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実店舗決済や音声ショッピングまで Amazon Payが可能にするコネクテッドコマースとは

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2019/04/23 11:00

 2015年にAmazonからリリースされた「Amazon Pay」は、ユーザーのショッピングを円滑にするだけでなく、事業者にマーケティングツールとしての効果ももたらしている。「ECzine Day 2019 Spring」に登壇したAmazon Pay事業本部長の井野川拓也氏は、豊富な事例を交えてその効果を紹介するとともに、Amazon Payが実店舗や音声などの新たなチャネルとつながることで拓けるコマースの可能性について語った。

Amazon Payがユーザーにもたらす3つのメリット

 Amazon以外のECサイト上であっても利用者がAmazonのアカウントを使って商品を購入することのできるID決済サービス「Amazon Pay」。井野川氏は、その立ち上げから携わり、現在は日本におけるAmazon Pay事業の責任者を務めている。導入実績は、サービスの提供を開始した2015年5月からおよそ4年の間に数千社を超え、決済金額も順調に増えている。

アマゾンジャパン合同会社 Amazon Pay事業本部 本部長 井野川拓也氏
アマゾンジャパン合同会社 Amazon Pay事業本部 本部長 井野川拓也氏

 ユーザーがAmazon Payを利用するメリットとして井野川氏が挙げたのは、サイトごとにアカウントを作成する必要のない「利便性」、ログイン後は住所などの情報が自動表示されるため素早く購入できる「スピード」、トラブル発生時もアマゾンマーケットプレイスの保証が適用される「安心感」の3つだ。

「安心感という面では、最近、クレジットカード番号の漏洩に関するニュースを目にすることも増えたように思います。Amazon Payに登録されているお客様のクレジットカード情報はAmazonが保存しており、その情報を事業者にわたすことはありません。我々のサービスを使っていただければ、自分のカード番号をさまざまなECサイトで入力する必要がなくなりますので、その漏洩リスクをおさえることが可能です」(井野川氏)

 一方、Amazon Payを導入することによってもたらされるEC事業者側のメリットも3点ある。ひとつめは「新規顧客の獲得」だ。

 Amazon Payのパートナー各社が導入企業を対象に調査を行ったところ、ゲスト購入のうち約半数はAmazon Payを使って決済が行われていた。さらに、そのあと購入したサイトやブランドの会員となった購入者の割合は、6割〜8割ほど。他の決済手段に比べて格段に高い。

 なぜこれほど高い会員化率を叩き出すことができるのか。それは、ECサイトの注文確認画面に「お客様情報を会員として登録する」「メールマガジンを購読する」というチェックボックスが付いているため、注文確定と同時に会員登録やメルマガ登録が行えるためだ。フューチャーショップが開示したデータによれば、導入サイトの年間会員増加率は非導入サイトの3倍強にものぼる。

 井野川氏はここで、いくつかの事業者の声を紹介。阪急百貨店では、会員登録のハードルを下げることを目的のひとつにAmazon Payを導入したところ、6ヵ月間で会員登録を行ったおよそ15%が、Amazon Payから登録をしていたことがわかった。この中で井野川氏が注目したのは、地理的なロケーションだ。

 「阪急百貨店様では、店舗の集中する関西圏の会員が元々多かったところ、Amazon Payを導入したことで、ほかの地域の会員数も非常に増えたそうです。新規会員獲得のためにマーケティング費用をかけている事業者様も多いと思いますが、営業マーケティングツールとしてAmazon Payを使っていただくことで会員獲得コストを節約できれば、商品開発などの他業務にリソースを充てていただけるのではないでしょうか」(井野川氏)

CVR改善にも効果的なAmazon Pay 
導入後にカゴ落ち率が10%低下したケースも

 井野川氏はユーザーにとってのメリットとしてふたつめに挙げたのが「CVRの改善」である。

 アイピーロジックがAmazon Payを導入した20社を対象に行った調査によると、その導入前後では、CVRに1.5倍の差が生じている。入力の手間が省略されることにより、カゴ落ちを防ぐことが期待できるのだ。

 メガネ専門店「JINS」では、限定モデルをウェブにて販売した際、40%以上のユーザーが決済手段としてAmazon Payを選択。また、過去に行ったCVR改善施策での数字の変化はおよそ数%ほどであったが、Amazon Payの導入後にカゴ落ち率が10%低下したというのは伊藤久右衛門。同社のEC担当者はこの数字に対し、「今まで試した施策の中で最大のインパクトがあった」とコメントしている。

 3番めのメリットは「不正取引対策」。Amazon Payの不正検知システムは、Amazonのサイトと同じ仕組みが使われている。

「これにより、Amazonが販売を行っている各国の不正に関する情報をもとに、検知を行うことができるため、不正取引の抑制も期待できるのではないでしょうか」(井野川氏)

サブスクリプション型や実店舗にも幅広く対応

 近年増えつつあるサブスクリプション型のECにもAmazon Payは対応している。購入者が注文時に使ったクレジットカードに対し、今後もその事業者から課金が行われる旨を了承する仕組み「Auto Pay」がそれにあたる。

 このサービスにより、自動課金に対して心理的な障壁を感じる利用者も、「間にAmazonが入ることによって『何かあってもAmazonが保証してくれる』と感じてもらうことができ、それによりお客様のハードルが下がるのではないか」と井野川氏は考える。なお、コンタクトレンズの定期便を提供するメガネスーパーではAuto Payの導入後、販売件数が10%強増加したという。

 Amazon PayはECサイトのみならず、2018年8月より実店舗におけるスマホ決済サービスへの対応を開始したことも大きな話題を集めた。Amazonショッピングアプリを利用していれば、アプリ内に表示される2次元コードを通じ、実店舗でもAmazon Payを使った決済を行うことができる。専用アプリのダウンロードや銀行口座へのつなぎこみが不要な点も大きな特徴だ。

 実際に、カフェやショッピングモール、また一部の行政サービスでも、Amazon Payの実店舗決済の利用が開始されている。大阪府の四條畷市では、住民票取得にかかる費用をAmazon Payで支払いをすることが可能となっている。

「現金支払いのみであった場所にコード決済やキャッシュレス化が広まっていくことによって、お客様の利便性をさらに高めていくことができるのではないでしょうか」(井野川氏)

コネクテッドコマースでショッピング体験を豊かに

 井野川氏が「今後伸びていくチャネル」として予測するのは、音声によるショッピングだ。Amazon PayとAlexaスキルを組み合わせることにより、ECサイトの起動、レコメンド機能の利用、商品の予約や注文、さらには納税や寄付まで音声を通じて行うことができる。

 日本赤十字社での募金をはじめ、出前館での出前注文、JTBでのチケット予約、メガネスーパーでのコンタクトレンズのリピート購入などが、Amazon Payを利用したAlexaスキルに対応している(2019年4月時点)。

 これまでは、Alexaが提案してくれた内容をその都度メモにとり、新たにウェブを開いて検索や注文を行う必要があったが、AlexaスキルにAmazon Payをつなぎこむことによって、検索から決済までをワンストップで完了することが可能になる。利用されるたびに学習するAIによって、利用者の生活スタイルや趣味嗜好に応じた高精度のパーソナライズも実現する。

 また、事業者側がロイヤルティプログラムと連携すれば、Alexaが利用可能なクーポンのレコメンドを行ってくれるようなスキルの開発も可能。リマインドや新商品のお知らせなどを能動的に行ってくれるボイス通知機能を持ったスキルを開発すれば、EC事業者の売上に貢献してくれるだろう。

「10年前はスマホで商品を買うなんて想像ができませんでしたが、今はそれが当たり前に行われる時代になりました。同じように5年後10年後、音声で話しかけながら買い物をする方がすごく増えているのではないでしょうか」(井野川氏)

 Amazonには、ECや実店舗、音声など、複数のチャネルを通じた利用者との接点が存在している。井野川氏はこの状態を「コネクテッドコマース」という言葉で表現。以下のように話し、講演を締めくくった。

「お客様はPCから買い物をすることもあれば、スマホを使うこともある。もちろん実店舗を利用されることも多いでしょう。これからは、音声による買い物も増えていくと思います。そんな変化の中、さまざまなチャネルやデバイスの垣根なく我々のサービスを利用していただくことで、より適切なレコメンデーションや提案を行うことが可能になり、お客様のショッピング体験や生活を豊かにしていけたらと思います」

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