米国セールスフォース(以下、米国Salesforce)は、Salesforce Customer 360で収集された15億人を超える買い物客のショッピングデータと、Eコマース、マーケティング、カスタマーサービスにわたる活動の分析から得られた、2022年サイバーウィーク統計を発表した(米国のオンライン小売業者上位30社のうち24社を含む)。
分析結果詳細
全体として、2022年の全世界のオンライン売上高は、過去最高の2,810億ドル(2021年比2%増)、米国は680億ドル(2021年比9%増)を記録。
統計データは、今年のサイバーウィークのオンラインショッピング動向が、11月初めから購買行動が次第に活発化していった2020年と2021年のパターンとはまったく異なっていたことを示した。今年のデータによると、小売業者はサイバーウィークぎりぎりまで利益を損なう値引きを抑え、一方消費者も最後までもっともお買い得な商品を探し続けた結果、米国のデジタル販売は最終的に過去6週間で最大のピークを記録した。
2022年サイバーウィークにおける上位ショッピングインサイト
オンライン販売とデジタルトラフィックは記録更新
多くの小売業者が客足の減少を報告する一方で、サイバーウィークのオンライン販売高は全世界で2,810億ドル(前年比2%増)、米国で680億ドル(前年比9%増)に到達。欧州と英国の結果が景気の停滞を反映した一方で、米国の販売はサイバーウィーク全般を通じて世界のオンライン販売の伸びを押し上げる勢いを示した。
ソーシャルメディアからの流入による販売件数が過去最高を記録
サイバーウィークのECトラフィックの大部分(76%)はモバイルデバイス経由で、ソーシャルメディアからの流入による販売は約10%だった。これは前年比22%増で、同社のデータによると、ホリデーシーズン中の販売率としては過去最高となった。
消費者と小売業者間の割引をめぐる駆け引き
ホリデーシーズンの序盤は振るわなかった割引率が、サイバーウィークに入ると急増し、全世界で27%、米国で30%とコロナ禍以前の水準を上回った。
過去7四半期にわたって右肩下がりに推移してきた世界の平均販売価格(ASP)は、サイバーウィーク中に横ばいとなったが、2021年比で3%上昇。また、大幅な割引が消費者の購入を促した結果、サイバーウィーク期間中のカート放棄率は、その前の3週間と比べて世界全体で5%低下した。
世界でもっとも割引率の高かった商品カテゴリーは次のとおり。
- 一般衣料品(34%)
- 化粧品とスキンケア商品(32%)
- 高級ハンドバッグとアパレル(26%)
BOPISの利用が増加
利便性が最優先されるなか、消費者はBOPIS(オンラインで買った商品を店頭で受け取る)や、カーブサイドピックアップ(店舗の駐車場で受け取る)サービスを利用することで、長蛇の列を避けて商品を購入できた。11月の最初の3週間と比較して、木曜日から日曜日にかけてのサイバーウィーク中のBOPIS利用は、世界全体で9%増加。サイバーウィーク中にBOPISサービスを提供した米国の小売業者は、BOPISを導入しなかった小売業者に比べてオンラインの売上高が38%増加した。
消費者はBNPLで資金不足を補う
インフレの圧力と家計の縮小のなかで、米国の買い物客は購入資金調整のためにBNPL(後払い決済)などの代替支払いオプションを利用し、その結果注文件数は前年比5%増加。一方、平均注文額は5%減少していた。これは、2021年と比較してより低価格の商品が売れたことを示している。
自動化により小売業者と消費者の時間を節約
小売業者が1年で最大のオンラインショッピングシーズンに備えて自動化を強化した結果、複雑な注文処理にかかるサービスエージェントの時間が節約され、顧客ロイヤルティを高めることができた。世界のチャットボットメッセージ数は、2021年の同日と比較して、ブラックフライデーで57%、サイバーマンデーで53%増加した。