越境ECを強化する動きはグローバルに進む
経済産業省が公表している「電子商取引に関する市場調査」によると、平成27年における
- 日本の消費者による米国及び中国事業者からの越境ECによる購入額は2兆2,000億円(前年比6.9%増)
- 米国の消費者による日本および中国事業者からの越境ECによる購入額は9,000億円(前年比11.1%増)
- 中国の消費者による日本および米国事業者からの越境ECによる購入額は1.6兆円(前年比32.7%増)
となっています。
越境ECを強化する動きはグローバルで進んでおり、今後も購入額が増加することは間違いありません。
国内のEC事業者でも、さらなる成長に向け、海外現地に進出してECサイトを構築したり、海外の購入者に対し日本のECサイトで商品を販売するケースが見受けられます。
ローカル決済や規制への対応が必要に
まず、日本企業が海外へ進出した際、現地の人々が普段利用している決済手段を受け入れることが求められます。
たとえば、米国でECサイトを構築した場合、現地でよく利用されている手段として、グローバル決済サービス「PayPal(ペイパル)」や、VisaやMasterCardといった国際ブランドに対応すれば、9割以上の支払い手段に対応できます。
また、国によっては独自のデビット決済(オーストラリア等)、口座振替等(ドイツ等)、着払い(ベトナム等)のシェアが高い国もあるため、そういった手段を調べておく必要もあります。
とくに発展途上国では、銀行口座を持っていない人も多く、代引きなど、オフラインでの支払いも想定しなければなりません。
日本企業が海外進出する際、アジアの市場を見据えるケースが多いでしょう。ベトナム、インドネシア、タイ、マレーシアといった国は、EC市場が急速に成長しており、ポテンシャルが高いため、今後も日本企業によりさまざまな取り組みが行われると思われます。
過去記事で紹介したように、オランダ・アムステルダムと米国・サンフランシスコに本拠を置く「Adyen(アディアン)」、英国・ロンドンの「World Pay」など、国際的なプロバイダとの連携は、海外進出進出をスムーズに行う際に有効であり、欧米の企業などではそういった決済サービスを利用して多国間における決済サービスを展開しています。
ただし、アジア、特に東南アジアでは、国際的な決済サービスプロバイダが進出に苦労しているように感じます。その理由として、アジアでは、国により受け皿となる決済手段、法律などが大きく異なります。同じアジアとはいっても、規制の枠組みは国よってまったく違い、外資への規制が厳しい国も多いため、グローバルプレイヤーが苦戦している要因となっています。
インドネシアのDOKU、タイの2C2Pをはじめ、現地に強い決済代行事業者が存在します。ただし、日本の大手ECサイトの場合、国内の決済処理事業者には運用面も含めたサポートを委託するケースも多く見受けられますが、海外では条件面も含め、同様の対応が期待できないケースもあります。
そういった中、日本企業では、GMOペイメントゲートウェイが現地に強い決済代行事業者と連携してビジネスを展開。たとえば、タイの2C2P、台湾のNeweb Technologiesなどと連携して、日本の企業の現地展開を支援しています。
また、ベリトランスがネットプライスドットコム(現BEENOS)などと合同で、インドネシア市場向けEC決済サービス「VeriTrans Indonesia」をリリース。インドネシア現地に足を据えてビジネスを展開しています。さらに、国内屈指の情報処理センター「CAFIS」を運営するNTTデータは、マレーシアのEC市場において取扱高、顧客数ともにトップシェアを誇るiPay88を現地子会社により買収し、同エリアでの展開を強化しています。