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オムニチャネルのもう一歩先に オンとオフを融合するための絶対条件とは

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2019/06/24 07:00

 およそ70年にわたって事業を展開してきたコメ兵が見据えているのは すでに「オムニチャネル」ではない。なぜ今、「OMO」なのだろうか。※本記事は、2019年6月25日刊行の『季刊ECzine vol.09』に掲載したものです。  

 「今、オムニチャネルはもう一歩先に進もうとしています」  

 ウェブ「ECzine」で、実店舗を持つ小売業向けに、顧客の体験価値の創造とそのオンラインとオフラインの企業側の対応をテーマにした人気連載の最終回(参照)。著者であるコメ兵・藤原さんは、その「もう一歩」進んだ先にあるのが「OMO」であると言及していた。藤原さんは同じ記事の中で、こうも述べている。

 「OMOは、これからの企業のあるべき姿を示しており、それが意味するのは『より深い消費者理解』です。上っ面だけの顧客理解では、今後、小売業は生き残っていけません」  

 藤原さんがリテール事業者にそのように警鐘を鳴らす理由とは。「より深い消費者理解」のためにすべきこととは。それを考えるためには、オムニチャネルとOMOの違いを理解することから始める必要がありそうだ。

株式会社コメ兵 マーケティング統括部 執行役員 藤原義昭さん

「視点」と「始点」 オムニチャネルとOMOの違い

 「オムニチャネルはお客様『視点』。OMOはお客様『始点』」。そこが大きな違いだと藤原さんは考える。オムニチャネルで重要となるのは「お客様がどこでもストレスなく買える状態を作ること」であったが、OMOでは「お客様に提供できるサービスやモノの幅の広さ」がポイントになると言う。そのためにはまず、「お客様がどういう人であるか」を理解することが不可欠であり、そこでカギを握るのが「データ」である。

 「主なデータの種類をお客様軸で考えると、購買データや属性データ。企業の軸で考えると、商品データがありますよね。ですがOMOの実現に向けては、それだけでなく、『行動データ』を加える必要があります」

 顧客の購買行動と一口に言っても、さまざまな段階がある。お店に来る前、お店で商品を選んでいるとき、購入後の使用。これらすべてにおける行動データを、どのように活用すればいいのだろうか。

 「コメ兵がやっていることも、モノの販売ではありますが、一口にモノを買うと言っても、購入する前に『これが欲しい』と期待するところから、店頭で『やっぱりこっちの色のほうがいいかな』と迷ったり、実際に購入後『買ってよかった』と感じてもらうなど、さまざまな段階がありますよね。そのすべてにおいてお客様により心地よい購買体験を提供するため行動データをいただいて、それをさらに返していくためにはどうしたらいいかを考えていく必要があると思います」

 だが「データをもらう」ことのハードルがとくに日本では高く、そのためOMOがなかなか進まないのではないかと藤原さんは指摘する。

 「中国でOMOが進んでいるひとつの理由は、『信用スコア』にあると思っています。たとえばアリババでは、膨大なデータをもとにユーザー1人ひとりの信用スコアを算出しており、そのスコアに応じた恩恵を受けることができます。そのため中国の消費者は、信用スコアをあげるために、さまざまないいことをしようと思うわけですよね。だからデータを提供しても、その分いいことが返ってくるのだからそれでいい。そこには強力なインセンティブが働いています。ですが近年、日本では広告が嫌われていたり、お客様自身も情報を取られたくないと思っている方が多い。

 行動データを取ることももちろん重要なのですが、それ以上に、本当にお客様のことを考える、ということがすごく重要だと思います。この人はどんなことを日頃考えていて、どういうときに嬉しいと感じるのか。そういったことを考えていくと、自分たちが売るものは何でもいいんじゃないかと思ったりもします(笑)。わたしたちはロレックスやルイ・ヴィトンなどの販売を行っていますが、ロレックスを売りたいと思っているわけではなくて、ロレックスをわたしたちから買ってもらったことによって、お客様の生活を豊かにすることが目的です。商品は、豊かな暮らしを応援する手段でしかないんですよね」

この記事は、紙の定期購読誌『季刊ECzine』に掲載した限定公開の記事です。
続きは以下の方法でお読みいただけます。


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連載:季刊ECzine vol.09特集「Shift to OMO ~オンとオフを融合するためのアイディア~」

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