競争の対象は価格だけではない
多くのブランドや商品があふれる昨今。消費者にとって、買い物の選択肢が格段に広がったといえる。加えて、SNSなどを通じてオンライン上で容易に情報収集が可能となった。
一方、EC事業者にとっては、自社ブランドや商品を訴求するハードルが年々上がっている。ライバルが増え競争が激化する中、消費者に選ばれ売上を上げ続けるにはどうすれば良いのか。
そんな問いへの回答を「販売編」「業務編」「組織編」「戦略編」の4つのカテゴリーで届けるのが『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』(インプレス/坂本悟史・コマースデザイン株式会社 著)だ。
本書では、これからEC事業を伸ばしたい初心者向けの基礎知識や再び軌道に乗せる戦略などが、全64の法則で細かく学べる。たとえば法則1の「販売は『比較されている自覚』から始まる」では、次のような視点が紹介されている。
利用者によって比較基準は「価格以外」にもたくさんあるのです。(中略)私たち事業者には徹底的に見比べられながらも、コスパだけで徹底比較される「非合理な価格競争」には巻き込まれず、別の角度から魅力を打ち出せる余地があるのです。(P20-21)
時間がない=時間を捻出する仕組みがないだけ?
EC部門では、限られたリソースで多様な業務をこなさなければならないケースが少なくない。「時間がなくて計画した施策を実行にまで移せなかった」と嘆く人もいるだろう。
そうした読者におすすめなのが、法則33「時間を生み出すために『ECチーム』を作る」だ。「時間がないのではなく、時間捻出の取り組みができていないのが本当の課題(P167)」と指摘されている。
これに対して、本書では「セルフマネジメント」「ワークマネジメント」「チームマネジメント」の3段階のマネジメント法を提案。ひとりECの経営者、ECチームのリーダー、メンバーといった各読者の役割に合わせて行える対策を解説している。
このほか、自社が抱える課題に関連した法則から読み進めることも可能だ。EC運営を一から学ぶ場合はもちろん、どのような仕組みや施策が足りていないのか答え合わせをする材料としても役立つだろう。