SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

最新イベントはこちら!

ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

押さえておきたい!ECトレンド図鑑

ヤプリ/顧客時間 伴氏とオイシックス・ラ・大地 奥谷氏が対談 「NRF 2024」で見えた小売の未来

 2024年1月14日~1月16日、世界最大規模の小売イベント「NRF 2024:Retail's Big Show」がNYで開催された。それを受け、Lazuli株式会社は2024年2月6日に、「NRF 2024&NYリテールツアー報告会:小売とテックの最新トレンド」と題したセミナーを実施。NRF 2024に参加した株式会社ヤプリ Executive Specialist/株式会社顧客時間 プロジェクトマネージャー 伴大二郎氏、オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員 Chief Omni-Channel Officer/株式会社顧客時間 共同CEO 奥谷孝司氏、Lazuli株式会社 代表取締役社長/CEO 萩原静厳氏が登壇し、小売の進む先を語った。

自社ならではのデータが生成AI活用の鍵を握る

 NRF 2024のテーマは、「Make it Matter」だった。伴氏は冒頭で、「『it』はITや生成AIを指すのだろう。私はイベントテーマを、『ITや生成AIの活用を意味のあるものにしよう』だと捉えている」と語った。

 実際、NRF 2024で行われた講演は、生成AIの話題で持ちきりだった。Salesforce, Inc.(セールスフォース)をはじめ、様々な活用事例が紹介された。同社の会長/CEOマーク・ベニオフ氏は、基調講演で「『GUCCI』がコールセンターの質疑応答に当社の生成AI機能を導入し、ほぼ一晩で収益を約30%上げた」と明かしている。

「生成AIは既に民主化されており、マーケティングツールなどに組み込まれています。これまで誰かに聞くか自ら調べる必要があった課題を、容易に解決できる世界になる。問題は、民主化がコモディティ化につながることです」(伴氏)

株式会社ヤプリ Executive Specialist/株式会社顧客時間 プロジェクトマネージャー 伴大二郎氏
株式会社ヤプリ Executive Specialist/株式会社顧客時間 プロジェクトマネージャー 伴大二郎氏

 ここで伴氏は、2024年1月9日~1月12日に開催されたテックイベント「CES 2024」の内容に触れた。

 米国の小売大手であるWalmart Inc.(ウォルマート)は、CES 2024で七つの新施策を発表している。たとえば、再生可能エネルギー活用の加速。同社は、必要な電力を自社のソーラーパネルでまかなうなどの取り組みを続けてきた。2024年中に、顧客向けにEV自動車の充電サービスを本格展開する予定だ。

「小売店の立地を生かして、電力まで販売する時代となっています」(伴氏)

「小売の次の戦略としてリテールメディアが取り上げられますが、ウォルマートのような新ビジネスを生み出せる企業は、なかなかありません」(奥谷氏)

 アバターに洋服を着用させて友人と会話しながら買い物できる「Shop with Friends」も興味深い。これにより、ウォルマートは購入前の顧客がどのような相談をしているのかをデータで把握できる。

 中でも伴氏が注目しているのが、生成AIを活用した検索機能だ。従来型の検索では「顧客の欲しいもの」に対する答えしか返せなかったが、生成AIを用いた新たな検索であれば、細かなニーズまで把握可能となる。

 たとえば「10歳の子どもに初めてスマートフォンを購入したい」といった利用目的に合わせて、注意点やほかに必要な商品などを提案すれば、顧客の満足度も上がるだろう。つまり、ウォルマートは生成AI活用を通じて、顧客からの情報収集と競合他社との差別化を両立しているのだ。

 伴氏はNRF 2024に話を戻し、個性的な事例を解説した。

 郊外に立地し、農業に必要な資材などを販売するTractor Supply Co.(トラクターサプライ)は、独自性の高いデータ収集に成功している。

 同社の従業員は、生成AI機能が搭載されたヘッドセットを装着し、顧客からの「鶏の健康に良い餌はどれか」といった専門的な相談に対応する。接客時にわかった「北部の鶏があまり育っていないようだ」などの地域別の課題を、データとして蓄積。課題に合わせて品ぞろえを最適化するなど、様々な施策に活用している。

「顧客を深く知るには、『ヒト・モノ・カネ』以上にデータが重要です。データ収集・分析を強化すれば、リテールメディアにも応用できる上に、他社との差別化にもつながります」(伴氏)

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
顧客中心主義へ変化するメーカー・小売

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
押さえておきたい!ECトレンド図鑑連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

ECzine(イーシージン)
https://eczine.jp/article/detail/14269 2024/03/07 07:00

Special Contents

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

2024年8月27日(火)10:00~19:15

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング