信頼を獲得した上で顧客と双方向の交流を
CRMの重要性が浸透するにつれ、KPIを設定し、一定期間ごとの数値の変化や成果を追うことは、世の中のほとんどの企業が実施していると言っても過言ではない。CRM施策を実施するだけではなかなか差がつかないのも事実だ。
「当社にも、『改めて顧客分析をしたい』といったご相談をいただくケースが増えています。新型コロナウイルス感染症の流行により、顧客体験価値を磨き、顧客起点で物事を考える機運がより高まっているとも言えます。しかし、コロナ禍以前より顧客に目を向けていた企業・ブランドも数多く、先行者に追いつくことは決して容易ではありません。小手先のテクニックで即座に結果が出るものではなく、担当者レベルで解決できる問題でもないため、組織や会社レベルで変化する必要があります」
目標数値ありき、施策ありきで進めるマーケティングは、企業・ブランドから顧客に「届ける」ことが中心となり、双方向な交流につなげることは難しい。顧客体験価値を考える上では、顧客へ質問を投げかけ、商品やサービスに対する声に耳を傾けることが必須だ。
「関係構築の重要性に気づいている企業・ブランドは、カスタマーセンター経由で顧客から声を聞く機会を積極的に設けるなど、業務の中に顧客起点な思考が根づいています。しかし、それが成立するのも、商品やサービスを通して顧客から信頼を獲得しているからです。良い商品・サービスを提供した上で顧客の声に耳を傾ける。こうしたフローの見直しを今一度行う必要があります」