顧客からの受注を処理する「伝票発行」と「ピッキング」の勘どころは?
倉庫に入荷してきたものを検品し、入庫処理を行うことで在庫化。保管のフローを経て在庫引当を行うことでやっとECやそのほかのチャネルで商品の販売ができる……というフローを第1回と第2回の記事でお話しました。今回は、在庫引当を経て注文が入った際に行う「伝票発行」と「ピッキング」の勘どころをお伝えします。
鍵を握るWMS・OMS活用 個人情報の扱いには十分注意を
まず、伝票発行にどのようなフローと注意点があるのか考えていきましょう。伝票は主に「送り状」と「納品書」の2種類が存在します。それぞれの役割は次の通りです。
送り状
商品を送る際に必要な伝票。顧客(発送先)の氏名(社名)や住所、電話番号などが出力され、運送会社が適切な場所へものを運ぶために活用されます。フォーマットは運送会社規定のものを用いることもあれば、大規模事業者の場合はオリジナルのテンプレートを活用するケースも存在します。
納品書
商品箱内に同梱する伝票。注文内容と梱包した商品に相違がない旨を確認・証明するために活用されます。
このほかにも、後払いなど顧客の希望する決済手段によっては払込書を同梱したり、企業の運用フローによっては倉庫内でのピッキング作業に活用するピッキングリストを出力するケースもあったりと、伝票の定義は企業によってさまざまです。いずれにせよ、個人情報の取り扱いには十分に注意しなくてはなりません。送り状を貼り間違え、顧客の注文と異なる商品を発送してしまう、間違えた納品書を同梱してしまうといったようなミスが起きないように、フローを整備する必要があります。
ここで改めて、伝票に記載されている情報がどこから出てきたものなのかを考えてみましょう。顧客の注文商品や発送先の情報は、受注データから抽出されたものです。ECで入った注文であれば、ECの管理画面上からCSVデータでダウンロードする、もしくはWMS(倉庫管理システム)とAPI連携することで必要な情報を取得し、伝票発行ができます。送り状については、運送会社が持つ専用システムを活用して作成することも可能です。
EC以外の販売チャネルを保有している場合は、OMS(オーダーマネジメントシステム)に情報を統合した上での伝票発行をお勧めします。情報の統合を行わなかった場合、たとえば「ECで頼んだ商品の数量を変更したい」といったお問い合わせをコールセンターで受け付けた際に、迅速な注文変更を行うことができず、顧客に変更前の注文内容で商品を送ってしまったり、追加注文いただいた商品を別途配送し直すことになったりと、クレームの原因を自ら生み出すことになりかねません。また、余分なコストも発生します。また、チャネル別に注文管理を行っていた場合、後払いで購入する顧客の債権管理問題にも留意しなくてはなりません。事業規模が拡大するフェーズにおいては、安全な事業運営のためにもOMSの導入を念頭に置くと良いでしょう。