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ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECzine Day 2021 Spring レポート(AD)

コロナ禍で変化するショッピング体験 アメリカの最新事例から見る海外ECサイトのトレンドとは

 2020年、アメリカのECにおけるホリデーシーズンの売上は、1,880億ドル(約20兆円)を超え、前シーズン比32%増という成長を見せた(アドビ調べ)。新型コロナウイルス感染症拡大による生活様式の変化により、消費者の支出がオンラインへ急速にシフトしたことが理由と見られている。それは、そのままデジタルコマースへの期待となっているのが現状だ。2021年3月23日に開催された「ECzine Day 2021 Spring」で、アドビ株式会社 ソリューションコンサルティング本部 ソリューションコンサルタントの高橋サラ氏が、2021年3月時点での海外におけるEC活用の最新トレンドについて解説した。

アメリカのEC動向と現代のECに求められるテクノロジーを知る

アドビ株式会社 ソリューションコンサルティング本部 ソリューションコンサルタント 高橋サラ氏

 「2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響によりデジタルシフトが急激に進みましたが、それにともない顧客の期待値も大きなものとなっています」と高橋氏は語る。

 外出に対する考えかたやルールが変わりつつある現代。これからは、今までECを利用していなかった顧客が利用するケースも増えると見られる。また、使いこなしている顧客からは、より良いショッピング体験が求められるようになることは間違いない。サービスを提供する事業者としては、ECサイトの使い勝手を向上するだけでなく、パーソナライズされた商品を紹介したり、複数デバイスに対応したりすることで、より高度で複雑な体験を提供することが求められている。

「加えて、アメリカでは『Commerce Your Way』という、自分でショッピング方法を選択できる体験がトレンドとなっています」(高橋氏)

 同体験の中でも、とくに近年話題となっている「BOPIS(Buy Online Pick-up Store)」は、オンラインショッピングで商品を購入し、実店舗で商品を受け取る仕組みだ。実店舗での滞在時間をできるだけ減らしたい、オンラインで購入した商品をその日のうちに確実に入手したいという顧客のニーズが追い風になっている。また、事業者にとっても同取り組みは配送の費用を抑えることができるというメリットが存在する。

 BOPISの体験をより便利にしたものが、車で実店舗に向かうと駐車場まで店員が商品を届けてくれる「Curbside Pick-up」という仕組みだ。BOPISでは駐車場に車を停め、店内で商品を受け取るのが主流だが、Curbside Pick-upでは顧客は車から降りる必要がない。すでにアメリカではウォルマートなどが、日本では高島屋などがサービスを開始している。「できるだけ人との接触を避けたい」というコロナ禍のニーズにマッチしたサービスでもあり、情勢がトレンドを後押しする形となっているのだ。

 次に高橋氏は、顧客の要求に応え新しいサービスを提供するために投資すべきテクノロジーをまとめた調査結果を紹介した。

 ここでは、上位要素として

  • クラウド
  • AI
  • IoT
  • バーコード
  • AR/VR

などが挙げられている。「このような技術を取り入れて顧客体験を最適化させるソリューションとして、『Adobe Commerce(旧:Magento Commerce)』がある」と、高橋氏は紹介した。

顧客体験向上を実現できる基盤提供 Adobe Commerceの特徴とは

 アドビは、ECにおいて顧客体験を向上させるためのクラウド基盤「Adobe Experience Cloud」を提供している。顧客の新規獲得からコンバージョン、リテンションといったカスタマージャーニーにおけるすべてのタッチポイントで顧客体験の最適化を図っているが、Adobe Commerceは同基盤の中で、ECサイトの構築、商品の販売・発送、購買分析の統合管理を司るものだ。

 Adobe Commerceには、大きく4つの特徴がある。高橋氏はひとつずつ順を追って説明した。

柔軟なビジネスモデルに対応

 Adobe Commerceは、BtoCだけでなくBtoBにも対応し、さまざまな業種で導入されている。高橋氏は「グローバルでのECサイト展開のしやすさにも特徴がある」と補足した。

AIを活用したパーソナライズ

 同社は「Adobe Sensei」と呼ばれるAIを活用し、ユーザーに最適化されたコンテンツ配信の自動化をAdobe Commerceにおいて実現している。商品レコメンデーションでは、次のような複数のアプローチが可能だ。

  • Item-Based(この商品を見ている人はこの商品も見ている)
  • Shopper-Based(あなたへのおすすめ商品)
  • Content Similarity-Based(類似商品)
  • Contextual Popularity-Based(トレンド商品、もっとも閲覧されている商品)

ヘッドレスアーキテクチャへの対応

 ヘッドレスアーキテクチャとは、顧客のショッピング体験をよりよくするために考えられたものであり、ストアフロントとバックエンドであるEC処理とを分離させたアプローチだ。IoTやモバイルデバイスは日々進化しており、これからのショッピングはパソコンやスマートフォンといった既存デバイスだけで行われるとは限らない。ヘッドレスアーキテクチャを採用することで、戦略やニーズ、デバイスの変化にもいち早く対応し、コンテンツを提供できるようになるというわけだ。

クラウド

 エンタープライズでセキュリティを担保でき、スケーラブルなインフラ構成を取ることができるクラウドは、こうしたソリューションの基盤として、もはや必須と言えるだろう。高橋氏は、導入までのコストが小さいことに触れた上で、このように語った。

「当社では、Adobe Commerceに関するアプリケーションのみならず、インフラ環境やモニタリングも含めたサービスをすぐに提供することが可能です」(高橋氏)

Adobe Commerceでビジネスを成長 3つの事例を紹介

 高橋氏は、Adobe Commerceの導入事例として3つのブランドを紹介した。ひとつめは、Adobe Senseiを活用したレコメンデーションで差別化したショッピング体験を提供するアクセサリーブランド「Catbird」の事例だ。

 Catbirdは、若年層をターゲット顧客としたブランドである。デジタルに精通した顧客に対してエレガントで魅力的なコマース体験を提供する必要があったが、それまで活用していたレコメンドエンジンは、ECサイトのパフォーマンスに悪影響を与えており、課題に感じていたと言う。

 そこで、Adobe Senseiを活用した商品レコメンドへの切り替えを実施。わずか数時間で作業が完了した上、ECサイトへの負荷も減り、ヘッドレスアーキテクチャを用いた、オムニチャネルでのショッピング体験提供を実現することにも成功した。なお、同ブランドではトップページと商品詳細ページに売れ筋とセグメントごとの商品レコメンデーションを導入し、売上高を前年比1,500%に、モバイルでの購入も63%増加させている。

 ふたつめの事例は、フットウェアやアクセサリーを扱い、世界で3,000以上の販売拠点を持つALDOグループである。同社は長年、複数の国の顧客にパーソナライズされたオムニチャネル体験やプロモーション、ローカライズされた体験を提供できていないという課題を抱えていたが、Adobe Commerce導入により、ヘッドレスアーキテクチャ、IoT、二次元コード活用を実現し、BOPISを実現している。

 高橋氏は、ここで動画を用いて同社の一連のショッピング体験に近い内容を紹介。実店舗でスマートフォンアプリを活用して製品の二次元コードを読み取ると商品情報が表出し、製品に合ったほかの商品のレコメンドを見ることができたり、欲しい商品が店頭にない場合はアプリ内で取り寄せたりといったことが可能になっている。こうした結果、売上は2倍に、TCO(Total Cost of Ownership)の15%削減に成功。これらのサービス構築は、わずか6週間で成し遂げている。

 3つめに紹介された事例は、アメリカを代表するチーク材のアウトドア家具メーカー「Country Casual Teak」だ。Adobe Commerceの構築に特化したウェブ制作会社Scandiwebの協力を仰ぎ、VRショールームを実現。テラスを三次元で表現し、移動する様子を動画でデモンストレーションしている。

 同社はさらに、Adobe Commerceを活用してエラー率やコードの問題を減らしながら効率化を図り、コンバージョン率を18%、売上を20%、平均注文金額を10%上げることに成功した。

新しい生活様式に合わせたECの変化を知り対応しよう

 高橋氏は、セッションのまとめとしてEC市場が成長した半面、より多様な体験、つまり冒頭で説明したCommerce Your Wayの概念がより重要になることを改めて強調する。求められているのは、これまでECを利用しなかった顧客にも使いやすく、かつ人が密集せずとも購入ができる環境の構築だ。こうした変化は今後も起こることを踏まえ、準備が必要となる。

 そのために求められるテクノロジーとして、高橋氏は「AI」「ヘッドレスアーキテクチャ」「クラウド」の3点を再び紹介した上で、このように語った。

「これらに対するソリューションとして、BtoC・BtoB双方のビジネスモデルに対応するAdobe Commerceがあります」(高橋氏)

 クラウド環境で提供されるAdobe Commerceは、コマースアプリケーション・モニタリングツール・インフラ・CDNが一体となり、サポート体制も整えられているため、短い導入期間でアジリティやセキュリティの担保もできる。時代の潮流を知ることと、それに即座に対応できる環境を整えておくこと。その両輪を抑えておくことがこれからのECで失敗をしない鍵と言える。

デジタルビジネスを成功させるオムニチャネル体験を解説

 変化の激しいデジタルビジネスにおいて、競争から抜け出す方法を模索する方に向け、アドビではCXMガイド「実践CXM デジタルコマース編:デジタルビジネスを成功させるオムニチャネル体験」を配布しています。詳しくはこちら

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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