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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzineニュース

日本の物流企業にとってサプライチェーン全体の可視化は依然として困難なことが明らかに/HERE調査

 位置情報および位置情報技術のプラットフォームを提供するHERE Technologies(以下、HERE)は、日本を含むアジア太平洋(APAC)地域の輸送/物流(T&L)業界従事者を対象にした調査結果『APAC On The Move』を発表した。同調査は、サプライチェーン、車両および物流管理を左右する最新の技術トレンドと導入の現状について、調査対象者となった輸送/物流企業幹部から得たインサイトを提供する目的で実施された。

 2023年APAC On The Moveの重要な調査結果のひとつは、コロナ禍が始まってから3年が経過した現在でも、日本の物流企業にとって、エンドツーエンドのアセット追跡と荷物の可視化が依然として難しいことだという。調査に参加した日本の物流企業は、リアルタイムかつエンドツーエンドでのサプライチェーンの可視化を実現するうえで、技術導入の難しさが最大の障壁となっていると回答している。

 世界の多くの国でドライバー不足は深刻な問題だが、日本ではこれを既存ドライバーの勤務時間を延長することで補ってきた。しかし日本の物流業界は、2024年4月1日よりトラックドライバーの時間外労働の上限を年間960時間に制限するという規制強化「2024年問題」に対処する必要がある。

技術パートナーシップと実装が大きな問題

 日本で調査に参加した企業の4分の1以上(日本:26%、APAC平均:52%/以下同様)が、適切なパートナーやサプライヤーを見つけることが技術の実装における最大の障壁だと回答。そのほかコスト(21%、APAC:44%)、社内の専門知識や人材の不足(16%、APAC: 9%)が日本の物流企業の大きな懸念となっている。

 調査に回答した物流企業は、コストと時間と多大な労力を要するような大幅なシステム変更なしで容易に導入できるターンキーソリューションを望んでいる。同社の調査によれば、既存のインフラにソフトウェアを統合する難しさ(21%、APAC:52%)、ソリューションを運用管理できる熟練した人材の不足(19%、APAC:35%)、ソリューションを実装する時間の不足(17%、APAC:39%)が、物流アセット追跡と荷物/貨物モニタリングソリューションの導入を妨げる主な障壁となっている。

日本の物流企業はリアルタイム追跡に大きく頼っている

 コロナ禍において、世界的なサプライチェーンにおける技術導入の難しさと手作業の脆弱性が露呈された。回答した日本の物流企業の過半数(70%、APAC:51%)はアセット追跡/荷物モニタリングソフトウェアを利用し、手作業での入力なしでアセット、荷物、貨物をリアルタイムで追跡している。しかし一方で、今回の調査では、ソフトウェアの統合から熟練人材確保の壁にいたるまで、日本企業が今日直面している現実的な課題が浮かび上がっている。

 自動化に関して、日本の回答者は自社が業界や競合他社と同列か、あるいは先行した立ち位置にあると確信している。現在、日本の回答者にとっての位置情報の主な3つの用途は、カスタマーサービスの向上(21%)、到着予定時刻(ETA)の予測とトラック&トレース機能の使用(19%)、アセットの追跡(16%)。

 調査結果は、多くの日本企業が差し迫る「2024年問題」に備えた強いインフラを持っていることを示唆している。業界がこの危機を迎えるにあたり、リアルタイムでアセットを追跡する動きは日本の労働力不足の軽減に向けた重要な前進となる。

顧客と持続可能性を優先

 日本の物流企業は、追跡やモニタリングのソリューションを検討する際、顧客最優先の戦略を取っている。また、回答者の3分の2近く(60%、APAC:40%)が、荷物/貨物モニタリングソリューションの構築または購入の動機として顧客満足度の向上を挙げている。同じ理由は、物流企業が将来の技術に投資する主な理由としても挙げられている(60%、APAC:39%)。

 日本は2050年までに排出量実質ゼロの達成を約束する136ヵ国のひとつ。日本は2013年から2030年までに温室効果ガスの排出を46%削減するという中間目標に向け、カーボンニュートラル化も進めている。日本の回答者の56%(APAC:39%)が、物流アセット追跡、荷物/貨物モニタリングソリューションを購入する動機として持続可能性への取り組みを挙げている。

日本の物流業界は労働力不足の緩和策として未来の技術に注目

 物流企業は、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)によるリアルタイムモニタリングとデータ収集を利用し、十分に根拠のある意思決定を行うことができる。同調査でも、日本の多くの物流企業がすでに何らかのIoT技術を導入していることが裏付けられている。日本の物流企業の間でIoTの用途としてもっとも一般的なのは、倉庫管理(22%)、アセット追跡(19%)、在庫管理(18%)となっている。

 将来に目を向けると、日本の物流企業の半数以上がブロックチェーン(58%、APAC:27%)、ドローン(56%、APAC:33%)、電気自動車(55%、APAC:23%)、自動運転車(51%、APAC:27%)への投資を計画している。これらの技術は物流業界で、顧客満足度を高めるだけでなく、重要なリアルタイム情報へのアクセスを改善することで、意思決定を助ける(56%、APAC:38%)、技術力を高める(50%、APAC:39%)と認識されており、日本での労働力不足をさらに緩和すると期待されている。

調査概要
  • 調査期間:2023年3月
  • 調査対象:オーストラリア、台湾、インドネシア、インド、日本、マレーシア、シンガポール、タイの輸送/物流業界の企業幹部
  • 有効回答数:1,300名
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査機関:自社調査

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