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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

海外カンファレンス ア・ラ・カルト

シンガポールから配信したSFDC、EC情報満載のAdobe、DXを呼びかけるInformatica

 今回は、2021年2月から4月の間に参加したイベントから3つ紹介します。一挙にイベントがオンライン化した時期からちょうど1年。コロナ禍の緊急モードを脱し、この形式が定着したように感じます。 ※本記事は、2021年6月25日刊行の『季刊ECzine vol.17』に掲載したものです。

SFDCはSlack買収でCloud 3.0戦略を推進

 最初に紹介するのは、ECzine読者にはお馴染みのセールスフォース・ドットコムです。同社は、毎年秋に年次イベント「Dreamforce」を本拠地であるアメリカ・サンフランシスコで開催しますが、そのほかに「Salesforce World Tour」というイベントを世界各地で開催しています。日本でも開催されており、参加したことがある方もいらっしゃるかもしれません。今回は、2021年2月10日に行われた後者のイベントをお伝えします。

 視聴者への案内に開催場所の記載はなく、開始時間にウェブサイトにアクセスすると、創業者兼CEOのMarc Benioff氏がシャツ1枚の薄着姿で屋外にいます。Benioff氏の背後には3棟の高層ビル マリーナベイ・サンズが見え―そこはシンガポールでした。なお、毎年行っている会計年度初めのキックオフイベントも同国で行ったそうです。「この国は将来を見せてくれている」と、Benioff氏もお気に入りの様子でした。

 イベントのメインメッセージは「Cloud 3.0」。Cloud 1.0はウェブの誕生と普及によるクラウド企業の誕生( 同社やAmazonなど)、Cloud 2.0はモバイルとソーシャルが生んだ新ビジネス(Apple、Facebookなど)、そしてクラウド活用で働く場所の垣根をなくす企業の時代─これをCloud 3.0と位置づけました。代表的な企業はビジネスチャットのSlack Technologiesや、この1年でビデオ会議の代名詞にもなったZoom Video Communicationsなどです。2020年末にSlackの買収を発表したセールスフォース・ドットコム。「どこからでも仕事ができるというビジョンを実現するために、Salesforceのすべてのクラウドを変革する」とBenioff氏は語り、Cloud 1.0企業が3.0の世界においても重要な企業であり続ける意志を表明したと言えます。

Marc Benioff氏は、シンガポールからイベント登壇。
「この国は将来を見せてくれている」と期待を寄せた。

 Cloud 3.0に向けた同社の戦略は、主要パブリッククラウドでSalesforceを実装できる「Hyperforce」アーキテクチャ、その上でSalesforce各クラウドとの連携を実現する「Customer 360」、アプリエコシステム、Slackによるコミュニケーション、そしてAIシステム「Einstein」がポイントとなります。Benioff氏はイベント中、ワクチン接種の予約管理システム「Vaccine Cloud」も披露しました。Marketing Cloudを利用して2回めの接種を促したり、行政側が接種の進捗をBIツール「Tableau」で管理したり、学習機能「Trailhead」を使い、医療スタッフ向けにワクチン接種に必要な知識やトレーニングモジュールを用意したりと、利用例が解説されました。

 コロナ禍で在宅勤務が進む中、衛生用品を常備したり、三密を避けたり、接触追跡アプリを活用したりといった行動が求められてきました。クラウドベンダーが生活様式の変化に対してすぐに仕組みを開発して提供した際は驚きましたが、ワクチン接種においても同社やServiceNow、IBMなどが迅速に動いています。ちなみに、SAPはドイツの接触追跡アプリをわずか2週間で開発したそうです。ITベンダーは「アジャイル」や「柔軟」という言葉をよく口にしますが、自ら体現していると感心しました。

 後に紹介するInformaticaでも「x.0」という単語が出てきますが、ITベンダーはマーケティング文脈で世代を示すバージョンをよく用いています。2000年代半ばの「ウェブ2.0」が始まりだと記憶していますが、これは技術書で知られるO'Reilly Mediaの創業者Tim O'Reilly氏が提唱したものです。

 年次イベントDreamforceでは、基調講演の前にハワイの伝統音楽の演奏があるなどエンターテインメント要素が織り込まれていますが、今回も地元のミュージシャンがライブを行っていました。オンラインイベントでのエンターテインメントとして音楽を提供する動きは、ほかのベンダーにも見られます。ミュージシャンはコロナ禍でライブができなくなり、苦しい局面を迎えていると言われます。デジタル化の後押しで好業績を収めるITベンダーがミュージシャン支援を行うのは、画面越しで楽しめるオーディエンスとしても大歓迎です。

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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