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負の解消が未来につながる ZOZOがデジタルで描く 誰でもファッションを楽しめる世界

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2020/10/21 07:00

デジタルネイティブ企業としての自覚を持ち、ファッションテック推進とおしゃれの楽しさを伝える。 ※本記事は、2020年9月25日刊行の『季刊ECzine vol.14』に掲載したものです。

 2019年9月に報じられた、新社長就任のニュースが記憶に新しいZOZO。2020年1月には、アナリスト向けの決算発表で「MORE FASHION×FASHION TECH」という経営の新機軸を打ち出し、新体制発足から1年で「マルチサイズ」の対応ブランド・品番数の拡大や、顧客の足のサイズを3Dで計測する「ZOZOMAT」を活用したシューズの専門モール「ZOZOSHOES」のオープンなど、テクノロジーでファッションを楽しくする取り組みを推進し続けている。次々と目新しい取り組みを行う同社が目指す場所と、今のアパレルに必要なデジタル活用について、想像戦略室の乾卯太弘さんとMSP事業本部の木地谷真治さんに聞いた。

(写真左)株式会社ZOZO 想像戦略室 プロジェクト管理本部長 乾卯太弘さん
(写真右)MSP事業本部 本部長 木地谷真治さん

ZOZOSUITの発見から生まれた「マルチサイズ」

 身体にフィットするボディースーツを着用し、スマートフォンと接続することで全身の体型データを計測できる「ZOZOSUIT」が世間の話題をさらったのは2017年の出来事。そこからおよそ2年が経過した2019年8月より、ZOZOはアパレル各社と共同で企画・販売を行う「マルチサイズ」の展開に乗り出している。ZOZOSUITで得た体型データやプライベートブランド「ZOZO」の運営経験を活かした新施策は、顧客が入力した身長と体重のデータを基に、約20~50のサイズ展開の中から自分に合ったサイズの衣類をサジェストし、顧客が自分に合ったサイズの衣類を購入できるもの。サービスを開始した2019年秋冬シーズンにはおよそ100品番の取り扱いからスタートし、1年経った2020年の秋冬シーズンには昨年の約2.5倍の品番数での展開を予定している。直近では、オンワードパーソナルスタイルが展開するオーダーメイドブランド「KASHIYAMA」がZOZOのマルチサイズで完全受注生産での販売開始を決めたことも記憶に新しいだろう。マルチサイズの推進を行う木地谷さんは、同サービスを始めた経緯についてこう語る。

「プライベートブランド『ZOZO』を立ち上げた当初は、老若男女問わず親しめるベーシックな商材を顧客それぞれの体型に合わせて作成し、世界中の誰もがおしゃれを楽しめるところを目指していました。こうした取り組みを行う中で、『自分に合ったサイズの服を着たい』という顧客からのニーズの高さに気づいたのです。ZOZOTOWNは、さまざまなブランドを取り扱い、幅広い年代の方が利用してくださっています。当社が持つテクノロジーや多くの人々に訴求できる販売力と、ブランドの世界観や企画力を掛け合わせたほうが、顧客のサイズへのニーズに応え、ひいてはアパレル業界全体を盛り上げることにつながるのではないかと考え、マルチサイズというサービスを立ち上げました」

 マルチサイズでのサイズ展開数は、もっとも少ないトップス商材で25、ボトムス商材では56にも及ぶ(2020年8月時点)。既製品であれば、ブランドごとにサイズ規格が異なり、同じLサイズでもブランドAとBではフィット感が異なるといったことが起こり得たが、マルチサイズの場合は、全ブランド共通のサイズ規格を用いるため、お気に入りのサイズをひとつ見つければブランドをまたいだ商品購入も容易となる。身長・体重から導き出された推奨サイズから、さらに好みに応じて丈や幅などの調整も可能だ。

「マルチサイズ展開する商品の選定は、各ブランドと協議しながら行っていますが、現時点ではブランドの顔となるような商品や相性の良いパンツ、スカート、ワンピースといったカテゴリーから広げています。サービス開始時点はZOZOTOWN別注商品という形で、店頭展開していない商品を取り扱っていましたが、今年の秋冬からは店頭で通常サイズ展開している商品を、ZOZOTOWNではマルチサイズ展開するといった取り組みも行う予定です」(木地谷さん)

 同社は、前出したKASHIYAMAの取り扱いなどアイテムカテゴリーの強化も積極的に行っているが、実際にマルチサイズ展開を開始した事業者からは、新たな顧客開拓につながっているといった声も届いていると言う。

「ZOZOTOWNの新たなサービスとして打ち出していることもあり、新規顧客の割合が非常に多く、ブランドにとって新たなファンの開拓につながっていると聞いています。また、これまで取り扱いがなかったサイズが実際に購入されている動向を目にして、需要があるならばサイズ展開の拡大も検討したいと考えているブランドもいらっしゃるようです。売れ行きから顧客の体型把握ができることは、魅力のひとつと言えるのではないかと思います」

 元々はサイズ問題という負の解消からスタートし、誰でもファッションを楽しめる世界の実現を目指す同サービスは、低身長・高身長の顧客をはじめとして、多くの顧客から大きな反響が得られているとのこと。これまで自分に合ったサイズに出会えないためにおしゃれの選択肢がなかった、かわいいと思う服を自分が着るとサイズが合わずなんだか違って見えてしまうといった悩みを抱えていた人々に対しても、体型に合ったサイズを提示することでファッションの楽しさを提案し、シーズンをまたいで商品展開を行うことでZOZOTOWNやブランドでの継続購買につなげる。顧客・ブランドの双方にメリットを提供することで、選ばれるプラットフォーマーとしてもさらに成長を続けていく。

「マルチサイズはまだスタートして間もないサービスなので、今後はより取扱いブランドや品番を拡大し、さらに多くの人に同サービスを楽しんでいただけるように推進していきたいです。また、マルチサイズの購入者が増え、サイズ情報が集まれば通常サイズの商品レコメンドなどにも活かせると考えています。ECの『試着ができない』というデメリットをテクノロジーの力で克服し、お客様に適切な商品を提供できるよう、今後もサービスの発展とデータ活用に積極的に取り組んでいきます」(木地谷さん)

この記事は、紙の定期購読誌『季刊ECzine』に掲載した限定公開の記事です。
続きは以下の方法でお読みいただけます。


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連載:季刊ECzine vol.14特集「Evolution Fashion Commerce~DX推進で切り拓くアパレルの未来~」

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