前回の記事では、コロナ禍において増え続ける食品・ギフト需要へ対応するために「EC強化」を検討し、取り組みを進める企業・ブランドは増えているものの、解決すべき課題は山積みである現状をお伝えしました。
まずは、ECへの取り組みの中で企業・ブランドから課題として主に挙げられる要素を整理してみましょう。それは、
- ブランドの維持
- ECサイトと実店舗の連携
- バックヤード運営
- フルフィルメント運営
- 生産現場や基幹システムとの連携
- ギフト強化
- システム課題
などです。
ここからは、これらの課題に取り組み、解決に成功している企業の実例をご紹介していきます。
京都クオリティを追求しながらも戦略的EC強化 ロマンライフの事例
今回お伝えするのは、「京都クオリティ」を追求した洋菓子店「京都北山マールブランシュ」を展開する株式会社ロマンライフの事例です。
同社は京都発のハイクオリティな「食」を手がける企業であり、2017年度の売上高は約63億円にものぼります。ジェイアール京都伊勢丹や京都高島屋など京都府内に13の直営店を展開し、京都の洋菓子店として高い知名度を誇っているブランドです。小売店に商品を卸すことはせずに、こだわりの味を守り続けています。
同社では数年前からデジタル化の課題を見据え、EC強化を前提とした社内マーケティング方針の見直しや戦略的な社内システムの再設計に着手しています。CRMとECの強化を図るべく、CRMツールやECサイト構築クラウド型プラットフォーム「aishipGIFT(アイシップギフト)」を導入するなど、さまざまな戦略を推進。取り組みが功を奏し、コロナ禍のEC売上が前年比500%の月も出るなど、大きくEC売上の拡大に成功しています。
同社のEC事業は十数年前に小規模でスタートし、代表商品「お濃茶ラングドシャ 茶の菓」のヒットもあり、着々と売上を拡大してきました。近年は実店舗への来店をきっかけとして、既存顧客にもECを利用してもらうオムニチャネル戦略にシフトし、オンラインとオフラインの相乗効果でさらなる成長を目指しています。
実店舗で確固たる地位を築いた上でEC強化に取り組み、オムニチャネル展開も軌道に乗っている同社ですが、EC強化の取り組みを始めた当初は、多くの課題が存在しました。