抵抗があったSNS運用 自社EC開設で新たなチャレンジを
──Amazonでの販売強化をしながら、2025年2月には自社ECサイトも立ち上げています。販路を拡大した背景を教えてください。
中島 自社ECサイトを開設した大きな理由は、自社商品のブランディングのためです。今までの得意先様の中でも、変化は生まれています。卸事業にも引き続き力を入れていきますが、従来の取引先が今後も変わらず自社商品を取り扱ってくれるとは限りません。10年後20年後もずっと愛され続けるために、自社の販売チャネルが必要だと思いました。
お客様が自社ECサイトに来てくれれば、商品に対する疑問も晴れます。また、当社からすると、他社とのコラボレーション企画もプロモーションしやすいです。そうした取り組みから、認知度を上げていきたいと考えています。
しかし、開設してから数ヵ月とはいえ、売上は想像以上に伸びていません。欠品が続いている人気商品の在庫を確保し、きれいな画像も用意し、SNSも始めました。準備は完璧だと思いましたが、簡単な道ではありません。最初からホームランを打とうとしてはだめだと実感しました。これからSNSで知ってもらうきっかけを増やし、フォロワー数も拡大していきます。
実は、最初はSNS運用を始めることに抵抗感がありました。様々な取引先から話を聞き、社員への負担が大きすぎるのではないかとの懸念があったからです。わざわざ土日に出勤して、コンテンツを作らなければならない可能性もあります。社員を犠牲にした上に成り立つ施策はやりたくないのが本音でした。
それでも、EC強化に、同じオンラインチャネルのSNSは大きなメリットがあります。また、元社員のデザイナーから協力してもらえることとなり、スタートのハードルが下がりました。仲間とともに着実に取り組んでいきます。

──新たな課題が見えてきたと同時に、次にやるべきことも明確になった印象です。今後、どのような価値を届けていきたいと考えているのでしょうか。
中島 人々のちょっとした幸せ、豊かな暮らしの実現に貢献したいです。これは会社としても重要な目標だといえます。
具体的な戦略としては、PBの本格的な海外展開を視野に入れています。当社商品の需要は国内にとどまらないという自信があります。2026年2月には、ドイツ・フランクフルトで開催されるBtoBの国際見本市「Ambiente」に出展予定です。自社商品で幸せになる人を、増やしていきたいですね。そして、その体験がEC事業の発展につながっていくはず。まずは、新たな出会いの場を積極的に設けていきます。