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IoT&AI時代に、ECプレイヤーが持つべき「儲かるのはわかっているけどやらない」道徳規範とは

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IoTで家庭のプライバシーは守られるのか

 いつも午前2時ぐらいに1人分の食材を買う〇〇町何番地の誰々。これだけの情報でもその人の仕事や生活パターンが見えてきてしまうかと思います。お酒を買う/買わない 成人雑誌を買う/買わない……もうこれだけで、忌み嫌われる覚のお化けと見られても仕方がない域に達しているのではないでしょうか。

 ポータルサイトやモールなどでは、ユーザーの過去の検索キーワードなどを基にして個別のユーザーごとに異なる広告や商品を表示させたりしています。いちネットユーザーとしての筆者の個人的な感想としてですが、過去の検索キーワードや閲覧した商品などの「履歴」を元にしたもので、自分自身も「昔、この商品を探したことがあったな……」などの記憶があるものについてはまだ許せるのですが、そうでないものについてはネットに見透かされたような気がして「とても気持ちが悪い」のです。即座にブラウザの閲覧履歴やクッキーを削除したりしています。それでも履歴が消えない場合には、ブラウザそのものをアンインストールしてもう一度インストールしなおしたこともあります。

 筆者個人の感想としては、これらの広告は現在のレベルでも「ユーザー許せるギリギリの線」を超えたり戻ったりしている状態かと思うのです。仮に「履歴」に基づいたものであってもex.繰り返し表示される各種ダイエットの広告などは、一線を超えてしまっているような気がしています。

 IoT時代を迎え、ここに人口知能や商品に付けられるICタグなどが加わると、本来は高度にプライバシーが守られるべき家庭の中までもが覗けてしまうことになるのではないでしょうか。冷蔵庫の中の食材に付けられたICタグを読み取って、勝手に夕食のメニューを考えてくれる冷蔵庫。レシピサイトから適宜引用して食事の作りかたまで教えてくれるとか。ここまでは「たいへん便利」で良いかも知れません。

 一方で冷蔵庫の中の食材の量と消費の度合いを知ることができれば、家族構成や嗜好などもわかってしまうでしょう。たとえば離乳食があれば乳児がいるはずですし、食材の値段などについて人工知能を使って分析すれば、おおよその世帯年収などもわかってしまうかもしれません。何時に冷蔵庫からどんな食材を取り出したかがわかれば食事の時間も見当がつくでしょう。19時過ぎに冷蔵庫に食材を入れることが多い&食材の消費量からみて4人家族⇒共働きの家庭? こんなこともわかってしまうかもしれません。AIを使えばこの程度の解析は簡単でしょうし……。

 狭義のIoT=家電専用の家庭内サーバーが普及したとしましょう。このログには洗濯機が「何時に動いたか」や照明や空調のスイッチが「何時にONになったか」、玄関のドアの開閉時間などのデータも蓄積されるはずです。とすれば家族構成やその嗜好だけでなく、出勤時間に帰宅時間なども把握できることになるでしょう。日中の時間帯は照明も空調もOFFの状態で、昼食時に冷蔵庫を開けた形跡もなしとすれば、専業主婦がいる家庭かどうかなどもわかってしまうのです。

 ちょうど味噌や醤油が切れたタイミングでECデバイスが「ご購入の提案」をしてくれるところまでは便利でありがたいツールと言えそうですが、それ以上に踏み込んで一線を超えてしまうと強烈な拒絶にあうことになると思っています。ユーザー側から見れば、テラログは仮に商用利用をしないとしても「知られているだけでも気持ちが悪い」と思われてしまう存在であることは間違いないでしょう。


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