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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

フルスクラッチからパッケージへ フェリシモがサイトリニューアルプロジェクトにかけた想いとは


 2023年3月に、大規模なサイトリニューアルを実施した株式会社フェリシモ。長年フルスクラッチでEC運営をしていたが、今回のリニューアルを機にパッケージ型のシステムを導入。定期便を軸とした独自のビジネススタイルは維持しながらも、UI/UXやデザインの刷新を実現している。今回は、本プロジェクト開始のきっかけや、リリースまでの紆余曲折について、プロジェクトの主要メンバーであるフェリシモ CXD部 副部長 西本宗平氏、IT推進部 部長 山下直也氏、WEBコンテンツ制作・編集グループリーダー 永井友理氏に話を聞いた。本記事は、2記事にわたってお届けする前編となる。

水面下で動き出したのは2017年頃から

──2023年3月にフェリシモのウェブサイトがリニューアルされましたが、サイト規模からしても、プロジェクトは長期間に及んだのではないでしょうか。まずは、リニューアルを決めたきっかけ、プロジェクト立ち上げの経緯についてお聞かせください。

西本(プロジェクトリーダー) 実は、今回のプロジェクトは「ここからスタートしましょう」ときれいに始まったものではなかったんです。プロジェクトとして正式なキックオフを行ったのは2020年11月、コロナ禍をきっかけに本格始動したのですが、僕とシステム担当の山下は、ベンダーさまの話を聞くなどの情報収集を2017年頃から水面下で進めていました。僕自身は、それに加えてサイトリニューアルを意識し、「フェリシモが理想とする新しい顧客体験って何だろう?」と自問自答しながら日頃の業務に取り組んでいました。

株式会社フェリシモ CXD部 副部長 西本宗平氏

──西本氏は、日頃からそうしたシステムや顧客体験のアップデートを主務としていたのでしょうか。

西本(プロジェクトリーダー) いいえ、ウェブサイトのリニューアルはもちろんのこと、ここまで全社を巻き込むレベルのプロジェクトを担当するのは初めての経験でした。

 僕が所属するCXD部では集客施策も担当しているのですが、コロナ禍の巣ごもり需要の影響により、商品露出の機会や新たなお客さまとの出会いが大きく増えた経験をしました。

 そんな中で、今、フェリシモのビジネスをテクノロジーも含めて刷新し、新たな顧客体験の提供を実現すれば、より事業を強固なものにできるのではないかと考えました。最終的に「考案した人がプロジェクトを進めるべき」ということで、未経験ではありますが僕がプロジェクトリーダーに着任し、社内にいる各分野のスペシャリストと役割分担をしながら進めた形です。

──山下氏は、西本氏とともにプロジェクト化する前から協働していたとのことですが、当時抱えていた課題感などがあれば、お聞かせください。

山下(開発担当) 私は、2018年にIT推進部の部長に就任したのですが、その少し前のタイミングからフェリシモのIT領域に関する中長期戦略立案に携わっていました。10年先までのロードマップを描いた際、技術基盤の刷新ができていない点や、それらをこのまま利用・維持することによるコスト負担の課題が明るみに出たのです。

 フェリシモのシステムは、自社メンバーのみならず、パートナー企業さまとともに開発を行っています。しかし、常に人手不足が課題となっており、こうした開発体制にもリスクを感じていました。IT開発環境の持続性を高める観点でも刷新が必要と考え、様々な人と議論を重ねた結果の一つが、このプロジェクトです。

西本(プロジェクトリーダー) 旧ウェブサイトはフルスクラッチで構築されており、完全に「フェリシモのため」に作られたシステムでした。年月が経過し、今でこそ「レガシーなシステム」といわれるようになりましたが、開発当時の技術を結集して自社最大の特徴である定期便ビジネスを円滑運用できる基盤であったのは事実だと思っています。

 そのため、社内には「このユニークなビジネススタイルで、パッケージ型のシステムに乗り換えられるのか」といった疑問が少なからずありました。なので、最初の一歩を踏み出すのは非常にプレッシャーが大きかったですね。

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この記事の著者

景山 真理(カゲヤマ マリ)

フリーランスのライター。EC店舗、タウン情報誌制作会社、マーケティング支援企業などへの勤務経験を経て、ウェブメディアや雑誌をはじめとする紙媒体のライティングの仕事をしています。専門領域はデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、ECのセールスメルマガ、仕事・働きかた、デジタルトランスフォーメーションです。 ウェブ●Mari Kageyama Writing Works

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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