消費者が常時持ち歩くスマートフォン、消費者にリーチできるソーシャルネットワーク、大量のデータから重要な情報や洞察を効率よく得られるデータ分析、そしてAI――これら技術が手に入る現在は、マーケッターにとって、またとない時代だ。これらを駆使することで何ができるのか――「これからマーケティングは人ベースになる」というのは、Facebookでグローバルリテール&EC戦略のトップを務めるMartin Barthel氏だ。「FacebookとInstagramはショップの新しいショーウィンドウになる」と約束する。
Barthel氏は、1月米ニューヨークで開催された小売業界最大のイベント「NRF 2018」で基調講演を行った。Barthel氏はここで、企業が持つ顧客情報とFacebookやInstagramが持つソーシャルの情報を組み合わせることで可能になる新しいマーケティング、“人ベースのマーケティング”について話した。
オンラインとオフラインを1つに
――カスタマージャーニー全体で役立つソーシャルメディア
人ベースのマーケティングとはどのようなものか――。ファッションブランドなら、コートを検索した人が自分たちのウェブサイトを訪問すれば、この顧客がコートを探していることは明白だ。顧客に合わせた対話を通じて関係を構築することで、エンゲージのレベルを引き上げることができる。
これらは、Facebookが構築している新しいソリューションにより実現できるとBarthel氏は言う。また、子会社のInstagramとともに「人ベースのマーケティングを加速できる」と続ける。
人ベースのマーケティングの第一歩は、顧客がいるところで顧客とやりとりすることだ。小売にとって、FacebookやInstagraはオンライン(EC)の支援役というイメージかもしれないが、Barthel氏はオフラインでも活用できると言う。「オンラインとオフラインは別々のものではなく、1つの世界。小売はどうやってオンラインとオフラインを一緒にするかを考える必要がある」と述べる。
Facebookがオフラインを支援できる理由は、「モバイルは顧客にとって常に持ち歩くコンパニオン」であるからだ。「店舗購入の56%が、デジタルでのインタラクションの影響を受けている」とBarthel氏、もちろん“デジタル”においてスマートフォンなどモバイル端末は大きい。「Facebookは顧客が自社製品を発見するショーウインドウ、店頭の役割を果たす」(Barthel氏)。
オフラインを支援する具体的な技術としては、位置情報に基づくコンテンツ(広告)の表示がある。そのほか、ストアまでの道順を表示した地図、Facebook上でストアに電話したり、メッセージを送ることができる。Facebookは、これらオフラインソリューションを2017年に発表している。
「誰がFacebook上で自社の広告を見たのか、お店に来たのか、購入したのか――店舗のビジネスにおけるデジタルのインパクトを測定できる。オンラインとオフラインでカスタマージャーニー全体を見ることができる」とBarthel氏はいう。実際、小売によるオフラインソリューションの利用は増えており、属性に基づく広告の支出は33%増加しているという。