膨大な顧客データもそのままではCRMに活用できない
前回まで、MA(マーケティングオートメーション)について山崎さんに話を聞いてきた。今回からは、より上位の概念である「CRM(顧客関係管理)」がテーマとなる。まず、山崎さんは前提として、CRMに取り組む理由について説明する。
「新規顧客をある程度獲得すると、そこから先は新規獲得のスピードが鈍化して成長が頭打ちになってしまうため、既存顧客の売上を伸ばしたいと考えるようになり、CRMへの取り組みを検討し始めます。皆さんに共通する目的は、シンプルに言えば『既存顧客からの売上を安定的に上げていく』ということでしょう」
そのためにCRMではさまざまな顧客データを活用することになるが、このデータの扱いが大きな障壁になっていると山崎さんは指摘する。
「デジタルマーケティングの普及に伴って、企業は多様な顧客データを保有するようになりました。しかし、その顧客データがEC本店サイト、モール、実店舗など、各チャネルに分散しており、売上実績や行動ログもバラバラに管理されているようなケースが少なくありません。加えて、LINEや独自アプリなどの新たな顧客接点も増えています。そのため、活用できるデータが豊富にあるように見えても実際には現場では扱いきれない、もしくは扱える状態になっていないのです」
山崎さんによれば、「CRMを始めたいが、何から手をつければよいかわからない」「CRMに取り組んでみたが、うまくいかない」という企業は、この段階でつまづいていることが多いそうだ。