ECサイトでも実店舗でも在庫がある限り商品を届けたい
1958年に創業したジュンは、アパレル&ライフクリエーションカンパニーとして、アパレル事業やラジオ番組の企画制作・サウンドプロデュース、ワイナリーなど、幅広い事業を手掛けている。
雨宮氏は2003年に同社へ入社後、「ADAM ET ROPÉ」の実店舗における販売、店長・エリアマネージャーを担当。その後、複数のブランドのEC責任者を務めた。実店舗とeコマースの両領域に携わってきた経験から、ブランド運営において「シームレスな体験を提供していきたい」と話す。
そのための施策の一つとして、ジュンは2021年5月に公式オンラインストア「J'aDoRe JUN ONLINE」をShopifyに移行。翌年1月からは、オンラインとオフラインをつなぐPOSシステムShopify POSの運用を開始した。特に、ECサイトと実店舗の在庫状況を同期するツールとして活用している。
「お客様が実店舗に訪れた際に、欲しい商品の在庫がないこともあります。その場合には、倉庫の在庫数を確認した上で、自宅配送や店舗受取の選択が可能です。また、その場で入荷待ちの予約もできます。予約商品はオンライン決済が完了していれば、入荷次第自宅へ配送される仕組みです」
中でも、商品の欠品が発生しやすい販促イベントの開催時に、Shopify POSが活躍している。同ツール導入前のジュンでは、実店舗に在庫がない場合、店舗間で電話やメールのやり取りをしながら在庫を探す、もしくは本社に連絡して別ルートの在庫確認を行う必要があった。Shopify POSによって、人が介在する業務が削減されたという。
また、ECサイトで在庫切れが発生した場合も、スムーズに実店舗の在庫を確認できる。J'aDoRe JUN ONLINEでは、在庫のない商品を有人チャットサービスのスタッフが店舗在庫から探し出し、オンライン決済後に商品を届けるサービス「rakutori(ラクトリ)」を提供している。rakutoriへの問い合わせ件数は、月平均で1,200件ほど。1日にすると40~50件ほどの問い合わせがあり、その60~65%が購入にまでつながっている。
こうしたオンラインとオフラインで在庫管理の一元化について、雨宮氏は「今後、全店舗への適用に向け取り組んでいく」と意気込みをのぞかせた。
「ECサイト・実店舗を問わず、お客様には在庫がある限り商品を確実に提供できる土台を構築していきます」