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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

書籍『売れるECサイトのすごい仕掛け』定点観測

ラストワンマイルを追求すると基本から改善せざるを得ない


 価格競争が激しいEC市場において、配送料も大きな競争要因となり得る。最近の物流業界のトレンドでは、人海戦術を脱却し、効率的なシステムの導入や、付加価値の提供などが注目を集めているという。※本記事は、書籍『ECzine 売れるECサイトのすごい仕掛け』(翔泳社)に掲載したものです。  

人海戦術では本当に限界が コストより質を重んじる物流へ

 配送料値上げ、年末年始やセール時のパンク状態など、課題が多い物流の世界。人海戦術でどうにかしていた部分を、システムで改善しようという流れが起きている。

インフィニティーオクターバーで物流コンサルティングを行う栗田由菜さんは、いまの物流のトレンドは3つあると言う。「3PLの見直し」「越境EC」「オムニチャネル・O2O」だ。

 ひとつめの3PLの見直しだが、そもそも3PLとは、サード・パーティ・ロジスティクスの略で、物流業務の委託先のこと。ある程度の規模になると(最近ではEC開始当初からという事業者も)3PLに委託し、さらに成長して数十億円規模になると自社倉庫を持つようになるというのが慣例だ。

 3PLに委託する場合、商品を3PLの倉庫に直送し、注文が入るとそこで梱包し、発送してもらう。商品画像の撮影など、「ささげ」と言われる業務を3PLが行っている場合もある。自社ECの構築から運営から、まるごと委託し、その中に倉庫も含まれている場合もある。このように見ても、多くの事業者で物流部分は外部業者に丸投げというところが少なくない。

 こうした事情から、委託先はコストを優先して選定される場合が多かった。しかし2016年あたりから、変化が起きているという。

 「質やサービスで選ぶEC事業者が増えてきています。コストを抑えようとして、物流の質やサービスをないがしろにしてきた事業者のビジネスが、厳しくなってきているからです」

 質やサービスで選ぶには、そもそも物流に求めるものを明確にしなくてはならない。

 「EC事業者からすれば自社のビジネスなので当たり前でも、3PLからすればはじめて接するビジネスで、その特性がわからないという場合もあります。アパレルなら、他のアパレル企業が依頼しているところを選べば間違いない、と思うかもしれませんが、一般的なアパレルとは何か、自社のビジネスがいわゆるアパレルに該当するのか、考え直してみる必要もあります。

 つまり、この商品1個を送るのに、本当はいくらかかっているのかを正確に把握できているEC事業者は、それほど多くないんです」

 一方で、3PL側にも課題はある。

 「3PLの見積もりを一括ダウンロードできるサイトでも、見積もりの明細がバラバラで、比較が難しいんです。それを統一していく必要があると思います。

 また、物流は立場が弱いもの。荷主から頼まれると、言われるままやってしまうというのがある。雑貨がメインでも、『アパレルもできませんか?』と言われたら、やったことがなくても請け負います。そしてトラブル発生……といったケースも少なくありません」

 課題は多いが、逆に言えば、これまではこうした条件でもなんとか回ってきたということ。注文が殺到することを表現する「波動」が来たら、EC事業者も倉庫に出向き、徹夜で梱包してきた。それがEC市場の成長により、そして質やサービスを追求することにより、人海戦術では限界が見えてきたのだ。

 大きなテーマだが、対応策はまず足元から。

 「まずやってほしいのは、SKUを整備すること。倉庫では、どの商品かわからないといったことがよく起きています。年商数億円規模のEC事業者さんであっても、これができていないところが多いんです。ECサイト構築プラットフォームも、SKUを整備できるか否かという基準で選ぶのもいいかもしれません」

3PL注目の会社

スクロール360

3PLの老舗。ECを主事業とする親会社スクロールがある。

浜松委托倉庫

冷凍など、温度管理をきめ細かく対応できるのが特徴。

オーティーエス

アパレルに強い倉庫。商品タグの付け替えや修理も請け負う。

ティービーエス

独自のささげシステムを開発するなど、雑貨やアパレルに強い。

ボーダーライン

波動対応などをはじめ、マーケティングなどと統合した動きが可能。

カインズ商配

BtoBを軸としつつも多種多様な業態に対応可能。

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ECzine編集部(イーシージンヘンシュウブ)

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