フォトジェニックからムービージェニックへ
EC事業者がInstagramで動画を活用するコツ
EC事業者だけでなく、各企業がこぞって注目しているキーワードといえば、「AI」と「動画」ではないだろうか。まずはAIについて、コムニコの見解を聞いた。
「コムニコではまさに、AIで『いいね!』の数を予測するためのシステム開発を行っており、現在は実証実験を行っています。弊社で提供しているPOST365というSNSアカウント検索・分析ツールで、主要な国内の企業やブランドのSNSアカウントの過去の投稿データを収集できるのですが、そのデータをマシンラーニングにかけて、この投稿画像にはどれくらい『いいね!』がつくかを予測するというものです。例えば、Instagramで投稿する候補写真がいくつかあったら、今はなんとなくこっちが良さそう、と勘で選んでいる方が多いと思いますが、いちばん『いいね!』を獲得することができそうなものをAIが選んでくれます。画像選定をサポートしてくれるイメージですね。今後、SNSのクリエイティブの領域にも、間違いなくAIやディープラーニングが入ってきます。投稿画像と『いいね!』の数には、統計的にも相関があることがわかってきていますし、サービス化に向けて準備を進めているところです。検証中ではありますが、これが結構当たるんですよ」(長谷川さん)
続いて動画はどうだろう。Instagramといえば、スマホの画面に合わせた縦型のデザインで、最長60分までの動画を楽しむことができる「IGTV」がリリースされたことは記憶に新しい。24時間限定公開で、最大15秒の動画を投稿できる「ストーリーズ」も、ローンチして15ヵ月間で、デイリーアクティブアカウント数は全世界で3億を超えているという。このフォトジェニックからムービージェニックへの流れを受けてコムニコでは、社内での勉強会開催や動画編集ソフト「After Effects」の制作部隊の強化など、すでに動画の制作に力をいれている。EC事業者のInstagram上における動画活用法について、長谷川さんに解説してもらった。
「動画の流れが来ているとは言っても、フィード上はまだまだ写真のほうが多いので、週に何回かはストーリーズで投稿するなどのルールを決めるのもいいと思います。使い方としては、フィードで投稿した写真の撮り方をストーリーズで説明したり、コーディネートのポイントを動画で伝えるなど、フィードとストーリーズで相関を持たせるといいでしょう」
最後に、Instagram活用の根本ともなる運用における心構えについて、長谷川さんに尋ねてみた。
「何事にも言えることだと思いますが、最初からいきなり成果が出ることはほとんどありません。長い目で見て、PDCAによる改善を地道に積み上げていくことが大事です。中長期的な目線が必要だからこそ、逆に今スタートを切らないと差がつけられてしまうのではないでしょうか。SNSは筋トレのようなものです。途中でトレーニングを止めると効果が表れなくなってしまうように、SNSを途中で止めてしまうことはユーザーが離れていくことにもなりかねません。シンプルなことですが、いちばんの正攻法はコツコツやること、ですね」