メーカーが物流を担う新オプション Temuが考える日本市場での展開とは
──海外サービスに対して、セキュリティに不安を抱く日本の消費者は少なくありません。こうした不安を取り除くために、何が必要だと感じていますか。
Temu 情報保護、セキュリティ対策には力を入れています。たとえばTemuのアプリは、ドイツの認証機関「DEKRA」によって、サイバーセキュリティ基準「MASA(Mobile Application Security Assessment)」に準拠していると認証されました。
また、ホワイトハッカーと事業者をつなぐ米国・サンフランシスコ発のプラットフォーム「HackerOne」を通じて、セキュリティ研究者にTemuのウェブサイトやアプリの脆弱性の特定と修正を依頼しています。
そのほか、決済セキュリティの世界基準に準拠するため「Visa」「Mastercard」といったクレジットカードブランドとの提携や、3Dセキュアの導入なども行っています。
──セキュリティ対策を行っている中でも、まだ安全性への懸念の声があります。この状況をどう捉えているのでしょうか。
Temu ユーザー数が急激に伸びたことで、フィッシングメールやウェブサイトを通じたTemuの「なりすまし詐欺」が多発しています。これが要因の一つではないでしょうか。
Temuではこうした詐欺被害を防ぐために
- ウェブサイトのトップページに警告を表示し、疑わしいメールやリンクを避けるようユーザーに通知
- サポートページでフィッシング詐欺を見分けるための情報を提供
- フィッシングサイトに対して法的措置を講じるとともに、オンライン詐欺撲滅に取り組む国際機関「Anti-Phishing Working Group」と協力
といった対策を行っています。
──懸念点はある一方で、日本でもユーザー数が増えているようですが、日本市場をどう位置付けていますか。また、今後の展開を教えてください。
Temu 日本はTemuにとって重要な市場です。日本の消費者は、高品質な商品を手頃な価格で購入することを重視しています。それは、Temuが掲げるミッションの中核でもあります。
そんな日本の消費者の期待に応えるため、2024年8月に「事業者による出荷」オプションを導入しました。メーカーが返品を含む物流を、Temuが販売と決済を担う制度です。これにより、日本国内の倉庫から商品を発送できます。ユーザーは、一部商品を最短1営業日で受け取ることが可能です。
Temuは、日本を含めて各市場の流通額といった数字を公表していません。しかし、日本でも着実にロイヤル顧客の基盤が築けていると思っています。特に、日用品や家庭用品が人気です。ユーザーが予算に制約されずに質の高い商品を手に取れるよう、ニーズに応えるサービスを提供していきます。