過去10年間で売上高を3倍にした、ドンキで知られるPPIH
PPIHは、ディスカウントストア「MEGAドン・キホーテ」などを運営する子会社のドン・キホーテと長崎屋を中心とする企業グループだ。2019年1月には総合スーパーの「アピタ」や「ピアゴ」を展開しているユニーを新たにグループに加え、店舗網を拡大してきた。
小売業売上高ランキングでは、“2強”を形成しているイオンとセブン&アイ・ホールディングス(HD)、それにファーストリテイリングに次ぐ4位にランクアップ。家電量販店トップのヤマダHDを僅差で上回った。
PPIHが子会社化したユニーは、東海地方を拠点とする総合スーパー。2016年9月にファミリーマートのグループに加わったが、運営していたコンビニの「サークルK」と「サンクス」を切り離し、PPIH傘下に移った経緯がある。
総合スーパーは、経営環境の厳しさに直面している業態のひとつであり、PPIHによるグループ化の成否に注目が集まったことはいうまでもない。
「売上高なくして利益なし!」
ドンキ最大の特徴は、攻めの経営だ。利益より売上規模の拡大を重視してきたネット通販世界大手のアマゾン・コム流ともいえるだろう。
PPIHの20年6月決算期売上高は1兆6,819億円。10年6月期は4,875億円だったことから、この10年で売上高を3倍以上も伸長させたことになる。18年6月期の9,415億円からでも、およそ1.8倍の伸びである。
同グループは、1989年の1号店開業以来、増収増益を継続中だったが、ユニーを加えてもその記録を伸ばした。ユニーのグループ化は上々のスタートを切ったといえよう。ユニーが1年間を通してグループ決算に加わったのは20年6月期(19年6月期は半年分が反映)。ここからが新たなスタートである。
期末在庫と売上高から推定した商品回転日数は、「53日→52日→41日」。店舗の商品が完全に入れ替わる日数が短くなっているが、生鮮品を扱う総合スーパー業態が加わったためだろう。
カケによる仕入れを示す「買掛金」が、カケでの販売を示す「売掛金」を上回る状態は継続されている。手持現金にこだわる経営は健在のようだ。
ただし、課題がないわけではない。表①における1,000円の商品販売にたとえた収支を見てみよう。1,000円の商品を販売するごとに獲得している儲け(営業利益)が、「55円→48円→45円」と下降傾向にある。以前は、55円前後をコンスタントにマークしていただけに、気になるところだ。