ストックフォトサイト「iStock」を運営するゲッティイメージズは、トップインサイトを予測した「ビジュアルマーケティングトレンド2024」を発表した。
同調査は、ゲッティイメージズが市場調査会社MarketCast社と提携し、26ヵ国13言語で1万人以上の消費者と専門家を対象に行っている調査をもとに作成した「VisualGPS」と呼ばれるガイドラインの調査結果をまとめたもの。
技術の進歩と将来への不安が支配する世界で、昨年1年間を通して、消費者の不安は高まった。iStockの調査によると、52%が将来への不安を感じており、47%がテクノロジーへの依存度が高まる世の中を心配。特に、40%が利用可能な多数のテクノロジーに圧倒されていると感じていた。しかし、こうした懸念の一方で、75%の人が人工知能(AI)の可能性に期待を寄せていることもわかった。
同調査資料では、あらゆる業種の中小企業がビジュアル戦略を検討する際の参考となるよう、iStockの専門家による「2024年に注目すべきマーケティングトレンド」も紹介されている。詳細は次のとおり。
本物志向でブランドの信頼を築く
ビジネスと顧客との間に真のつながりを生み出すには、本物と感じられる画像やシナリオを使うことが欠かせない。ビジュアルにユーモアを盛り込み、ポーズや「きれいさ」そのものではなく、率直で不遜な瞬間をとらえた幅広い表情を見せる必要がある。
またユーザー生成コンテンツ(UGC)のような、アマチュアらしい空気感をそのまま詰め込んだような感覚も大切にしなければならない。高級感やあからさまな華やかさは避け、親しみやすく親近感の湧く表現は、特に旅行業界やホスピタリティ業界にとって重要となる。
ビジュアルストーリーテリングに人間味を
VisualGPSによると、3人に1人がテクノロジーよりも人間との対話を好むという結果が出ているとのこと。AIが蔓延るなかで、人々は人間との対話を望み、好んでいることが表面化しているため、2024年はテクノロジー、特にAIツールは最終的には私たちの手に委ねられているという考えを伝える必要がある。初期のWeb1.0の美学に対するノスタルジーは今後も高まり続けるため、コントロールと親しみやすさを伝える方法として素晴らしいと調査結果では伝えられている。
また、マゼンタ、ティール、ライム、バイオレット、イエローオレンジなどの明るい3次色を使った、未来思考のビジュアルアピールの強化も忘れてはならないという。
検索とソーシャルコマースの進化
「#TikTokMadeMeBuyIt」ブームや、UGCチュートリアル、インフルエンサーのレビューにより、Instagramのショッピング機能やTikTok Shopのようなプラットフォームが脚光を浴びるようになった。しかし、60%の人がソーシャルメディアプラットフォームのアプリ内ショッピング機能に不信感を示していて、オンライン上の信頼感構築が重要であることを示している。
そういったなかで、没入感のある動画フォーマットは、こうした消費者の懸念に向き合い、ビジネスが顧客のために何ができるかを紹介する極めて重要なツールとなっている。VisualGPSによると、62%の人が学習や自己啓発のためにソーシャルメディアにアクセスしているため、動画の力を活用して、視聴者を魅了し惹きつけるチュートリアルや解説を作成することが勧められている。また、完全な説明動画はユーザーが作成できるが、動画にまつわるアイデアや感情は、Bロール(サブカット/補足的な映像素材)で伝えられるとのアドバイスも記載されている。
動画コンテンツの領域には計り知れない可能性があるが、同調査によると現在動画を利用している中小企業はわずか11%。 一方、YouTube、TikTok、Instagramなどのプラットフォーム上の動画からインスピレーションを得ているのは、82%にものぼる。
TikTok動画の台頭は消費者の検索行動にも影響を与えており、消費者はサービスや商品を探すためにこの動画やその他の動画プラットフォームを利用している。そのため、動画SEOは企業にとって優先事項となっている。
iStockの専門家は、「ストック画像や動画はSEOに適していない」というSEOの俗説を否定しつつ、高品質のプリショット画像や動画は、特にTikTok、Pinterest、Alphabetなどのプラットフォームにおいて、コンテンツの成長に大きく貢献していると強調。動画のSEO最適化には、動画や画像のタイトル、説明文、ソーシャルメディアへの投稿にキーワードを使用することが重要と伝えている。