8,400万人にリーチ LINEに広告が出せる「LINE広告」
デジタル広告で高い費用対効果を実現するには、自社製品・サービスのターゲット層と親和性の高い広告配信先を選び、精度の高いターゲティングを行う必要がある。
そうした課題の解決策として注目を集めているのが「LINE広告」だ。LINE広告は、月間利用者数8,400万人を誇る「LINE」のアプリ内やLINEマンガなどのファミリーサービスに広告が出稿できるサービス。2019年11月からは、オンライン上でアカウント開設から広告出稿・支払いまでを簡単に行えるようになり、少額から運用が可能になったことから、EC事業者で出稿する企業が増加している。
実際、EC事業者はLINE広告をどのように活用することができるのか。LINE広告の特長や効果的な運用方法を、EC事業者からよく寄せられる悩みに答えるかたちで紹介する。
始めかたがわからない人へ LINE広告の特徴は?
[質問者] アパレルメーカーで広告運用を担当しているAさん
[回答者] LINE株式会社 大阪オフィス1チーム 泉谷晃佑さん
Aさん LINE広告の特徴と、どのようなユーザーにリーチできるのかを教えてください。
泉谷 LINE広告の特徴は、なんと言ってもLINEを基盤とした莫大なユーザー数です。月間利用者は8,400万人を誇り、他のSNSを利用せずLINEのみを利用しているユーザーは約40%にも上ります。若年層も多く利用していますが、年齢別で見ると、実は40歳以上のユーザーが全体の50%以上を占めています。他のSNSではリーチが困難と思われるユーザーにも届けることができる点が、LINE広告の大きな魅力です。
とくにLINEアプリの中でも、トークリストには多くのユーザーが訪れますが、トークリストの最上部にある広告枠「Smart Channel」へ広告出稿が可能になってからは、LINEを利用するほぼすべてのユーザーに対してリーチできるようになりました。
Aさん 予算が限られているため、ターゲットを絞って広告を出稿したいです。LINE広告ではどのようなターゲティングができますか?
泉谷 LINEの有する豊富な属性データを活用したターゲティング機能があるため、限られた予算の中で最大限のパフォーマンスが発揮できます。たとえば、年齢や性別などの属性だけでなく、ユーザーの興味関心などでターゲティングを行うことが可能です。
Aさん 自社のキャンペーンや新商品を広く宣伝するために広告を活用することが多いのですが、LINE広告でおすすめの機能はありますか?
泉谷 LINEの属性データを活用した「類似配信」がおすすめです。類似配信では、既存顧客や過去の広告施策でコンバージョンに至ったユーザーに類似した属性を抽出し、施策の目的に応じて類似度を1~15%までの好きな数値で設定できるため、求めるターゲットユーザーを効率良く獲得できます。2020年2月には、広告主様が保有しているユーザーのメールアドレスをもとに、LINEユーザーに類似したオーディエンスの作成もできるようになるなど、さらに高精度なターゲティングが可能になりました。
また、2019年12月からは、LINE広告やLINE公式アカウントなどのLINEの法人サービス同士でデータの連携が行える「クロスターゲティング機能」をリリースしました(現在は、LINE公式アカウントやLINEポイントADで取得したデータをLINE広告に連携が可能)。データの相互利用を行うことで、ユーザーのリピート購入やクロスセルにつなげ、LTVの最大化を実現できます。
Aさん LINE広告を活用するには、どのような手続きが必要ですか?
泉谷 LINE広告は、申し込みから広告配信、支払いまでをオンラインで簡単に行うことができますので難しい手続きは必要ありません。まずは当社のポータルサイト『LINE for Business』を確認してみてください。
LINE広告を運用するときのポイントが知りたい!
[質問者] LINE広告の導入を検討しているBさん
[回答者] LINE株式会社 アカウントマネジメントチーム 佐藤雄亮さん
Bさん LINE広告の活用を検討しているのですが、まずは何から始めたら良いでしょうか?
佐藤 広告配信における自社の課題と目標を明確にするため、ビジネスゴールから設定しましょう。LINE広告における配信の目的は、「ウェブサイトでのコンバージョン」「アプリでのコンバージョン」「ウェブサイトへの送客」「LINE公式アカウントの友だち獲得」と大きく4つあります。この中から、自社の課題に合わせた配信目的を設定し、コンバージョン目的であればCPA、送客目的であればCPC、友だち獲得目的であれば、友だち1人あたりの獲得に要した単価をメインのKPIとして定めます。KPIをあまりに低すぎる単価に設定した場合は、配信ボリュームが伸びず獲得数が少なくなりますので、獲得数とのバランスを見ながら最適な単価を設定する必要があります。
Bさん KPIを設定した後の運用方法についても教えてください。
佐藤 実際に配信を行い、KPIへの達成状況に応じて運用アクションを行います。運用アクションには主に「入札」「ターゲティング」「クリエイティブ」の3つの要素があり、入札とターゲティングを調整して配信ボリュームをコントロールしながら、クリエイティブでCTRやCVRの改善を図っていきます。
Bさん 入札の調整は難しそうなイメージがありますが、LINE広告の入札方法はどのようなものですか?
佐藤 LINE広告の入札方法には手動入札のほか、あらかじめ設定した単価や予算内で入札額が自動調整される自動入札から選ぶことができます。KPIとして設定した単価を入力するだけで、細かな入札調整は必要ありません。しかし、配信実績が設定した単価を上回る場合は、自動的に調整が入り配信が抑制されるため、目標としていた獲得数に達しないケースがあります。その場合は、ターゲティングを広げたり、クリエイティブを改善したりして、獲得数を伸ばしていく必要があります。
LINE広告で効果が出るクリエイティブの作りかたを知りたい!
[質問者] コスメブランドのECサイト運営を担当しているCさん
[回答者] LINE株式会社 クリエイティブプランニングチーム マネージャー 中根めぐ美さん
Cさん コスメブランドがLINE広告を活用する際、広告の効果を高めるにはどのようにクリエイティブを制作したら良いですか?
中根 効果が良いコスメのクリエイティブの傾向としては、わかりやすく、自分ごと化しやすいビジュアルやテキスト(タイトル・ディスクリプション)であることが重要です。ターゲットとしている年代のユーザーに共感されやすいメッセージを広く検討し、効果検証を行うことをおすすめします。
配信効果を高めていきたいときは、広告クリエイティブと遷移先のLPとの関連性も重要です。作り込まれた広告クリエイティブを見て、製品やサービスに魅力を感じても、遷移先のLPと広告の世界観が異なっていては、クリックした瞬間に感じた魅力も失われてしまいます。ユーザーのモチベーションを維持できる、もしくはさらに高めることができる内容となっているか、ユーザー目線で広い視野を持って確認しましょう。
また、最近は静止画と比較して動画のほうが、効果が良いという事例も増えつつあります。とくに、再生から3秒地点の到達率が高い動画は配信効果が良い傾向にあるので、冒頭で離脱されないような演出・内容を工夫してみると良いでしょう。LINE広告では、ひとつの訴求内容に対して「フォーマット(静止画・動画など)」×「クリエイティブサイズ(カード型・スクエア型など)」を組み合わせた複数のバリエーションを展開することで、配信効果を高めることができます。さまざまなバリエーションを用意して、試してみてください。
Cさん なかなか効果が出ない場合、どのようにクリエイティブを改善したら良いですか?
中根 まずは、ユーザーが離脱しているポイントを把握し、その内容を改善してみましょう。下記の表を参考に、ユーザーの気持ちがどこで離れてしまうのかを推測してみると、自社の広告クリエイティブの課題が浮き彫りになってくるはずです。
中根 過去に成果を上げることができた広告クリエイティブも、人々が見慣れてしまうことで徐々に効果は落ちてしまいます。ユーザーに響いたポイントを抽出しながら、新しいビジュアルやコピーに刷新することも成果を上げ続けるために必要です。
例えば、クリエイティブだけでなく、タイトル・ディスクリプションのテキスト要素でも配信効果に影響があります。効果検証はバリエーションを用意して実施すると良いですね。過去のクリエイティブと新規のクリエイティブを比較し、客観的に数値を判断できる状態を準備しましょう。
また、既存のアドグループに新規クリエイティブを追加している場合、配信ボリュームが出づらくなってしまう恐れもあります。新規クリエイティブを配信する際は、新規アドグループを作成し、配信を行ってみてください。
Cさん ありがとうございます!
月間8,400万人への大規模なリーチを可能にしながらも、予算に合った広告出稿ができるLINE広告は、広告訴求の反応を試す媒体としても有効的に活用できるかもしれない。現状の広告運用に課題感を持つ人は、ぜひ一度、LINE広告の導入を検討してみてはいかがだろうか。