愛ある顧客の声を集め、密度高い「村」のような交流を生む
2003年に自社EC、2004年に楽天市場への出店を開始し、まもなく販売開始から20年を迎える「タマチャンショップ」。コミュニティサイト「タマリバ」については、2019年頃から構想を練っていたと言う。
「楽天市場では、年に1回『楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー』という表彰制度があります。タマチャンショップは長年いくつかの賞をいただいていますが、これらはお客様の投票がなければ受賞にはつながりません。また、SNSの普及・発達によりお客様自身が情報発信をしてくださる機会が増えていることにも着目しました。当社でもこうした投稿を『しあわシェア』と名付け、スタッフ間で共有しているのですが、『これはもっと多くのお客様に知ってほしい商品の活用法だ』『お客様同士でもシェアできたら共感がより広がり、愛着にもつながるのではないか』と思う機会が次第に増えていったのです。
今はSNSの種類も増え、その分情報が埋もれやすくなっています。ハッシュタグなどで共通項のある人々が集まることもできますが、タマチャンショップのお客様同士がより密な交流ができるようになると、発信しているお客様も受け取る側のお客様もさらに発見や理解が深まるのではないかと考えたのです。さらに、僕らもこうした投稿に反応することで作り手と受け手という関係ではなく、同じ『村人』のような感覚で垣根のないつながりを生み出せるようになるのではないか。これが、タマリバ開設のきっかけです」
タマリバには現在、大きく分けて5つのコーナーが存在している。田中さんがひとつめに紹介したのは、読みものコーナー「食通新聞」だ。
「ここでは、僕も『キャプテン』という名前で投稿をしています。オープン時に『タマリバへの想い』を語らせていただいたり、当社社員が新商品の情報や開発秘話、アレンジレシピを投稿するなど、タマチャンショップからタマリバにいるお客様へ愛着がより深まるようなコンテンツを発信するコーナーとなっています。
タマチャンショップでは年に複数の新商品を発売していますが、これまでなかなかお客様にリアルタイムで開発過程を見せたり、想いを語ったりする機会がありませんでした。交流を深めるにはこうした情報もしっかり発信する必要があると考え、コーナーを設けています。実は、食通新聞はお客様へ商品を配達する際に同梱物としてお届けしていたものなので、商品購入時以外にも僕らの想いが常に届けられるようになったと言えます」
田中さんがふたつめに紹介したのは、お知らせを届ける「回覧板」コーナーだ。キャンペーン・イベント告知、店舗情報に加え、アンケート実施の案内も同コーナーから行っている。
「このほかに、『しあわシェア』『わたしのひとさら』『目安箱』というコーナーを設けていますが、こちらはお客様主導の交流が軸となる場です。わたしのひとさらは、タマチャンショップの商品を使ったアレンジレシピを投稿してもらうコーナー、目安箱は『こんな商品があったら良いのに』『既存商品のここをもう少し改善してほしい』といった忌憚のない意見を寄せていただくコーナーとなっています。
とくにタマリバの中で軸足を置いているのは、しあわシェアです。これまでお客様がSNSに上げていた情報などを、タマチャンショップ愛の強いお客様が集まる空間に投稿していただき、コメントのやり取りなどからさらに交流を深めていただいています。すでに気になる商品についての質問や、わたしのひとさらコーナーに掲載されたアレンジレシピの作ってみた報告などが投稿され、活発なコミュニケーションが生まれている状況です」