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2025年2月4日(火)13:00~18:45

押さえておきたい!ECトレンド図鑑

ECで4,000万円の船を売る? モテるオヤジのバイブル『LEON』流コンテンツを生かした新ビジネス

70%が購入理由を「LEONが好きだから」と回答 見えたファンの強さと今後の課題

──EC運営の内製化にかじを切り、2021年には買えるLEONをリニューアルされています。どのようなアップデートが必要だったのでしょうか。

渡辺 当初の買えるLEONは、商品を並べただけのシンプルな作りだったため、メディアとしての個性をより反映させたいと考えていました。そのため、リニューアルでは、読者に長く滞在してもらえるコンテンツをどう見せるかが重要なテーマでした。

 リニューアル後は、雑誌と統一感のあるコンテンツを大幅に増やしました。また、品ぞろえも4~5倍まで拡充し、現在は約300ブランドの商品を取り扱っています。

渡辺 しかし、リニューアル直後1~2ヵ月は売上の成長率が横ばいと伸び悩みました。顧客が新サイトに慣れるのに、時間がかかったように感じます。“なじみの店”になるには何が必要なのか、買いやすさやユーザビリティを考えるきっかけになりましたね。

 雑誌の強みを生かしたコンテンツを増やしたものの、今はむしろ多すぎる点が課題です。商品と出会う入り口が多すぎて、顧客が迷ってしまう可能性があります。メディアの良さを生かしながらも、買いやすいECサイトを作るために試行錯誤しているところです。

玉田 一事業として、売上を上げられるECサイトを作らなければなりません。そのためには、コンテンツだけでなく商品をどう目立たせるかが、今後の大きなポイントです。

株式会社主婦と生活社 LEON編集部 買えるLEON ビジネス&オペレーションマネージャー 玉田恵子氏
株式会社主婦と生活社 LEON編集部 買えるLEON ビジネス&オペレーションマネージャー 玉田恵子氏

──とはいえ、実際に商品を手に取れないECサイトで高額な商品を販売するのは、ハードルが高いようにも思えます。雑誌発だからこそのこだわりはありますか。

玉田 以前アンケートを実施した際、買えるLEONで商品を購入した人の70%が、その理由を「LEONが好きだから」と回答していました。LEONに掲載している商品も、買えるLEONと同様に高額なものばかりです。読者の金銭感覚が、買えるLEONでの購入傾向にも表れていると思います。データから顧客の動きを見ても、私が過去にEC運営を行っていたときと比べて、高額商品の購入に抵抗がない人が圧倒的に多いです。

 一方で、リピートの促進には難しさを感じています。そこで、買えるLEONに掲載しているコーディネート画像を、VIP顧客にメルマガで配信する施策を始めました。これはかなり好評で、ファンの熱量を実感しています。

渡辺 最初はTシャツなどから販売をはじめ、段階的に商品の幅を拡げてテストを重ねていきました。その中でわかったのは「高額でも売れる」ということです。LEONのメイン読者は、ECリテラシーが比較的高く、可処分所得が多い人です。コンテンツや商品の質が高いとわかれば、購入場所がECサイトかどうかは気にしない傾向があります。

玉田 ほかにも、「モテる」情報満載のウェブマガジン「Web LEON」に買えるLEONの流入を促すバナーやコンテンツを掲載しています。こちらからの流入も多く、非常に良い成果が得られています。

 さらに、LEONファンのための会員コミュニティ「Club LEON」との連携も進めています。会員に対して買えるLEONで利用できるクーポンを毎月1回配布しており、使用率は比較的高いです。Club LEONではパーティーなども行っていますが、こうしたリアルイベントとの連携の可能性も模索しています。

渡辺 ただ、そもそもClub LEONの会員と買えるLEONの顧客は、属性が異なる可能性があります。リアルイベントに来てくれる会員は、好奇心旺盛でどこにでも出かける人、買えるLEONの顧客は、買い物はしたいものの外出に消極的な人と考えられるからです。そのためか、デジタルとフィジカルの融合はまだまだ進んではいません。

 たとえば、AIでデータを分析しながら人の力で顧客の趣味嗜好をさらに細かく探るなど、デジタル×アナログ思考が浸透すれば、Club LEONと買えるLEONをよりつなげる術が見出せると予測しています。

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雑誌を作るだけじゃない“編集者2.0” 新たなマネタイズの可能性を探る

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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