらかった顧客も、使用方法の疑問や悩みなどをチャットで気軽に相談できるようになり、今まで以上に顧客の声を収集することが可能になったと言う。

 新生銀行グループのレイクALSAでは、顧客からの問い合わせに対してAIチャットボットとチャットオペレーターのハイブリッド体制で対応していると言う。空色のサービスは、自社固有のセキュアな環境を構築できるプライベートSaaSで提供を行っている。そのため、金融機関などの厳しいセキュリティ要件にも応えられる点を強みとしていると瀧氏は語った。

 アパレル企業でも、空色のサービスは導入されている。ナノ・ユニバースでは、ECサイトの問い合わせ対応にAIチャットボット+オペレーターによるチャット機能を導入。ECサイトのブラウザ版・アプリ版ともに、ページ内の問い合わせボタンをタップすると、チャット画面が起動する。この機能はメイン機能のひとつとして定着し、利用頻度も高く、チャット経由での売上はおよそ実店舗1店舗分の売上に匹敵するレベルにまでなっているそうだ。

ナノ・ユニバースのECサイトでは、サイト内に配置された「問い合わせ」ボタンをタップすることでチャットが起動する

業務効率改善とコスト削減にチャットが効く理由

 問い合わせ対応のコスト削減を期待して、コールセンターなど電話での対応からチャットへの移行を検討する企業も多い。しかし、空色のサービスのように有人対応を含む場合でも、コスト削減につながるのだろうか。その点について、瀧氏は従来のコールセンターが抱える課題を挙げながらこのように説明した。

「コールセンターは物理的に1対1の接客となり、同じタイミングで対応できるお客様はスタッフと同じ人数まで。限られたリソースで多くのお客様に対応するためには、必然的に『速さ』重視の対応になります。そのためにマニュアルを整備して情報を一元化するのですが、不意にお客様の感情が昂ぶるなど、マニュアルではカバーしきれない不測の事態も起こります。コールセンターのスタッフは、その対応に日々頭を悩ませ、ストレスを溜め、結果として高い離職率を招いてしまっています。チャットセンターでは1対nの接客が可能で、応対効率が高くストレスも少ないことから、離職に伴う採用・教育コストも抑えることができます」(瀧氏)

 チャットで1対nの接客ができる理由としては、ひとつのメッセージがコンパクトで、一度に多くの情報をやりとりしないことが挙げられる。そのため、コミュニケーションは1対1に限定されず、LINEのように複数の相手と画面を切り替えながら受け答えができる。

 顧客側も、テキストベースのチャットでは直接話すのと比べて、過激な言葉を使うことが少ないそうだ。瀧氏によれば、同社の長年にわたるチャットセンター運用経験の中でも、「炎上」のような状態になったことはないと言う。

 また、チャットではひとりの顧客に対して複数のオペレーターが連携しながら対応することもできる。孤独になりがちなコールセンター業務に比べて、連帯感のある安定したチーム運営が可能ということだ。

「従来のコールセンターが抱える課題は、チャットセンターの導入で解消できる」と瀧氏は語る

 こうした有人対応のチャットにAIチャットボットを組み合わせることで、業務効率が大きく向上すると瀧氏は続ける。

「ECサイトの問い合わせの半分以上は、『ログインできない』『返品キャンセルの方法を知りたい』など、定型的な回答で対応できるもので、人的リソースを割くのは非効率的です。AIチャットボットを導入すれば、ここを自動化することが可能です。チャットセンターの有人対応では、それ以外の非定型的な問い合わせや、お客様との関係性を深めながら対応していくべきような事柄に注力すべきでしょう。また、感情的になっているお客様へのフォローや即時対応が必要な問い合わせなどには、従来のように電話対応も必要です。これからは、この3段階でのコミュニケーションを取り入れていくべきと考えています」(瀧氏)

 対応ログがすべて残るのもチャットの大きな強みだ。クレームやトラブル発生時にも、そこに至るまでの経緯を把握したうえで対応できるので、問題解決を早期に行うことができる。

「チャットをコミュニケーションの基盤として設計すれば、顧客接点が多様化してもブレのない一貫したコミュニケーションが可能となります」(瀧氏)

顧客の心を引き出せるチャット接客は、関係継続の最適解

 チャット接客の最大のメリットは、「顧客の潜在的な欲求や願望(インサイト)を引き出せること」と瀧氏は強調する。たとえば、「足が長く見えるボトムスを探しています」「おなかのぽっちゃり感が目立たない服をいつも着ているのですが、何かいいアイテムはありますか?」といった声もチャットで届くそうだ。このような口頭での接客では言い出しづらい、自分のコンプレックスを含むようなことでも、チャットを介することによって顧客は気兼ねなく話してくれるようになる。

 もちろん、それはチャットを通じたコミュニケーションを重ねたうえで信頼を得ているからこそ可能になることだ。

「数ヵ月にわたって、毎晩のようにチャットでオペレーターと会話しているお客様もいます。その会話には、家族構成の話や自身の悩みなど、プライベートに深く立ち入った情報まで出てくることも珍しくありません」(瀧氏)

 また、チャットでの相談を経てから実店舗に行く顧客は、通常の顧客よりも購入率が5倍高くなるというデータも出ていると言う。

「来店前からずっと接客を受けている状態ですから、必然的に購入率は高くなります。中には、店舗のフィッティングルームから自撮り写真をチャットで送ってきたお客様もいらっしゃいました。馴染みの店員でもなかなかそこまでの関係は作れませんが、空色のチャットオペレーターたちに寄せていただく信頼感はそれだけ高いということです。もちろん、自社でチャットセンターを内製化するケースでも、このような関係性を構築可能です」(瀧氏)

チャットでの相談後に来店した顧客は、通常の来店者よりも購入率が5倍高くなる

 最近は、新型コロナウイルスの影響による外出自粛の影響もあり、とくに実店舗にとっては厳しい局面が続いている。顧客に直接会える機会が減っている今だからこそ、来店時以外でもコミュニケーションできる接点を作り、関係を継続する取り組みが重要と瀧氏は強調する。

「チャット接客であれば、それが実現できます。多様な顧客接点の中でも、チャットは関係継続の最適解です」(瀧氏)

 瀧氏はそう語り、セッションを終えた。

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