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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzine Day 2024 Autumn レポート(AD)

AIの罠にはまらない広告運用論 ROAS・ラストタッチ評価からの脱却に必要な五つの解決策を提示

一般ワードでも起こり得るリピーター偏重の注意点

 ここで中野氏は、オーリーズが支援したある企業の検索広告キャンペーンを例に挙げた。一般ワードを扱う同キャンペーンから生まれたコンバージョンを、顧客IDを用いて「新規」と「リピート」に分けて集計したところ、平均の新規率は41%、つまり約60%がリピーターだったという。

「『一般ワードは新規顧客にリーチできる』と考えている方も多いでしょう。しかし、実際は半数以上がリピーターという結果になりました。

 新規獲得“総数”が伸び悩むと売上の積み増しが小さくなり、コスト負担の大きな集客構造になりかねません。成長率が鈍化している企業の詳細を分析してみると、『新規獲得が伸びていない』といった状況が明らかになることも多々あります。事業を伸ばし続けるには、売上だけでなく『顧客総数が増えているか』といった中長期の視点も必要です」

問題意識
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広告ROASは「評価基準」ではなく「○○○○」に 

 続いて中野氏は、冒頭で提示した「売上を停滞させる五つの特徴」について、こうした状況に陥りやすい原因や理由を説明。さらに、例を挙げながら持続的な成長を遂げるための解決策を提示した。

1. メインの広告KPIはROASである

 2024年5月に米国のウェブメディア「AdExchanger」が開催したイベント「Programmatic I/O」で、CriteoのStephen Howard-Sarin氏は「ROASの測定が容易なことは“モラルハザード”である」といった旨を述べている。中野氏はこれに同意しながら、聴講者に向けてこう投げかけた。

「ROASというわかりやすい指標に安心しきって、他のリスクに対して無防備になっていないでしょうか。プラットフォームが管理画面上で報告するROASは、本当に事業成長に貢献しているのか、疑う観点も必要だと私は考えています」

 こうした“落とし穴”から脱却するための解決アプローチとして、中野氏は評価する指標の優先度を「トータルROAS」「新規獲得相対CPA」「広告ROAS」の順に提示。それぞれの長所と短所を踏まえた見方についても言及した。

指標の定義(計算方法)
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「『すべての売上÷すべての有料施策の費用』で割り出せるトータルROASは、プラットフォームが提供する管理画面や計測システムだけでは可視化しづらい広告効果も考慮可能です。ここに目を向けると、『投じたすべての費用に対して基準以上のリターンがあるか』といった視点になるため、個々の施策の広告ROASといったミクロな評価が重要ではなくなります。すると、事業全体が成長できているかどうかに着目することができます」

 たとえば、広告以外の有料施策が好調であれば、広告施策では「短期的な売上(=広告ROAS)よりも新規獲得数の伸びを優先する」といったように、未来志向のチャレンジが可能となる。これも、リピーター偏重から脱却するには重要な視点だ。

 新規獲得相対CPAは「有料施策経由で獲得した新規顧客のCPA(顧客獲得単価)」を指す。「施策にかかった費用÷施策で獲得した新規顧客数」の計算式で割り出すことで、獲得単価の参考値が算出可能となる。

「実際のCPAを表すものではありませんが、新規獲得を目的とした施策の相対評価ができるため、より有効な施策の検討と実施をかなえられます」

 これまで一般的な評価指標とされてきた広告ROASについて、中野氏は「数値を『評価基準』にするのではなく、『分析起点』と位置づけるのが理想」だと説明する。

「広告ROASだけで施策の良しあしを判別するのは困難です。たとえば『400%』など限界値を決めておき、それを下回る施策は新規獲得相対CPAの実績も併せて確認しながら、投資を継続するか判断する。こうした運用がお勧めです」

次のページ
わかりやすいコンバージョン指標に引っ張られない判断基準のもち方

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この記事の著者

景山 真理(カゲヤマ マリ)

フリーランスのライター。EC店舗、タウン情報誌制作会社、マーケティング支援企業などへの勤務経験を経て、ウェブメディアや雑誌をはじめとする紙媒体のライティングの仕事をしています。専門領域はデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、ECのセールスメルマガ、仕事・働きかた、デジタルトランスフォーメーションです。 ウェブ●Mari Kageyama Writing Works

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社オーリーズ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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