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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

没入体験型ECストア「KATE ZONE」を解剖 花王は新時代の顧客体験をどう捉えたのか

 現在は花王グループとなっているカネボウ化粧品から、1997年に誕生した「KATE」。2023年1月には、没入体験型ECストアとして「KATE ZONE」を公開した。歴史あるメーカー・花王が目指すものとは。同社の化粧品事業部門 マステージビジネスグループ KATE担当 安田亜実氏、KATE PR担当 若井麻衣氏に話を聞いた。

欲しくなるまで気持ちを高める

 「NO MORE RULES.」というスローガンを見聞きしたことがある人も多いだろう。花王の化粧品ブランド「KATE」は、今年で27年目を迎える。CMなどでも使われるこのスローガンには、「社会的な同調や固定概念にとらわれず、もっと自由にメイクを楽しんでほしい」という想いが込められている。

 そのブランドパーパスを実現するため、これまでもユーザーの顔を分析してメイク方法を提案する「KATE MAKEUP LAB.」や、その技術を使用してパーソナライズされた4色のアイシャドウを提案する「KATE iCON BOX」といった体験型コンテンツを発表してきた。

 これらがさらに発展したのが、同ブランドが没入体験型ECストアと称す「KATE ZONE」だ。まさに、KATEの世界観に浸りながら買い物ができるコンテンツとなっている。

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 KATE ZONEの公開に先立って、花王としては2022年12月に生活者と直接つながるためのデジタルプラットフォーム「My Kao」を開設。ブランド横断の公式通販サイト「My Kao Mall」の運用を開始した。KATE ZONEからも、My Kao Mallにアクセスし商品が購入できる。

 秘密基地をコンセプトとしたKATE ZONEの空間には、五つのエリアを用意。なりたい顔のイメージに近づくためのメイクを提案する「LAB」、LIPSをはじめ、各プラットフォームに投稿された商品の口コミをまとめて閲覧できる「TUNNEL」など、ユーザーが商品を購入するまでの過程を楽しめる空間が構築されている。

 KATE ZONEを開くと、はじめにLABで自分の顔をスキャンするよう促される。これにより、顔診断やバーチャル上でメイクを試すことが可能だ。

 安田氏は、「洋服であれば、たとえばドラマを見ているときに『可愛い』と思った瞬間、ウェブで検索することがあると思うが、同じことをメイクでも実現したかった」と話す。

花王株式会社 化粧品事業部門 マステージビジネスグループ KATE担当 安田亜実氏
花王株式会社 化粧品事業部門 マステージビジネスグループ KATE担当 安田亜実氏

 公開から1ヵ月で、KATE ZONEには毎日約1万人が来訪し、TwitterでもKATEとして過去最高に近い数の投稿が集まったという。特にLAB内のコンテンツ「FACE HACK」が人気で、なりたいメイク画像から、そのメイクに近づくためのKATEアイテムを見つけるなど、多くのユーザーが参加している。

 売上においても、KATE ZONEからMy Kao Mallでの購入につながったコンバージョン数は5.3%を記録。順調な滑り出しといえるだろう。

「世界観に没入することと商品を購入することは背反しています。そのため、社内でも何度も議論しました。KATE ZONEで新しい発見をしたりコンテンツを楽しんでもらったりして、本当に商品が買いたくなるまでユーザーの気持ちを高める。そして、『欲しい』と思ったらすぐに購入できるボタンがある。そんなイメージです」(安田氏)

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/12647 2023/05/12 07:00

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