オムニチャネル推進者は薬剤師!ココカラファイン・郡司さんと語る
逸見(キタムラ) 郡司さんと初めてお会いしたのは2014年頃でしょうか、すでにオムニチャネルプロジェクトのリーダーでいらっしゃいました。そこに至るまでの経緯をお話しいただけますか。
郡司(ココカラファイン) セイジョー(ココカラファインが運営するドラッグストア、2013年に統合)で店長をしていたんですが、元々独立して、自分の店を持ちたいと思っていました。そのことを上司に話したら、「2年待てばフランチャイズ(FC)をやらせてやる」と言われたんです。
時期を待って、FCで小さいお店と会社を始め、実際にお店を経営する経験を積みました。そこを共同経営者に譲った後、調剤薬局の薬局長を他社でしました。そこではドラッグストアの支援をしながら、自動発注システムを作るというサポート業務も経験しています。
その後、FCではなく、本格的に自分のお店を始めたんですが、立地条件、その地域の市場規模などの問題で立ちゆかなくなりまして、またセイジョーに調剤のマネージャーとして戻ったんです。セガミと経営統合し、ホールディング会社が設立された後は、本社と販社をつなげていくさまざま仕事をしました。
逸見 ということは、リアルな店舗を経験し、調剤事業も経験してきたんですね。貴重な経験だったと思いますが、EC事業とはどのようにかかわることになったのですか。
郡司 ココカラファインとしてもEC事業はありましたが、赤字が続いていて、売上が上がれば、上がるほど赤字が増えるという状態で……。限界利益率が非常に低い事業だったんですね。ここへ来てITが進化し、EC市場が発展してきたので、本気でやるなら損益をはっきりさせようということで、EC事業部の分社化をトップが決断したんです。それに伴い、社長を社内公募するから事業計画書を出せということになりまして、私も提出しました。
逸見 それが、ココカラファインのEC事業を行う会社である、ココカラファインOECですね。EC事業を立て直すために分社化したというのは、企業経営から見るとすごく正しい判断だと思います。でも、初めてのことが多くてたいへんだったんじゃないですか。
郡司 仕事が終わってから、自宅で寝ないで事業計画書を作っていたんですが、これが楽しかったんです。この時に、LPOやSEOなど三文字用語を覚えました。それで事業計画書が通って、ココカラファインOECの社長になったんです。これが2013年です。