今回のテーマは、「自社プロダクトが提供するCXの現状を知る」です。やみくもに改善活動へと移る前にやっておくべき、大切なプロセスについてお話ししたいと思います。
このプロセスを踏むことで、次の改善活動フェーズにおける実行力が格段に向上しますので、一緒に理解を進めていきましょう。それでは、これより第2回の研究報告を始めます。
ステップ0:CXとは誰が作るものか?を考える
具体的な手法論に入る前に、「CXの作り手は誰か?」という話をします。前回「CXとはどの範囲か」について、こうお伝えしました。
人々が最初に商品やサービスを認知した時から、その後ずっと
当然バックオフィスチームも関係します。バックオフィスチームは、フロントでお客さまと対峙するチームが良い体験を提供できるよう縁の下で支える役割を担うことです。つまり、CXというのは、PRに始まり、カスタマーサクセスチームに至るまで、社内のすべてのチームが関係する領域です。
たとえば、総務チームはオフィスの快適性を高め、クリエイティブな発想が生まれる環境整備をしたり、オペレーションチームは質の高いアウトプットとなるよう、スピードと正確性のある実行でサポート、というイメージです。このように、バックオフィスだからこそできることはたくさんあります。
“お客さまに最上の体験を提供する” それに向けて、「全社で取り組む姿勢を持つ」ことはもっとも大切です。
ステップ1:顧客の声を聴く仕組みを作る
まずはじめに、簡単な質問をしたいと思います。みなさんの会社は以下の項目に、すべてYESで答えられますか?
- 顧客からのフィードバックを日常的に受けられる環境がある
- 多くの社員が顧客と直接話せる機会がある
- 新入社員の最初の仕事は、顧客を深く理解することである(研修を終え、すぐ前任者からの引き継ぎになっていないか?)
これら要素は、CXを高めていく組織において作るべき環境です。それは、具体的な打ち手について議論をする前段階で、「体験を提供する相手と、提供者である自らを理解すること」が何より大切だからです。相手を知り、己を知ることで初めて相手を喜ばせることができます。ここで、オイラ大地での取り組みをふたつ紹介します。
社長と行く!新人お客さまインタビュー
- 創業以来、社長が欠かさず続けるお客さま宅でのインタビューがある
- 新人は入社後、このインタビューに同行する
- お客さまの生活、課題感の理解と、ヒアリング方法についても体感できる
全社員参加の「食卓体感研修」
- 全社員の参加が必須・お客さま数名をオフィスに呼び、社員がインタビューを行う
- お呼びするお客さまは、その都度の事業課題と合うほうを選定する
- これにより全社の事業課題とお客さま理解の両方が促進される
人によっては「顧客は自分の欲しいものを知らないから聞くべきではない」とも言いますが、正しい聞きかた(意見でなく、行動を聞く等)をすれば、顧客の声は、私たちに良い気づきをもたらしてくれます。
社員がお客さまに日常的に触れられる仕組みを目指し、まずは小さくても良いのでお客さまとの接点を持つことを始めてみてください。