カゴ落ちメールでもっとも大切なのは「タイミング」
――リマインド方法はほかにも方法があると思いますが、それらと比べても、メールが最適なのでしょうか。
LINE@やウェブプッシュ通知、アプリプッシュなどでリマインドする方法もありますが、「リーチできる母数が少ない」、「そもそもアプリをダウンロードしてもらう必要がある」などの理由から、補完的な施策になりがちです。
たとえばLINE@にお客様のIDと個人情報を紐づけようと思ったら、LINE IDからECサイトへ一度ログインが必要です。ウェブプッシュもブラウザごとの対応が必要になりますし、アプリプッシュの場合も導入ユーザーが多く、かつ頻繁に使ってもらえるようなアプリでなければその効果も感じられないでしょう。
一方メールであれば、大多数のユーザーがスマホでもPCでも見ることができるので、アプローチのハードルが低いです。2018年にジャストシステムが行った調査(※)の中には、ECサイトからの通知方法としてはメールがもっとも多く、LINEやアプリ、SNSやDMなどの3倍以上にのぼるという結果もありました。こういったデータからも、まずはメールで施策を打ち、効果が出てきたタイミングで、より施策を充実させるためにLINE@やウェブプッシュ、アプリプッシュを試してみるのが良いのではないでしょうか。
――効果的なカゴ落ちメールを送るためのポイントを教えてください。
もっとも意識するべきは配信のタイミングです。当社が独自に行った調査によれば、カゴ落ちして1時間後に送った場合と、翌日に送ったメールのコンバージョン数を比べると、1時間後のほうが5倍もコンバージョン数が多い結果に。さらに3日後に送ったメールと比較すると、その数は10倍以上に達していました。メールを送るスパンは、なるべく短いほうが効果が高いということが言えるでしょう。
――メールの内容に関して、何か心がけるべきことはありますか?
メールに商品画像を載せることです。当社でテストをした際にも、商品画像の有無で効果に圧倒的な差が出ました。可能な限りHTML 形式のメールが良いと思います。また画像に加えて、価格や商品詳細ページのURLを掲載したり、直接カートへの動線を作ることなども効果的です。
文面については、セールス色が強すぎるとわずらわしいと感じられてしまうので注意が必要です。たとえば「まだ購入手続きが終わっていません」や「売り切れる前にぜひお買い求めください!」といった表現は敬遠される可能性もあります。「カートに商品が入ったままですがお忘れではないですか?」「何かお困りのことはありますか?」といった、対面での接客を意識したメールのほうがユーザーは違和感なく受け止めることができるでしょう。