老舗アパレルが取り組んだ、ユーザーの属性に応じた「接客」
エディー・バウアー・ジャパンは、メンズ、ウィメンズ両方のカジュアル、アウトドア等の幅広いカテゴリーを展開する米国発の老舗ファッションブランドです。
同社ECサイトにはさまざまなユーザーが訪れます。既に何度も購入した顧客もいれば、知人のFacebookの書き込みを見てふらっと訪れた、購入回数0回のユーザーもいます。40代、50代のユーザーがメイン層ですが、20代の顧客もいれば、70代の顧客もECサイトで買い物をしており、まさに老若男女が訪れるサイトです。
そうした顧客に対し、同じコンテンツ、同じメルマガを送信するというのが従来のマーケティングでした。しかし今回、「お客様それぞれの属性に応じて最適化された接客を行う」取り組みを始めることになりました。
以前から同社では、Google Analytics等を活用して、ECサイトがどう活用されているかの分析を行ってきました。しかし、お客様の属性に応じた対応をネット上で行うには、EC運営担当者は、あまりに多忙です。
自動化ツールを導入すれば解決するというわけでもありません。既存のプラットフォーム的なサービスは、超・大規模EC向けだったり、BtoB向けだったりするケースが多く、専任の担当者を置かないと使いこなすことができず、初期投資を回収しにくいものでした。
メルマガに顧客属性パラメータを手動で追加して実験
そこでまずは、利用可能なリソースの範囲内で、実験を行ってみることしました。普段使っているメールマガジンの効果測定の方法を応用、UTMパラメータに加えて、顧客属性のパラメータを追加することで、ECサイト上での属性別の顧客の行動を調べる実験をしました。
まず、メールマガジンに掲載するURLに付与する、顧客属性のパラメータの文字列の独自ルールを下記のように決めました。
セグメント | パラメータ名 | 分類 | パラメータ内容 | パラメータ |
---|---|---|---|---|
性別 | ps | 男性 | m | ps=m |
女性 | w | ps=w | ||
不明 | null | ps=null | ||
年齢層 | pa | 10代 | 10 | pa=10 |
20代 | 20 | pa=20 | ||
30代 | 30 | pa=20 | ||
40代 | 40 | pa=40 | ||
50代 | 50 | pa=50 | ||
60代 | 60 | pa=60 | ||
70代以上 | 70 | pa=70 | ||
不明 | null | pa=null | ||
5万円以上購入 | pb | 未満 | u | pb=u |
以上 | d | pb=d | ||
不明 | null | pb=null | ||
購入回数 | pn | 0回 | 0 | pn=0 |
1回 | 1 | pn=1 | ||
2回 | 2 | pn=2 | ||
以下、購入回数n回 pn=n | ||||
不明 | null | pn=null | ||
オンライン会員 | po | 会員 | y | po=y |
不明 | null | po=null |
上記のパラメータを実際にメールに掲載する際には、下記の例ように記載します。
メールマガジンに掲載するパラメータ付与例
http://www.eddiebauer.jp/ウィメンズ+セール/cid/0000/?ps=w&pa=50&pb=u&pn=4&po=y
今回、エディー・バウアー・ジャパンでは、上記で紹介したパラメータを付ける作業を、手作業で行いました。実は、ツールの導入で自動化できるのですが、ある施策や分析手法が実際にECサイトの改善に繋がるのか、手作業による実験で検証することは、極めて賢明な進めかたであると言えます。