テクノロジーを敬遠すると損をする
データフィード広告がマストに
プラットフォームの小さなアップデートは何度かあったものの、びっくりするような変化はなかったというのが、2016年の運用型広告に関するふたりの所感だ。Instagram広告やLINE Ads Platformなど、広告を掲載するメディアは増えても、広告クリエイティブや運用方法などは大きく変わらないからだろう。
そうした状況下でトピックスを挙げてもらったところ、ひとつは「データフィード広告の一般化」だった。
データフィード広告とは、EC事業者が保有する商品データベースを、一定のルールに従って構造化(例:商品名、商品説明、画像、URLなどで区分)し配信すると、それぞれのユーザーに適した商品の情報がピックアップされ、自動的にバナー等の広告クリエイティブになり表示されるというもの。
Googleのショッピング広告であれば、検索結果に画像とともに商品が表示され、Criteoであれば、閲覧商品とオススメ商品が並び、くるくると動くバナー形式で表示されるクリエイティブが代表例だ。
「これまでのテキスト広告よりも、ショッピング広告のほうが目立ち始めたのが、データフィード広告が浸透した理由のひとつだと思います。2016年2月に、Googleのデスクトップ向け検索結果の右側にテキスト広告が表示されなくなったこともあり、さらに注目度が増しました。
ニュースやブログを読んでいたら、Google AdWordsやCriteoのダイナミックリマーケティングが表示されます。『なんだこの、商品が追いかけてくる広告は』と気づき、『同じことがやりたい』とご相談いただくケースが多いです」(田中さん)
広告を出稿するための素材となるデータフィードは、最もシンプルなものであればExcelでも作成可能だ。しかし、EC事業者が持つ膨大な量の商品データベースを、頻度高く更新し、最適化するためにはシステムに関する知識が必要になる。そのため、苦手意識からデータフィード広告を敬遠するEC担当者は少なくなかった。
だが、見てみぬふりが通用しなくなったのが2016年だと阿部さんは言う。
「データフィード広告をやらないと、機会損失になります。そのため、運用型広告にかかわるすべての人が、データフィードに関する情報をキャッチアップしなければならなくなりました」
プログラミングを一から勉強しないといけないのか、と身構えるかもしれないが、詳細な仕組みまで網羅する必要はないとのこと。
「たとえば、『英語を流暢に話せなくてもいいけれど、辞書を引きながら英文が読める』くらいの知識があれば、次にとるべきアクションは何かが見えてきます。プログラミングができなくても、ASPカートの機能としてデータフィードを出力できたり、広告代理店側にすべてをお願いできるケースもあります。最低限の知識があれば導入はスムーズに進むことが多いです」(田中さん)