全国でコンタクトセンターアウトソーシング事業を展開するベルシステム24は、コンタクトセンタービジネスの変革に向け、日本マイクロソフトとGoogle Cloudの生成AIを活用したコンタクトセンター業務の実証実験を、各企業と共同で実施し完了したことを発表した。
同実証実験での実績をもとに、ベルシステム24が目指す「ヒト」と「AI」の連携による「ほぼ自動化」を実現する、ハイブリッド型のコンタクトセンターオートメーション構築を推進する。
同社は生成AIを活用した新たなビジネスモデルによる業務効率化を目指しており、これを実現することで、今後見込まれる労働人口の減少による新たなアウトソーシングニーズを吸収するといった社会課題の解決に向けた事業の実現を進めていく考え。
今回の実証実験には、日本マイクロソフトが提供する「Azure OpenAI Service」上の「GPT-3.5」「GPT-4」と、Google Cloudの「Vertex AI」の「PaLM2」といった生成AIを活用した。実証実験において、特に高い精度で実証された、コンタクトセンターでの対話データの要約機能を活用し、その対話データを整形したかたちでAIへ取り込むといった循環スキームを構築することで、コンタクトセンターオートメーションの実現を目指す。
実証実験および今後の事業化へのプロセス
今回の実証実験では、匿名化された実際の通話を使った対話データをもとに、対話データの要約やFAQ作成、VOC発掘といった生成AIの強みを活かした検証を進めた。その結果、対話データの高い精度での要約かつ、応対1件あたりにかかる処理時間の大幅な削減といったオペレーターの負担軽減への効果が実証できたという。
今後の事業化については、今回のナレッジやノウハウをもとに、一般的な問い合わせから業界・業種に特化した問い合わせまでの対話データを要約し、AIのチューニングを行いながら、ベースとなるナレッジを蓄積。このナレッジをベースに、それぞれの業界に特化したAIの育成を進め、コンタクトセンターのオートメーション化を推進する。さらに、クライアント企業ごとにカスタマイズされたAI応対を担う「AIアプリ開発」や、AIを継続的に学習させていく「AIナレッジ基盤」の開発を目指す。日本マイクロソフトとGoogle Cloudの支援のもと、要件収集や業務設計、適切な技術の選定、プロトタイプの開発・運用といった一定のプロセスを経て進めていく予定となっている。
このような事業化を進めていくなかで、オペレーションの業務運用スキルと、適切にデータを扱うための ITスキルの双方を持った人材の育成を進め、データ収集や活用に向けた「データマネジメント」のノウハウ・知見を蓄積し、その先のビジネスも目指していくとしている。