トランスコスモスは、「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2020」を発表し、顧客ロイヤルティ向上には複数のチャネルをまたがるエフォートレスな顧客体験を提供することが重要とする調査結果を公開した。
5年目となる今年度の調査では、コロナ禍が消費者と企業のコミュニケーションのデジタル化に与えた影響や世代別の傾向を計測するとともに、近年話題の「カスタマーサクセス」や「CES(カスタマーエフォートスコア)」の妥当性を検証した。
その結果、従来のCS調査のように最終解決した窓口の満足度を訊くだけでは、問題解決に至るプロセス全体の「手間・負担感」を加味できていないため、真の総合満足度は20ポイント以上目減りしてしまうことが明らかに。コミュニケーションチャネルのデジタル化と多様化が進んだ現代において、顧客満足度を正しく把握し改善していくためには、消費者の「手間・負担感」を軽減しエフォートレスな顧客体験を提供していくという視点が重要であるという知見が得られたとのこと。
主な調査結果
SNS(32%)・アプリ(25%)・チャット(25%)は高齢層も含め利用が拡大しているが、電話(77%)・店頭(75%)などの従来チャネルも依然利用されており、デジタル一辺倒ではなく多様化が進んでいる。コロナ禍により、約5割が在宅勤務などで通勤・通学を減少させ、その影響で約3割が日中に自宅で買い物をする「巣ごもり消費」を増加させている。結果、消費者の約7割がスマホに触れる機会が増加し、約6割が動画視聴を増加するなど、デジタル化はますます加速している。
消費者の問題解決に至るプロセス全体の総合満足度(57%)を調べると、問題解決した最終窓口の満足度(78%)から20ポイント以上目減りすることが判明した。原因は、解決までに時間がかかる(62%)、情報や解決方法が見つからない(31%)などの不満体験で、逆にそのような手間・負担感を改善できれば、ブランドイメージや、購買行動率、継続率などの顧客ロイヤルティの向上(各58%、47%、38%)につながる。
若年層は新型チャネルの抵抗感が低い反面、電話など対面での対話が必要なチャネルを回避する傾向。逆に高齢層は電話を好む反面、新型チャネルへの忌避感が根強い。つまり、企業は自社の顧客構成に応じて、適切なチャネルを選択・整備する必要がある。そのうえで、各チャネルの満足度を個別窓口ごとに改善するだけでなく、カスタマージャーニーのプロセス全体でエフォートレスな顧客体験を提供するという視点が重要になる。
調査概要
- 調査企画 : トランスコスモス Communication Science Lab
- 調査目的 : 消費者と企業のコミュニケーション実態把握
- 調査時期 : 2020年8月28日~31日
- 調査方法 : インターネットモニター調査
- 総設問数 : 64問
- 調査対象 : 直近6ヶ月間のうちに企業とコミュニケーション経験がある男女
- 有効回答 : 3,097件