2010年代を振り返り、来たる2020年代への心構えができる1冊
ネットショップ支援を行ういつも.の共同創業者である望月氏。現在までのべ9,000社以上の企業の支援に取り組んできた同氏は、自らアメリカ・中国へ定期的に足を運ぶデジタル消費トレンドの第一人者でもあります。
本書では、2006年からECの世界に身を置く同氏の視点から見たショッピングの発展と変遷を振り返りつつ、来たる2020年代、とくに2025年までの5年間でどのように日本の買い物を取りまく環境が変化していくか、少し先の未来を覗き見ることができます。日本よりも先を行くアメリカや中国の小売の実例から世界のeコマースのトレンドを知り、2020年以降先陣を切るための知識が得られる1冊です。
目次
第1章 ショッピング体験の進化で、人々は「買い物」をしなくなる
第2章 ショッピングはどう発展してきたのか
第3章 リーディングカンパニーたちが目指すもの
第4章 さらなる進化、「デジタルシェルフ」へ
第5章 「人々が「買い物」をしなくなる未来」の先にあるもの
従来の買い物のステップには、煩わしさがつきものでした。自分の足でお店に出向き、商品を選んでレジで購入して持ち帰るまでには、さまざまなプロセスを経る必要があります。かつては、休日に家族総出で車でドライブがてら行っていた買い物も、もはや時間のない現代人にとっては面倒なもの。この面倒な行為を一気に解消してくれたのが、ネットショッピングです。
本書では、そんな買い物の歴史を踏まえたうえで、今後は「デジタルシェルフ」の時代が到来し、人々が買い物に費やす時間は限りなくゼロに近づくと解説しています。ここで同氏が語る「『買い物』をしない時代」は、人々が購買行動をしないということではありません。AIや機械学習の発達により、データドリブンで自分に必要なものが無意識に届く時代のことを指しています。サブスクリプションサービスの拡がりも、その一環と言えるでしょう。
AIが自分に必要なものを届けてくれる時代が到来すると、今までの広告宣伝の手法は成立しません。かつては売り場の棚を制覇することで伸ばせた売上も、スマートフォンに奪われる可処分時間を獲得する熾烈な競争に勝ち抜かなくては得られないものとなっています。本書のなかには、そんな状況を踏まえたうえでGoogle、Amazon、ウォルマート、リーバイス、ロレアルなど世界のリーディングカンパニーたちが行う取り組みについての具体例も解説されています。
マスの時代からパーソナライズの時代へ。広告や検索よりも自分では見つけられない情報を教えてくれるクチコミを信用する人々が増えるなかで、D2Cブランドやライブコマースの普及など注目すべき動きも多かった2019年。人がいればどこでも店舗になり得る現代において、次に目をつけるべきはどの領域なのか、これからの時代の買い物をどのように想像していく必要があるのか、きっと2020年以降のヒントが得られるはずです。