個人ユーザー軸で分析可能に
ユーザー エクスプローラ登場
2016年、データ分析の大きなトピックスとして、木田さんはまず、Googleアナリティクスに追加された「ユーザー エクスプローラ」機能を挙げた。個々のユーザーに「クライアントID」が振られ、そのサイトに訪れた「日時」「集客チャネル」「デバイス」、そしてどのページを順に閲覧したかがわかるというもの。Googleが個別ユーザーを軸に分析結果を出すのは、2004年からウェブ解析にかかわる木田さんから見ても「おそらくはじめて」だそうだ。
「これまでの、『どの集客チャネルから来たユーザーか』といった、束になったゆるいセグメント軸ではなく、コンバージョンしたお客様がどのような行動をとったのか、粒の細かい分析ができるようになっています」
一方で、サイトを訪問したユーザーの分だけデータがあることになる。コンバージョンしたユーザーに限ったとしても、かなりの数があり、すべてに目を通すのは難しいはずだが。
「おそらく、店長さんが20人分ほど眺めれば、何かしら気づくことがあるはずです。実店舗なら、たとえば女性のお客様にどのタイミングで話しかけるべきかは、お客様の行動を見てわかっている。ECではこれまでできなかったことですが、それがユーザー エクスプローラで可能になる」
この機能がリリースされたことは、EC事業者を取り巻く環境にも合致している。
「モバイルデバイスも行き渡り、人口が爆発的に増えることはないでしょうから、今後ECサイトへのトラフィックが増えることは考えにくい。それならば、サイトに来てくれたお客様に、きちんと接客して買っていただく努力をしたほうがいい。Googleが提唱する『マイクロ・モーメント』も同義だと考えています。
その接客をどうするかを考えるのに、ゆるいセグメントで傾向を見るのではなく、コンバージョンしたユーザーがどういった動きをしたかを見るほうが有効だと思います」
さらに、BIツール「Tableau」の活用でより深く分析を行う木田さんは、実店舗の購買データと組み合わせたミクロ分析に取り組んでいる。
「実現すれば、実店舗で購入したユーザーに、『◯月◯日に購入したトップスに似合うパンツはこれです』というレコメンドを、オンラインを閲覧している時に行うこともできるようになります」