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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

押さえておきたい!ECトレンド図鑑

ヤプリ/顧客時間 伴氏とオイシックス・ラ・大地 奥谷氏が対談 「NRF 2024」で見えた小売の未来

 2024年1月14日~1月16日、世界最大規模の小売イベント「NRF 2024:Retail's Big Show」がNYで開催された。それを受け、Lazuli株式会社は2024年2月6日に、「NRF 2024&NYリテールツアー報告会:小売とテックの最新トレンド」と題したセミナーを実施。NRF 2024に参加した株式会社ヤプリ Executive Specialist/株式会社顧客時間 プロジェクトマネージャー 伴大二郎氏、オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員 Chief Omni-Channel Officer/株式会社顧客時間 共同CEO 奥谷孝司氏、Lazuli株式会社 代表取締役社長/CEO 萩原静厳氏が登壇し、小売の進む先を語った。

自社ならではのデータが生成AI活用の鍵を握る

 NRF 2024のテーマは、「Make it Matter」だった。伴氏は冒頭で、「『it』はITや生成AIを指すのだろう。私はイベントテーマを、『ITや生成AIの活用を意味のあるものにしよう』だと捉えている」と語った。

 実際、NRF 2024で行われた講演は、生成AIの話題で持ちきりだった。Salesforce, Inc.(セールスフォース)をはじめ、様々な活用事例が紹介された。同社の会長/CEOマーク・ベニオフ氏は、基調講演で「『GUCCI』がコールセンターの質疑応答に当社の生成AI機能を導入し、ほぼ一晩で収益を約30%上げた」と明かしている。

「生成AIは既に民主化されており、マーケティングツールなどに組み込まれています。これまで誰かに聞くか自ら調べる必要があった課題を、容易に解決できる世界になる。問題は、民主化がコモディティ化につながることです」(伴氏)

株式会社ヤプリ Executive Specialist/株式会社顧客時間 プロジェクトマネージャー 伴大二郎氏
株式会社ヤプリ Executive Specialist/株式会社顧客時間 プロジェクトマネージャー 伴大二郎氏

 ここで伴氏は、2024年1月9日~1月12日に開催されたテックイベント「CES 2024」の内容に触れた。

 米国の小売大手であるWalmart Inc.(ウォルマート)は、CES 2024で七つの新施策を発表している。たとえば、再生可能エネルギー活用の加速。同社は、必要な電力を自社のソーラーパネルでまかなうなどの取り組みを続けてきた。2024年中に、顧客向けにEV自動車の充電サービスを本格展開する予定だ。

「小売店の立地を生かして、電力まで販売する時代となっています」(伴氏)

「小売の次の戦略としてリテールメディアが取り上げられますが、ウォルマートのような新ビジネスを生み出せる企業は、なかなかありません」(奥谷氏)

 アバターに洋服を着用させて友人と会話しながら買い物できる「Shop with Friends」も興味深い。これにより、ウォルマートは購入前の顧客がどのような相談をしているのかをデータで把握できる。

 中でも伴氏が注目しているのが、生成AIを活用した検索機能だ。従来型の検索では「顧客の欲しいもの」に対する答えしか返せなかったが、生成AIを用いた新たな検索であれば、細かなニーズまで把握可能となる。

 たとえば「10歳の子どもに初めてスマートフォンを購入したい」といった利用目的に合わせて、注意点やほかに必要な商品などを提案すれば、顧客の満足度も上がるだろう。つまり、ウォルマートは生成AI活用を通じて、顧客からの情報収集と競合他社との差別化を両立しているのだ。

 伴氏はNRF 2024に話を戻し、個性的な事例を解説した。

 郊外に立地し、農業に必要な資材などを販売するTractor Supply Co.(トラクターサプライ)は、独自性の高いデータ収集に成功している。

 同社の従業員は、生成AI機能が搭載されたヘッドセットを装着し、顧客からの「鶏の健康に良い餌はどれか」といった専門的な相談に対応する。接客時にわかった「北部の鶏があまり育っていないようだ」などの地域別の課題を、データとして蓄積。課題に合わせて品ぞろえを最適化するなど、様々な施策に活用している。

「顧客を深く知るには、『ヒト・モノ・カネ』以上にデータが重要です。データ収集・分析を強化すれば、リテールメディアにも応用できる上に、他社との差別化にもつながります」(伴氏)

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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