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DXを推し進め、国民性やサービスレベルが劇的に変化している中国。今回は、同国におけるEC市場の今を解説します。
宅配サービスが中国EC市場の中核に
中国には、日本で利用されている楽天市場やAmazonのようなECモールも数多く、世界最大のマーケットの一つに成長しています。その中で中国の特徴を表すのが、「宅配サービス」です。特に、飲食店の宅配網が発達しており、ほとんどの商品は15~30分で届きます。
飲食店の宅配だけでなく、薬局などでは薬を注文したり、薬剤師にオンライン上で相談したりできます。フルーツはカットフルーツやスムージーに、食肉はステーキ丼に、お刺し身は海鮮丼にして届けてくれます。靴や水着、スマートフォンですら30分以内に届きます。そして何よりも、価格が安いのです。
一方、日本では中国ほど宅配サービスが進んでいません。なぜでしょうか。
日本の場合、コンビニエンスストアが非常に発達しています。消費者の需要をコンビニエンスストアが満たしているため、宅配サービスが普及しづらいのでしょう。
中国の宅配サービスが様々な商品を迅速に提供できるのには、いくつかの理由があります。日本と比較してみましょう。
- ビジネスモデルの違い
中国の宅配サービスは多くの場合、配達員の数を増やし、低価格で提供することに重点が置かれています。しかし日本では、高品質なカスタマーサポートやサービス品質が重視されます。
- コンビニ文化の違い
日本はコンビニエンスストアが広く普及しており、急な需要にも対応できます。これが宅配サービスの普及を一部抑制している可能性があります。
- 法規制の違い
各国の法規制なども、宅配サービスに影響を与えます。日本では、医薬品をはじめ中国と比較すると販売方法に制約が存在する場合があり、多様な商品の宅配が難しいと考えられます。
- 文化的な違い
日本では実店舗での買い物が浸透しており、そもそも宅配サービスの需要が中国ほど高くないといえます。
- 競争環境の違い
中国の宅配市場の競争は非常に激しいです。それが、価格を抑えながら多様なサービスを提供できる理由でもあります。日本の宅配市場は、価格競争がさほど進展していないように見えます。
このように、日本と中国の宅配サービスには多くの違いがあります。とはいえ、高齢化が進む日本でも、将来的には宅配サービスが進化し、より多様な商品を迅速に届けられるようになる可能性はあります。