ネットショップのキモは集客!まずやるべきはどの施策?
ネットショップは、お店=サイトを作ってオープンするだけでもひと苦労ですが、それだけではお客様は来てくれず、売上はあがりません。ネットショップ開設後、いかに集客できるかが勝負どころです。そして、集客方法はさまざまあります。
すでに実績のある大手サイトでは、マーケティング担当者なるものがおり、どの手法でどれだけのお金をかければ(人件費も含まれます)どれだけ売れるかを把握しています。たとえば、メルマガを1回打つと100万円の売上が上がるとすれば、300万円稼ぎたい場合は3回打てば良い計算になります。もちろん、扱う商品やタイミング、メールのクリエイティブなどでそのままの数字は出ないかもしれませんが、このようなノウハウを持っておくことで、ある程度売上をコントロールすることができるようになります。
一方で、流行り廃りが激しいのがインターネットの世界です。たとえば「スマートフォンの登場でメルマガが読まれなくなった、これからはLINEだ!」「Facebookは終わった、インスタグラムだ!」といった流れが起きます。すると、先に述べた「売上の方程式」の調整が必要になってくるわけです。そしてインターネットは、先行者利益が大きいと言われます。新しく流行りそうなものが出てきた場合には、とりあえずアカウントを作って挑戦してみる姿勢が求められます。
しかしながらネットショップ店長からよく聞かれる声として、「忙しくて手が回らない」があります。その場合は、自分のネットショップのお客様になりそうな人たちがどのようなメディアを見ているかを考え、優先順位をつけていきましょう。ビジュアルが映えるコスメであればInstagram、あるニッチな職種の人が毎年必ず検索して買うからSEOやリスティング広告、といった具合です。SNSについては、そのメディアが有名になるほど多くの人が使うようになるため、たとえば「インスタグラムはおしゃれな若い女性が使うもの」といった思い込みも危険です。実際に利用していれば変化も感じ取れるでしょうから、優先度が高いメディアを使い込んでいきましょう。
集客とひと口に言いましたが、そもそもお客様もさまざまで、それぞれの方に適した接しかたがあります。もっとも大きな分類としては、まだそのネットショップを利用していない「新規顧客」と、すでに利用していただいたことがある「既存顧客」のふたつに分けられます。はじめてのお客様には「いつものですよね」「さすがわかってるね」とは接客できないわけです。たとえばインスタグラムでは、絶妙なタグ付けで新規顧客に見つけてもらえることもあるでしょうし、投稿を続けコメントに反応していくことで既存顧客との関係を深めていくこともあるでしょう。同じメディアであっても新規顧客と既存顧客によって使いかたが異なります。
インターネット上のマーケティングを専業にしている人たちは、情報感度が高く、新しいものに対応できるかがビジネスの勝敗を分けます。新しいものが登場するとそれについてSNSで議論したり、インタビューを受けたりするため、まるで、たとえば「TikTokがすべて」かのような錯覚に陥りがちです。しかし、うまくいっているネットショップは、時間が経っても廃れない鉄板施策をきちんとおさえたうえで、新しいことに
ネットショップ集客の鉄板施策:SEOとは
SEOとは、Search Engine Optimizationの頭文字を取ったもので、検索エンジン最適化のことです。あなたのネットショップを探している人が、なんらかの関連するキーワードで検索を行った結果の画面に、きちんとあなたのネットショップ名とURLが表示されなくてはなりません。できるだけ上のほうに表示されたいですよね。
ネットショップの名前が独特のものであれば、ドンピシャでたどり着いてもらえるでしょう。しかしながら、あなたのネットショップの店名で検索するのは、すでに知っていて買う気もある、ありがたいけれど数は少ないごく一部の人たちです。販売している商品が「あんぱん」であれば、「あんぱん 通販」で検索された時にできるだけ上のほうに表示され、新しいお客様にも知っていただき、食べていただきたいものです。
しかしながら、他にもあんぱんの通販をしているライバルは多く、その誰もが(あまり努力せず)検索結果の上のほうに表示されたいと願っています。そこで、SEOの技術的なテクニックに視線が集まることになります。SEOは広告のように目に見える費用がかからないため、頑張ろうとするネットショップ店長も少なくありませんが、日々真剣にSEOのことばかり考えている専門家と、あんぱんを焼き、梱包して発送しなければならないネットショップ店長が互角に戦うのはかなり難しいでしょう。
利用しているカートの画面で入力が求められる「商品名(タイトル)」、「キーワード」、「商品説明(ディスクリプション)」といった基本項目をきちんと登録しましょう。まずは最低限、商品のことをきちんと伝えるのはもちろん、あんぱんを通販で買ってくださるお客様がどのようなキーワードで検索するかを想像し、提案する言葉を追加していってください。たとえば、敬老の日のプレゼント用に何度もリピートしてくださるお客様がいるなら、「敬老の日 ギフト」「お年寄り 食べやすい」といった言葉による提案があっても良いかもしれません。
ネットショップ内に「店長ブログ」のようにブログを持ち、頻度高く更新することもひとつの手です。なぜ天然酵母にしているのかを知りたい人もいるでしょうし、店長の人となりに興味を持ち、ファンになってくれる人もいるはずです。無限に新商品が登場し、新しい商品ページを増やせるわけでもないですよね。開設したきり情報の更新がないサイトよりも、ブログ記事であんぱんに関する新しい情報が増え続けるサイトのほうが、お客様からもGoogleからも「役に立つサイトだ」と思ってもらえるはずです。
ネットショップ集客の鉄板施策:リスティング広告とは
さまざまな進化を遂げ、広告商品そのものの名前も変更されていますが、言葉としては「リスティング広告」が浸透しているのではないでしょうか。検索エンジンの検索結果に表示される「検索連動型広告」を指します。「あんぱん 通販」で検索した場合のように、画像ついた検索連動型広告(Googleショッピング広告)が並ぶのはネットショップ業界ならではの特徴です。SEOを意識すると、検索結果の上部に広告が表示されるのが目につき始め、それがライバルのネットショップの名前だったりすると「うちも広告をやらなきゃ」と思うのではないでしょうか。
リスティング広告に関しても、その道のプロが日々しのぎを削っている業界ですし、「入札単価」が上位表示の要素のひとつでもあるように、ある程度お金がものを言う世界でもあります。こちらもテクニックは追求しすぎず、基本的な要素をおさえたうえで、キーワードや広告の文章で「提案」していきましょう。Googleショッピング広告については、商品画像などの商品情報をもとに広告が作られることから、多くのカートがシステム対応を進めています。たとえば、初期費用が無料で知られる「BASE」では、「Google 商品連携 App」という拡張機能によって出稿することができます。
ネットショップ集客の鉄板施策:アフィリエイト広告とは
人気ブロガーがブログで商品を紹介する記事を書き、その記事を経由して商品が売れたらブロガーに費用を支払う成果報酬型の広告、というといちばんイメージしやすいかと思います。ただし、メディアはブログに限らずYouTubeやSNSも該当しますし、紹介するコンテンツの表現方法も記事(にテキストリンク広告を設置)するだけではなく、バナー広告などもあります。
広告を出したいネットショップ店長が、アフィリエイトサービスプロバイダという仲介業者と契約して素材を入稿、ブロガーやインフルエンサーが商品や報酬に魅力を感じ、掲載したいと思うところから始まります。開設したてのネットショップは、誰にも知られていないに等しいです。すでにネット上で影響力を持っている人たちに、成果報酬型の支払いで紹介してもらえるのは魅力的でしょう。
なお、ステルスマーケティングになったり、薬機法・景品表示法に反する表現で告知するようなことがあってはいけません。実績のあるアフィリエイトサービスプロバイダが仲介に入ることで、費用はかかりますが、そういったリスクを軽減することができます。
ネットショップ集客の鉄板施策:リターゲティング広告(リタゲ)とは
一度サイトを訪れたユーザーがまた来てくれるよう、別のメディアにバナー広告などを表示して思い出してもらう仕組みです。Googleでは「リマーケティング」と呼んでいます。楽天市場の商品が並んだバナーがYahoo!に表示されたCriteo広告が目立った経緯もあり、ネットショップ運営者の多くが気にする広告のひとつです。
表示するには、ネットショップに来てもらったことを把握するべく、サイトにタグを設置する必要がありますが、カートシステムによってはオプションに申し込むだけで配信できるものもあります。
バナー広告に限らずメールを配信する方法もあります。カートに商品を入れたまま離脱した「かご落ち」ユーザーに対しメールで「お買い忘れはありませんか?」とリマインドする「かご落ちメール」は大きな反響がありました。他にメールシステムがあるにもかかわらず、かご落ちメールを送るためだけに専用のツールを入れたという話も聞いています。
一方でGoogleが規制する方向に向かっている「Cookie」を用いた仕組みであることから、これまでどおりの成果が得られるか疑問視する向きもあります。
ネットショップ集客の鉄板施策:メルマガとは
お客様は、まだあなたが運営するネットショップを利用していない「新規顧客」と、すでに利用していただいたことがある「既存顧客」に分類できると述べました。「既存顧客」向けのコミュニケーションとしてよく知られているのは、会員向けのメールマガジンです。
ネットショップは商品の発送などの連絡が必要になるため、メールアドレスの入力が必須になっています。購入完了時に会員になってもらうことで、その商品の使いかたの案内や別の商品の案内などの情報をメールで送ることができます。もしあなたがひとり店長でネットショップを運営しているのであれば、お客様に向けてメールを出すのは、まるでお手紙を書くように楽しい接客のひとつではないでしょうか。組織が大きくなり「メルマガ担当者」のように専任者が置けるようになると、大量にメルマガを送りどれだけ購入されたかを分析するなど精査していけますが、情のこもったお手紙のようなメルマガを書くことは難しくなっていくはずです。
メルマガ会員は、一度は購入してくださったお客様であることから、商品やブランドに対し好意を持ってくれています。次の購入にもつながりやすいのが特徴です。メール配信システムを利用したり、メルマガを書く人件費もかかってはいますが、広告のように目に見えて出ていくお金がないことから、低コストで角度が高い施策として認識されています。
「スマートフォンの登場でメルマガが読まれなくなった、これからはLINEだ!」と一時期盛り上がったのは、それほどネットショップ運営者にとってメルマガが重要なコミュニケーション手法だったからでしょう。ちなみに編集部が出会った、お客様と関係を大切にし、売上のためでなくお手紙を書くようにメルマガを書くネットショップ店長は、「メールはまだまだ読んでいただけるし、売ろうとして書いていないメールでも結果的に売上につながる」と言っていました。
ネットショップ集客の鉄板施策:SNSとは
「トイレットペーパー 最安値」のように明確なキーワードで検索される商品を扱っていれば良いのですが、D2Cなど最近ネットショップを始めた人たちは、言葉で表現するよりも写真のようにビジュアルのほうがより伝わりやすい商品を扱っているのではないでしょうか。「まあおいしいけどよくあるあんぱんなんだけど、お店の雰囲気が好きだからここで買っちゃう」など、ネットショップそのものや店長のファンだから買う場合もあります。
こうしたネットショップの集客には、SNSの中でも、とくにインスタグラムとの相性が良いです。日本ユーザーが増えれば、PinterestとECもより結びついていくかもしれません。インスタグラムは、直接投稿にリンクを貼ることができないなどの理由から、直接売上を上げるためには使いにくいと思われていましたが、ショップ機能など販売用の機能が追加され、日々進化を遂げています。外出自粛期間にインスタライブなど動画でコミュニケーションをとるためにも、アカウントを取得し、機能を熟知しておきたいものです。
とはいえ、Googleの検索結果と同様に、素敵なお店のアカウントは無数にあります。インスタグラムだけでネットショップの売上を作っていけるのは、ごく一部の限られたアカウントだけでしょう。まだ出会っていない人たちにも知ってもらい、きちんと売上を作りたい場合のSNS活用としては、一定数ファンのいるインフルエンサーに協力してもらうという選択もあります。また、インスタグラムに限らず、FacebookやTwitter上で有料広告を出すことも可能です。
まとめ
新しいものが次々に登場するインターネットの世界では、鉄板施策は今さら話題にはなりません。しかしそれは「もう古い」のではなく、「大騒ぎしなくともみんな知っていて、きっちりやっている」施策だとも言えます。もちろん、一瞬話題になって廃れてしまったものもありますが……。
ネットショップ店長はコストを抑えようという発想から、自力で頑張るSEO、ブログ、メルマガ、SNS運用など、目に見える費用が発生しないものだけでどうにかしようという人も少なくないと感じます。しかし、ある程度の売上がなければ、これから先も続けていく家業とすることはできないため、早めにある程度コストをかけて成果につながる手を打つことも必要です。ネットショップをやろうと決意した時の気持ちで、集客にも挑んでみてはいかがでしょうか。