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会員登録のハードルを下げ、カゴ落ちを防ぐ──Amazon Payの実力とは

ECzine Day 2017 Autumn イベントレポート
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2017/11/24 11:00

 Amazon以外のECサイトでAmazonアカウントによるログイン・決済が行える「Amazon Pay」。2015年のサービス提供開始から2年、現在の導入事業者数は数千社にのぼる。「ECzine Day 2017 Autumn」に登壇したアマゾンジャパン Amazon Pay事業本部 事業部長の井野川拓也氏は、Amazon Payがもたらすメリットをさまざまな導入事業者の声を交えながら紹介した。

あらゆるECサイトでAmazon同様に簡単・安全な買い物を実現する決済サービス

 Amazon Payは、Amazon以外のECサイトにAmazonアカウントを使ってログインし、決済できるサービスだ。ユーザー(購入者)は商品をカートに入れたあとに「Amazonアカウントでお支払い」ボタンをクリックするとAmazonのサインイン画面に遷移し、そのままAmazonアカウントに登録済みの住所やクレジットカード情報を利用して支払いまで完了できる。

「Amazonアカウントでお支払い」ボタンからAmazon Pay決済を利用できる

 Amazon Payを利用するユーザーのメリットとして、井野川氏は「利便性」「スピード」「安心感」の3点を挙げた。

 「お客様は複数のIDやパスワードを使い分ける必要がなく、AmazonアカウントひとつでさまざまなECサイトを利用できるようになります。Amazonアカウントにサインインすれば登録されている住所やクレジットカード情報を使えるので、買い物のたびに入力する手間もありません。最短2クリックで簡単に注文が完了します」

 3つめの安心感を支えるのは、Amazonの保証サービスだ。Amazon Payを利用して購入した商品なら、万一トラブルがあった際にもAmazonで購入した場合と同様の「Amazonマーケットプレイス保証」が適用されるという。

アマゾンジャパン合同会社 Amazon Pay事業本部 事業部長 井野川拓也氏

ZOZOTOWNなど大規模ECサイトも続々Amazon Payを導入

 日本では2015年5月にAmazon Pay(当時のサービス名は「Amazonログイン&ペイメント」)のサービス提供を開始。以来、導入数は順調に伸びており、現在の導入事業者は数千社にものぼる。

導入事業者数・決済金額ともに大きく成長

 導入事業者のジャンルはアパレルから家電、食品、ヘルス&ビューティー、さらにはプロスポーツチームと多彩で、サイト規模も大小さまざまだ。大規模サイトの例としては、ファッション通販大手のZOZOTOWN(スタートトゥデイ)が2017年4月に導入。同社は導入時にプレスリリースも発表しており、それによると「会員登録が面倒」「Amazonアカウントで購入できるようにしてほしい」といった顧客アンケートの声を受けてAmazon Pay導入を決定したという。

 また、業務用厨房器具などを扱うテンポスや農機具販売のアグリズなど、BtoB事業者にも幅広く導入されている。

 「当初はBtoB事業者様の利用を想定していなかったので、“嬉しい驚き”でした」(井野川氏)

Amazon Pay導入事業者にとっての3つのメリット

 続いて井野川氏は、事業者にとってのAmazon Payの導入メリットについて説明。Amazon Payのグローバルパートナーとして認定されているソリューションプロバイダーによる実績調査や、実際にAmazon Payを導入している事業者の声を交えて紹介した。

 ひとつめのメリットとして挙げたのは「新規顧客の獲得」だ。ソリューションプロバイダーの調査結果(フューチャーショップ、ecbeing、アイピーロジック調べ)では、ゲスト購入者のうちAmazon Pay利用者が40~50%。そのうち会員登録したのは60~80%で、他の決済方法利用者の登録率20~25%を大きく上回ったという。

「ほかに新規会員登録の増加率比較で、Amazon Pay未導入店舗は平均5%増だったのに対し、導入済み店舗は平均56%増という調査結果(フューチャーショップ調べ)もあります」(井野川氏)

 つまり、11倍の増加率ということになる。こうした効果を生む要因としては、やはり購入時に個人情報入力の手間がないことが大きいだろう。注文確定画面に会員登録やメールマガジン購読のチェックボックスを設けておくことで、効率的に会員獲得やメルマガ購読を推進し、リピートによる売上向上につなげることも期待できる。

バイオ茶を販売する宮崎上水園の声

 2つめのメリットは「コンバージョンレートの改善」だ。これについては、Amazon Payとそれ以外の決済で、購入フローに入ってから購入完了まで至る割合を比較したデータ(アイピーロジック調べ)がある。

 「Amazon Pay以外の決済方法を選択した場合、購入完了まで到達したのは65%。3人に1人が、いわゆる『カゴ落ち』です。Amazon Payを使った場合は93%が購入完了しており、コンバージョンレートが1.5倍という結果になりました」(井野川氏)

 実際に、導入直後からカゴ落ち率が10%低下した伊藤久右衛門(宇治茶、抹茶スイーツ販売)や、スマートフォンのコンバージョンレートが約2倍になるとともに売上も2倍になったというカジタク(家事代行サービス)など、多くの事業者がAmazon Pay導入でコンバージョンレート改善の成果を上げている。ファッション通販のSHOPLISTなどは、カートに入れたあとの購入完了率が8.7倍にまで向上したという。

ファッション通販サイト SHOPLISTの声

 3つめのメリットとして、井野川氏は「不正取引止対策」を挙げた。

 「直販および出品サービス(Amazonマーケットプレイス)で膨大な取引を行っているAmazonでは、その分、不正取引を防ぐためのノウハウや情報、技術も豊富に有しています。決済にAmazon Payを利用することで、Amazonと同レベルの強力な不正検知・防止の仕組みを使ってリスクを抑えることが可能になります」

 一般の事業者が自社で不正取引対策に取り組む場合、特に中小規模のサイトではコストや人的リソースが大きな負担となってしまう。Amazon Pay導入によってその負担を解消しながら、より高いレベルの不正取引対策を実現できるというわけだ。その分、空いたリソースを売上に直結する商品開発やサイトの改善など業務に割り当てることも可能になる。

財布を中心としたプロダクトを扱うSUPER CLASSICの声

柔軟な決済パターンに対応する定期購入機能「Auto Pay」

 Amazon Payには定期購入の機能が2016年秋に追加された。井野川氏は「Auto Pay」と呼ばれるこの機能について、従来の定期購入のイメージにはとどまらない幅広い活用方法があると説明する。

「お客様が注文時に選択したクレジットカードを今後も決済に利用することについて同意を得ることで、毎月定額の請求だけでなく、自由に金額やタイミングを設定して請求することも可能になります。提供するサービスの内容に応じて、決済パターンをカスタマイズできるということです」

毎月の定額請求に限らず、さまざまなパターンで活用できる

 具体的には、たとえばワインを毎月3本定期購入している場合に、「今月は1本追加して4本」「来月はもとに戻して3本」といったようなパターンにも問題なく対応できる。

 また、使用量に応じた定期従量課金モデルとして、毎月支払い金額が変動するパターンにも対応。活用例としては、データ通信料金の決済などが考えられる。

 ほかに、事前に同意を得ておくことで、Amazonでの1クリック購入と同様にカートを経由しない「インスタントバイ」にも対応するという。

 Auto Payの機能を導入する事業者も増えつつある。たとえばメガネスーパーでは、この機能を活用してコンタクトレンズの定期便サービスなどを展開。10%強の販売件数増加につながっているという。

スマートフォンで実際にAmazon Payによる決済をデモする井野川氏

Amazonのよりよいショッピング体験を実店舗にも広げる

 最後のトピックとして、井野川氏はAmazon Payの今後の展開について言及した。

 「Amazonではこれまで、主にPCやスマートフォンなどのデバイスを通じて、よりよいショッピング体験を提供してきました。今後はそれを実店舗にも広げていきます」

 すでにアメリカでは、書店の「Amazon Books」やレジのないコンビニと呼ばれる「Amazon Go」など、オフラインの実店舗にオンラインの技術を融合させた取り組みを展開している。そこで決済の部分を支えているのは、もちろんAmazon Payだ。Amazon内だけでなく、レストランチェーンT.G.I.Fridaysの一部店舗において、Amazon Payを事前注文・決済に利用できるサービスも始まっている。

 「Amazon Payで簡単・安全な決済を実現しながら、オンラインだけでなく実店舗についても、より便利で快適なショッピング体験をお客様に提供できるようにしていきます」と井野川氏は最後に語り、セッションを締めくくった。

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