セールスフォースとGoogleがパートナーシップ
ツール連携とデータ整備がポイント
今回、真っ先に取り上げたトピックスは、2017年11月に発表された、セールスフォース・ドットコムとGoogleの戦略的パートナーシップについて。具体的な取り組みもいくつかあるなかで、大西さんがとくに注目しているのは、セールスフォースの「MarketingCloud」とGoogle Analyticsとの連携だ。前回の定点観測で、「APIによる企業を超えたツール連携が進む」「土台となるデータ整備を優先すべき」と述べていた。
「日本でも大手企業でMarketing Cloudの導入が進んでいるようですが、活用するためにはデータ整備が課題となり、当社にお声がけいただく機会が増えています。今回のパートナーシップにより、Googleも協力する姿勢であることがわかりましたから、マーケティングの大きな流れとして、前回お話しした方向を裏づける発表なのかなと考えています」
特化型か統合型か、海外か国産かMA選びのポイント
大西さんが所属するイー・エージェンシーは、マーケティングオートメーションのエントリーモデルである、カゴ落ちに特化した「カートリカバリー」を提供している。MAが日本でも話題になって久しいが、「実際の導入はそれほど進んでいない」というのが大西さんの体感だ。そこで、これからMAツールを導入する企業向けに、選定のポイントをいくつか整理してくれた。
「当社のような特化型から外資系ベンダーの統合型まで、ツールも幅広くあります。選択に迷ったら、自社の課題を解決してくれるものという基本に立ち返ってみるといいと思います」
EC事業者共通の課題として、大きく「新規顧客の獲得」「既存顧客との関係構築」、そして「コンバージョンレートの向上」の3つに分けられる。イー・エージェンシーでは、ECサイト改善の実績を多数持つことから、カゴ落ち対策に取り組むことが売上向上に一番つながりやすいと判断し、カゴ落ち特化のMAツールを提供していたのである。
「一気にすべてのボトルネックを解決することはできないので、どこから注力するか優先順位をつけましょう。データを分析することで、離脱が大きい、売上アップのネックが見つかります。経験値とカンに頼るのがいちばん危険なので、ぜひ冷静にデータを見てみてください。一方で、自社が注力すべき課題が見つかると、それに特化したツールを選択したくなるものですが、MAの機能が充実してきている現状では、一部特化型よりも、発展型の統合ツールを選んだほうが長期的に活躍してくれるでしょう。後者の場合はいろんなことができるので、課題の優先順位をつけてロードマップを描き、ひとつずつ取り組んでいくと、企業にMAが根付きやすいと思います」