業界情報を有料で提供するユーザベースが10月21日に上場
ユーザベースの設立は2008年。「経済情報で、世界をかえる」というミッションを掲げているように、一言でいえば、企業・業界情報を有料で提供する企業である。
同社は共同経営者体制を敷いているが、2トップはいずれもスイス系のUBS証券出身。「企業や経済の情報はあふれるほどあるが、M&A(企業の買収・合併)などを手がけるなかで、本当に必要な情報を集めるのに苦心した。それなら私たちが提供しようと独立、会社を立ち上げた」(梅田優祐社長・共同経営者)
当初は決算書や有価証券報告書などの情報と決算分析、業界の動向といった限られたコンテンツの配信だったが、その企業・業界情報データベース「SPEEDA」のリリースは、09年5月である。
ビジネス対象は金融機関やコンサルティング・ファーム、M&A関連企業など。有償の契約数は「ID契約数」として開示。契約数は年々増加しており、それが上場に結びついたわけだ。
同時にコンテンツの充実も推進。上海、香港、シンガポール、スリランカに進出するなど、企業・業界情報のリサーチ拠点も拡大。現在は、海外の未上場企業のデータも収集しており、上場企業も含めれば国内外380万社以上のデータが、「SPEEDA」を通して閲覧できる。
「SPEEDA」には分析・検索機能もついており、ワード、エクセル、パワーポイント、PDF形式などでのダウンロードも可能。企業概要、財務諸表、業績推移などをグラフ化した資料冊子も30秒程度で自動に生成することができる操作性も実現している。
ユーザベースは、BtoBと言える「SPEEDA」事業に加え、子会社でBtoCの「NewsPicks」事業も展開。90以上の国内外のメディアが配信する経済ニュースや独自に取材・編集したニュースも配信。会員は約150万人、うち有料会員はおよそ2万人である。
15年12月期の連結売上高は19億1,506万円。ただし、「SPEEDA」事業にスポットを当てる意味合いから、単体ベースの数値で同社を分析してみた。
売上高は11年度2億8,875万円が、15年度15億8,371万円とおよそ5.5倍の伸びである。それを支える「SPEEDA」契約ID数は、370から3倍強の1,183に伸長。13年度からは海外でも契約の獲得を実現している。
ちなみに、16年6月現在では、国内1,256、海外137で合計契約数は1,393になっている。「SPEEDA」事業では、アナリストによる分析・リサーチ支援業務も手がけているが、単純に売上高と契約ID数で計算すると1ID当たり11年度は78万円。以後88万円、102万円、133万円という推移である。