良かれと思ったアプリの挙動がユーザーの困惑を招いていた
──「Contentsquare」を活用した改善の取り組みについて、具体的な例を紹介いただけますか?
志賀(GDO) 「GDOスコア」という、ゴルフプレーのスコア管理アプリに導入しました。同アプリは、新規会員獲得や顧客接点創出を目的としたものです。直接的な売上につながるチャネルではありませんが、GDOにとってはその後の顧客育成も含めてマーケティング上、重要な役割を担っています。
志賀(GDO) ユーザーに頻繁に使ってもらうには、操作性が命です。何度も使いたくなるようなスムーズな体験が提供できているか「Contentsquare」を活用して分析したところ、最終ホールまでスコアを入力しているにもかかわらず、スコアを保存する段階で多くの離脱が発生していることがわかりました。
前出のセッションリプレイを使って理由を深掘りした結果、スコア表に1つでも未入力の箇所があると「スコア未入力のホールがあります」とダイアログが表示されることが原因だと発覚しました。アプリ開発者側は「良かれ」と思って付与した機能でしたが、未入力の箇所を明確に表示しておらず、ユーザーを混乱させてしまっていたのです。
伊奈(Contentsquare Japan) バグとまでは言えませんが、ユーザーが自力でエラーを理解し、対処できなければ離脱につながってしまいますね。
志賀(GDO) スコアを保存するのは、ゴルフ場でプレーを終えてクラブハウスに戻るタイミングです。時間や移動の制約から、焦りが生まれるシチュエーションであるケースも多く、その場面で解消方法がわからないエラーが起こるのは、ユーザーにとって大きなフラストレーションとなります。
当社でも常日頃からバグ解消や改善に向けた取り組みを行っていますが、これは机上で考えるだけでは見つけられませんでした。実際のユーザーの行動を見て発見し、対処できて良かったと思っています。
ポジティブな開発テストができるように
──最初にPOCとして「GDOスコア」に「Contentsquare」を導入したと聞きましたが、今はウェブサイトや他のアプリなどにも横展開しているのでしょうか。
志賀(GDO) 直近では、新機能リリースに向けた開発テスト環境に「Contentsquare」を導入し、スピーディーな課題の洗い出しと優先順位付けに生かしています。
当社では、リリース前検証時に社長や私を含め、あらゆるチームメンバーが操作テストに参加します。従来は仕様書を見ながら操作し、バグを見つけたらその証跡を画像やテキストに残さなければならず、ポジティブな改善であるものの業務負荷が重く、ネガティブな空気になりがちでした。
しかし、「Contentsquare」であればこうした事象を自動的に可視化でき、証跡残しの作業時間が削減できます。いわゆる「作業」が減れば、操作テストもユーザー目線でよりカジュアルに実行できますし、操作量が増えればバグの見逃しも減り、より良い機能やサービスをユーザーに提供できます。発見したバグがイレギュラーなものなのか、誰にでも起こり得るものなのか、数字を含めた判断指標を与えてくれるため、リリース前に優先して対応すべき課題の洗い出しが素早くできるようになりました。
伊奈(Contentsquare Japan) GDO様は、「Contentsquare」を活用した顧客体験向上のサイクルを円滑に回しているように感じます。今後の展望についてもお聞かせください。
志賀(GDO) まずは、GDOの全サービスに「Contentsquare」を導入し、PDCAの「Do」をより迅速に行えるようにしたいです。また、若手メンバーに店舗で観察するのと同じように、お客様のオンライン行動を再現動画などで毎日観察する癖をつけてもらい、そこからアイデアが生まれる流れを生みたいと考えています。疑問や仮説の数が増えれば、それだけ手数と学びの機会も増え、1つひとつの取り組みの精度向上につながります。その積み重ねで、より良い顧客体験が生まれていくと考えています。
伊奈(Contentsquare Japan) 「Contentsquare」はECサイトはもちろんのこと、ウェブサイト・アプリすべてに活用できます。さらに、顧客にとってオンラインとオフラインの体験が境目なくつながっている現在、「Contentsquare」で得られる改善の示唆はデジタル接点にとどまりません。
たとえば、あるハウスメーカーのウェブサイトでは、「展示場予約」に示されるカレンダー上で予約不可の日時をユーザーが繰り返し何度もクリックしている行動に着目し、展示場ごとに予約率に大きな差がある一因が予約業務のオペレーションにあることを突き止めました。予約可能な日時を各展示場がそれぞれの判断で設定しており、ユーザーが都合をつけやすい日時を設定できているかどうかに差があったのです。
ユーザーの実際の行動から業務を改善していく道筋を見つけられるのは、現代の素早い変化に対応する上でも非常に有効だと言えるでしょう。オンライン行動の深い理解によって、より最適なカスタマージャーニーを作り上げていくことを支援できればと思います。
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