ECのトップランナーにコンサルしている2つのこと
さまざまな業種、あるいはジャンルにおいて、トップランナーが存在します。特にネットの世界では、リアルの商売に比べてトップランナーの「先行者利益」が大きく、そのジャンルの市場の半分以上をトップランナーが占めているような例も少なくありません。一方でトップランナーは、「最初の開拓者」であり、課題を乗り越えるためには多くの試行錯誤をしなければならない立場にあります。
先頭を行く人とは「初めてその課題に直面する人」であり、同時に「誰からも教えてもらえない人」でもあるのです。つまり、次のステップや現在の課題について、「自ら」「考え出さなければならない環境」にいるわけです。
今までに通販以外の商用サイトも含め、すでにトップランナーの状態にあるECサイトのコンサルティングも数多くさせていただきましたが、一般的にトップランナーは「やるべきこと」はすでにやっています。逆に言えば、やるべきことをひと通りやり尽くしたからこそ、トップランナーになったとも言えます。だから、トップランナーは次に何をしたらいいのかが見えない場合が多いのです。
この観点から、笹本がトップランナーのコンサルティングをする際には、多くの場合、以下の2つを併用する形をとっています。
戦略立案
大きな漏れや大きく不足しているところを補うよりは、次のステップを見つけ出す。
徹底
すでに合格点のレベルにはあるが、さらにストイックに100点満点を目指す。
2位以下のライバルをさらに大きく引き離すには、笹本の今までの経験からすると、「徹底」のほうが効果は出やすいと思っています。「徹底」の方策は「すでに」試行錯誤が終わった手法であり、どの程度の業務負荷が必要か?も期待できる効果も見えるからです。
一方でコンサルタントの立場から言えば、「戦略立案」よりも「徹底」のほうがはるかに難しい「お題」です。「徹底」はすでに合格点のレベルのものについて、さらなる課題を見つけるということを意味します。すでに合格点のレベルのものは「問題」になっているわけではないので看過しやすいのです。
またトップランナーのクライアントは、大変勉強熱心ではありながらも、「やるだけのことはやった」というプライドとある意味での満足感を持っているわけですが、これにケチをつけるのが「徹底」ですので(笑)
したがって、コンサルタントが「徹底」をさせようとすると、クライアントは「頭では理解しているが、気持ちがそれを許さない」的な状態になりがちです。この葛藤をクライアントに乗り越えていただかないと行動につながらず、当然ながら売上や利益にも結びつきません。
このような場面では、ネットの知識というよりはコーチングやプレゼンテーションのスキルも必要となってくるかと思います。ちなみに笹本がとる手法は、「2〜3年に渡ってそのメリットを言い続ける」なのですが(笑)。