実店舗発企業のファストリ、ニトリもネット販売額を拡大!
ネット通販・ECの拡大については、いまさら説明が不要だろう。量販店など実店舗にとっても、EC市場は主戦場になって久しい。
国内BtoC市場(消費者向け電子商取引)規模は19.3 兆円。コロナ禍の影響で旅行などサービス系分野が落込んでいるものの、物販系分野の市場規模は拡大の一途である。「衣類・服装雑貨等」は2兆2,203 億円(EC化率19%)、「生活雑貨、家具、インテリア」は2兆1,322 億円(同26%)だった(経済産業省発表、20年数値)。
スーパーとコンビニを合わせた市場規模(合計23兆円強)に並ぶ勢いで拡大しているわけだが、大きな影響力を発揮しているのがアマゾン・ドット・コムだ。日本語による通販サイトを開設した2000年、同社の年間売上規模は27.61億ドルにすぎず、損益は14.11億ドルの最終赤字だった。それが20年余で売上高は150倍に迫る3,860億ドルに達し、最終利益も213億ドルを計上するまでになった(20年12月期決算)。
当初は「ネット書店」にすぎなかったが、取扱商品を拡大し確固たる地位を築き上げてきた。売上高ベースでいえば、実店舗世界トップのウォルマートの5,591億ドル(21年1月期)に迫る勢いである。
実店舗側は市場が拡大するネット通販への対応として、集客力で強みを発揮するアマゾンはもとより「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」などへ相次いで出店。国内のアパレル関連企業にとっては、ヤフーとグループを組むようになったファッション通販サイト「ZOZOTOWN」での販売も欠かせないものになっている。
「ユニクロ」のファーストリテイリング、家具販売のニトリホールディングス(HD)、衣料品販売のユナイテッドアローズのEC売上高とEC比率(表①)を確認しておこう。
ファーストリテイリングやニトリHDは、業界トップにふさわしくネット通販による販売額を拡大。ファーストリテイリングは世界規模では3,800億円(EC化比率約18%)まで伸長しているとしている。ユナイテッドアローズは、店舗売上高が低迷していることもあるがEC比率をアップ、販売の4分の1はオンラインショップによるものだ。
主な量販店のEC売上高とEC比率(表①)
ネット通販の最大のネックは物流である。宅配をベースにするかぎり、配達料金を含めて主導権はアマゾンや楽天市場などプラットフォーム側にある。そうした流れの中で独自路線、「店舗在庫による店舗受取通販」(BOPIS)を打ち出したのがワークマンだ。